ラッコの行動 | Behavior

最終更新日:5/14/2018

行動範囲

ラッコの一年を通じての生活範囲は約0.8平方キロメートルで、沿岸16キロメートルにわたっており、メスの行動範囲は子育て期間になると雄の1.5倍から2倍の広さになるとの調査結果もあります。
しかし、その生活範囲から大きく出ることはありません。

 

ラッコは縄張り意識が強くなく、縄張り争いをすることはまれです。オスのラッコだけが縄張りを持ち、他のオスが縄張りに入らないよう見回りをします。メスは自由に複数の雄の縄張りを行き来します。[出典:IUCN]

群れで暮らす

ラッコの群れはraft(いかだの意)と呼ばれています。ラッコが集団で浮いている様子は、確かにいかだのように見えますね。ラッコは通常、雌と子供の群れと、縄張りを持たない雄の群れに分かれて休みます。縄張りを持たないオスの群れは、亜成獣や高齢のオスなどにより構成されています。

 

 

ラッコの1日

ラッコは、餌を獲りに潜る以外の時間はほとんどを水の上で過ごします。食べたり、毛づくろいをしたり、休んだり、他の場所へ移動したりします。

ごく平均的には、餌を獲るのに8時間、毛づくろいに5~8時間、寝たり休んだりするのに11時間ほど費やしていると言われています。

 

カリフォルニアでは、1日のうち休んでいる時間は40%ほどに過ぎません。毛づくろいは8~10%程度です。中央沿岸部に生息しているラッコは1日のうち40~50%の時間を餌をとるために費やしていますが、生息域の端では20%程度に収まっています。[出典:Sea Otter Ethogram]

 

ラッコの1日を紹介しているNOAAの子供向け動画に字幕を入れてみました。

エソグラム

休息

Packard, Jane & Ribic, Christine. (1982)
Packard, Jane & Ribic, Christine. (1982)

ラッコは寝ていることが多く怠惰に見えますが、代謝が高いため、何もしなくても多くのエネルギーが失われていきます。エサを獲るためのエネルギー、移動やグルーミングに消費するエネルギーも必要です。エネルギーを節約するために休んでいるのです。

フィーディング

下記の動画は、カリフォルニア州モントレー湾で海底の砂を掘っているラッコの様子です。

Packard, Jane & Ribic, Christine. (1982)
Packard, Jane & Ribic, Christine. (1982)

グルーミング

ラッコにとってグルーミング(毛づくろい)は非常に大切な習慣で、体温を奪われないために常に毛皮の手入れをします。1日に数時間は毛づくろいに当てます。

2層になっている毛皮の下毛は常に乾いており、ここに空気を貯め込むことで、保温効果を維持しています。前足の爪を櫛のように使い、手入れをします。空気を吹き込んでいる様子を見ることもできます。また、水面でくるくる回りながら毛の中に空気を入れます。毛が汚れるとこの保温効果が弱くなってしまうため、時間をかけて丁寧に毛づくろいをします。

食べた後には、身体についた食べかすを落とすため胸や腹の辺りをごそごそしたり、くるくる回ったりします。

ラッコは非常に身体が柔軟なので、身体のすみずみまでお手入れすることができます。

産まれたばかりの頃はこうした毛づくろいができないので、母親が子どもの毛をお手入れしてあげます。

Packard, Jane & Ribic, Christine. (1982)
Packard, Jane & Ribic, Christine. (1982)

インタラクション

ラッコは社交的な動物で、同じ群れのラッコとさまざまなインタラクションを持ちます。

Packard, Jane & Ribic, Christine. (1982)
Packard, Jane & Ribic, Christine. (1982)

Citation

1. Packard, Jane & Ribic, Christine. (1982). Classification of the behavior of sea otters (Enhydra lutris). Canadian Journal of Zoology. 60. 1362-1373. 10.1139/z82-184.