【記事】らっこちゃんねるが選ぶ2015年ラッコ10大ニュース | The 10 Best sea otter news of 2015

らっこちゃんねるが独断と偏見で選んだ、2015年ラッコ10大ニュース!

今年はちょっと残念なニュースが多いような気がします。
来年はラッコたちにとって、よりよい年になってくれたらいいですね。

1位:カリフォルニアラッコ、個体数増加もサメによる噛みつきが急増

©USGS
©USGS

9月、アメリカ地質調査所が2015年のカリフォルニアラッコの個体数調査の報告を行いました。これによると今年のラッコの個体数指数は3,054頭と大きく増加しました。調査は陸及び空から目視で行われています。この個体数指数はより正確さを期すため、3年平均値をとっています。
個体数増加の要因としては、生息域中央モントレー湾付近でウニが急増していることと関連があるのではないかとみられています。一方、生息域の北端・南端では個体数は減少しており、その地域でサメの噛みつきによるラッコの死が急増していることと無関係ではないようです。
回収されたカリフォルニアラッコの死因の半分以上をサメの噛みつきによる死が占め、死因のトップとなりました。サメはラッコを食べることはありませんがひと噛みがラッコにとっては致命的な傷になってしまいます。

2位:アラスカ州カチェマック湾でラッコが大量死

アラスカ州カチェマック湾付近で、今年ラッコの大量死が起こっています。回収されたラッコの82%に連鎖球菌反応があり、その細菌感染によるストレプトコッカス症候群が主な死因であることが明らかになりました。
しかし、通常ストレプトコッカス症候群で死ぬラッコはいかにも衰弱しているものが多い一方、8月以降に回収されたラッコは見た目が健康そのものであることから、別のウイルスの感染による死因である可能性もあり、更なる研究が行われています。

3位:モントレーベイ水族館で野生のラッコが出産

©Monterey Bay Aquarium
©Monterey Bay Aquarium

 12月20日の朝、モントレーベイ水族館のグレート・タイド・プールで野生のラッコが出産しました。このプールはモントレー湾につながっており、ここ数日母親ラッコが出入りしているところが目撃されていました。赤ちゃんラッコと世話をする母親の様子は地元のニュースだけでなく世界に広く発信され話題になりました。30年間ラッコ保護に尽力してきた水族館の人々にとって、こうして目の前で野生のラッコが繁殖していく姿を見ることが一番の報いになったことでしょう。母子は現在水族館沖で元気に暮らしているようです。

4位:盲目のラッコウォリー、天国へ

©Vancouver Aquarium
©Vancouver Aquarium

バンクーバー水族館のウォリーが2015年12月9日静かに息を引き取りました。ウォリーは保護時にすでにラッコとしては高齢でした。
ウォリーは2013年に銃で撃たれ重傷を受けみう義ができなくなていたところを発見され、数回にわたる手術を乗り越えて一命をとりとめましたが、銃撃により片目は失明、もう片方もほとんど視力がない状態になったため野生に帰すことができないと判断され、バンクーバー水族館でリハビリを受けつつ暮らしていました。ウォリーの物語は多くの人の心をうち、老若男女多くの人々がウォリーへ寄付を行ってきました。彼の最後の2年間が安らかであったことを祈ってやみません。

5位:ラッコハラスメントが増加

今年はラッコハラスメントが非常に増えた年でした。
カヤッカー(カヤック乗り)が増加し、モントレー湾で多くのハラスメントが目撃されています。ハラスメントはラッコをはじめ多くの生物に毎日のようにストレスを与えています。
海の動物は海洋哺乳類保護法で守られており、またラッコについては絶滅に瀕する種の保存に関する法律でも保護されています。カヤックやパドルボードは艇長の5倍、約50フィートほど離れて見ることが推奨されています。魚類野生生物局は専用のアプリを用意し、ハラスメントを通報を促しています。

6位:No Otter Zoneの廃止、守られる

ラッコがかつての生息域に復活を遂げるにつれ、漁業業界との軋轢も増しています。その妥協策として「ラッコ除外海域(No Otter Zone)」を設け、この海域に入ったラッコを捕獲し他の場所へ移動させるという試みが25年に渡り続けられましたが、効果がないとして2012年魚類野生生物局はこの海域の廃止を決めました。廃止はラッコがこの海域に自由に出入りできることを意味し、それに反対する漁業業界が裁判を起こしましたが、裁判所は魚類野生生物局の決定を支持する判決を出し、ラッコの移動の自由が守られることになりました。

6位:サンタバーバラでパイプライン破裂、海洋生物に影響も

2015年5月19日、カリフォルニア州サンタバーバラ近郊のリフュージオで原油のパイプラインが破裂し、数万ガロンの原油が海へ流出しました。事故現場はカリフォルニアラッコの生息域の南端から10マイルほど南で、時折ラッコの出没が目撃されていました。ペリカンやアシカなど多くの生物が原油に汚染され、海洋哺乳類及び鳥類の洗浄の専門家が対応しました。不幸中の幸いですがこの事故においてラッコの汚染は確認されていません。

8位:サンフランシスコ湾にラッコが出現

2015年6月下旬、サンフランシスコ湾北部のリチャードソン湾に1頭のラッコが目撃されました。数週間暮らしていたようですが、残念ながら7月に死んでいたのが発見されました。
検査の結果、寄生虫と生体毒素が原因ではないかということです。今年の夏は海水温が高く毒をもった藻類が大発生し、その毒によりアシカなど多くの海洋生物が影響を受けています。
ラッコは毛皮貿易時代以降、サンフランシスコ湾には定住が確認されていません。

9位:ラッコに喘息が確認される

©Seattle Aquarium
©Seattle Aquarium

今年2月、アラスカ・シーライフ・センターからシアトル水族館へやってきたミシュカ。元気に新しい環境に慣れつつありましたが、ワシントン州でおこった山火事が引き金になり、喘息を発症してしまいました。ラッコに喘息が確認されてのはこれが初めてのことです。ミシュカは特製の吸入器を使い、薬を吸い込む訓練を行っています。おそらく一生この吸入器を使い続けなければならないようです。

10位:コーキー、ラッコ史上初の手術後、健闘むなしく死亡

8月の中旬、カナダのブリティッシュコロンビア州トフィーノ付近で、身体が膨らみ潜れなくなっているラッコが保護されました。ボートにぶつかって肋骨が折れ、皮下気腫になったようでした。コルクのように浮かんでいた様子からコーキーと名付けられました。バンクーバー水族館で治療を受けていましたが、10月に容体が悪化し、腎臓が機能していないことが判明しました。ラッコ史上初めて輸血片方の腎臓摘出の緊急手術を受けましたが、この世を去りました。残念ですが、この手術の経験は次のラッコの保護のためにきっと役に立つことでしょう。

次点:ラッコのオリーブ、サメの噛みつきにより死亡

2009年、自然に湧出していた原油に汚染されていたところを保護され、洗浄後野生に帰されていたラッコ「オリーブ」が今年3月死んでいたのが発見されました。
付着した原油を柔らかくするために使われたオリーブオイルからその名がつけられたオリーブは、起こりうる原油流出の脅威に準備している関係者に、予行練習と新たな対処法について貴重な経験を与えてくれました。また、野生に帰った後も長期的に観察され、様々なデータを与えてくれ、3頭の子どもを立派に産み育て、カリフォルニアラッコの繁栄に寄与してくれました。