ラッコ百科 | All About Sea Otters

最終更新日:3/27/2018

ラッコについて調べたこと、学んだことをまとめています。

情報についてはできるだけソースを掲載するようにしていますが、改訂が追い付いていないためソースが表示されていないところもあります。

ラッコとは

ラッコはイタチ科の哺乳類で最も大きく、水上での生活に一番適応した種です。また、海洋哺乳動物の中では一番小さいからだを持っています。

かつては日本の北から千島列島、アリューシャン列島、アラスカ、カリフォルニアからメキシコにかけての太平洋沿岸に広く生息していました。しかしその毛皮が珍重され、18世紀から20世紀にかけて殺され、1000~2000頭程度までに激減してしまいました。国際的な保護の結果、ある程度の数までは回復してきましたが、海洋環境の変化や食料源をめぐる人間との競合、海洋汚染や病気など現在でも直面する問題は多く、レッドリストでは「絶滅の恐れ」がある種に分類されています。

名称

和名:ラッコ
英名:Sea Otter

学術名:Enhydra lutris 

分類 イタチ科カワウソ亜科ラッコ属
保全状態 絶滅の恐れ(絶滅危惧IB類,IUCN Red List Ver.3.1 (2001))

絶滅の恐れ(絶滅危惧IA類(CR)環境省レッドリスト(2012))

亜種

ラッコには3つの亜種が確認されています。

違いについては微妙ですが、写真を見るとやはり少し顔つきが違うようです。
写真や動画を見る限りでは、アラスカラッコの幼獣のほうがカリフォルニアラッコの幼獣よりも全体に白っぽく見えます。

1.チシマラッコ・アジアラッコ Russian Sea Otter / Asian Sea Otter / Common Sea Otter

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学名 Enhydra lutris lutris
生息域

千島列島、コマンドルスキー諸島など

北海道根室沖や襟裳岬などで見られる

個体数 千島列島19,000頭*
カムチャツカ半島3,500頭*
コマンドルスキー諸島5,500頭*
*IUCN Enhydra Lutris Population
特徴 亜種の中で最も体長が大きく、頭部が広く、鼻骨が小さい。[2]

2.アラスカラッコ Northern Sea Otter / Alaskan Sea Otter

Photo by U.S.Fish & Wildlife

学名

Enhydra lutris kenyoni

生息域

アリューシャン列島、アラスカ
※アメリカのオレゴン州・ワシントン州、カナダのブリティッシュコロンビア州沿岸へ保護のため人工的に移殖された。オレゴン以外は定着し、繁殖。

個体数 アラスカ州約81,500頭(2014年調査
ブリティッシュコロンビア州6,754頭(2013年調査
ワシントン州1,753頭(2017年調査、過去3年平均値)
特徴 他の2種の中間ぐらいの外観で、下顎骨が長い[2]

3.カリフォルニアラッコ Southern Sea Otter / California Sea Otter

オスの成獣
オスの成獣
メスの成獣と新生児
メスの成獣と新生児
学名

Enhydra lutris nereis

生息域

カリフォルニア中央部大平洋沿岸

個体数 3,186頭(2017年調査、過去3年平均値)
特徴

頭部が狭く長い。口吻が長く、歯が小さい。[2]

特定のエサに固執する傾向がある[1]


「ラッコ」の語源

私たちが使う「ラッコ」という呼び名は、アイヌ語のラッコを表す言葉からそのまま取られました。(出典:公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構

参考文献

  1. ^ Kristin M Campbell, Sharlene E Santana; Do differences in skull morphology and bite performance explain dietary specialization in sea otters?, Journal of Mammalogy, Volume 98, Issue 5, 3 October 2017, Pages 1408–1416, https://doi.org/10.1093/jmammal/gyx091.
    カリフォルニアはアラスカに比べてエサの供給に限りがあるため、競争を避けるために特定のエサに特化する傾向があるのではないかと考えられている。
  2. ^Wilson, Don E., et al. “Geographic Variation in Sea Otters, Enhydra Lutris.” Journal of Mammalogy, vol. 72, no. 1, 1991, pp. 22–36. JSTOR, JSTOR, www.jstor.org/stable/1381977.