本日は2019年1月24日付のMonterey Heraldより、"Scientist gets some help from fifth graders"をお届けします。小学生のころからこのようなプログラムがあったら、きっと今頃生物学者になっていたかもしれません(笑
モスランディング — モスランディングの緩やかな湾内をオスのラッコたちが滑るように泳ぐ傍ら、ワトソンビルのマウントマドンナ小学校の5年生らはラッコの行動をくまなく追跡するシーオターサビー(Sea Otter Savvy)のプログラムを手伝っていた。
「私たちの目標は小さく単純なもので、ラッコに対する人間のディスターバンス(妨害行為)を減らすことです。それを様々な人々と協力することで成し遂げたいのです」とジェナ・ベントールは言う。
望遠鏡から覗き、天候を記録し、データを書き留めながら、生徒たちは何がラッコとコンタクトしようとしたかを記録する。1年にわたる環境プロジェクトとして、生徒たちはモントレー湾の最も象徴的な動物であるカリフォルニアラッコに対し、人間がどのように影響を与えているのかを研究している。
「わたしたちはラッコについて調べていますが、そうしたことで地球に何が起きているのかを知る手助けとなります」そう語るのは5年生の担任、エデン・フィッシャーだ。
児童たちは、エルクホーン・スルーの守られた湿地帯の入り口とモスランディング・ハーバーが出会うところで、余暇を楽しむ人間と休息するラッコとのインタラクションに関するデータを集めるシーオターサビー(Sea Otter Savvy)の手伝いをする最年少の市民科学者だ。
こうした協働事業は、子どもたちに野生生物を責任感をもって行うことを奨励しつつ、若い世代が環境の健全性に貢献していくよう促している。
「何よりも子どもたちに、こうあってほしいと思う世界を形作れる力が自分たちにあるんだ、ということを自覚してもらうことができるのです」10年以上にわたり環境プロジェクトを通じて5年生を率いているジェシカ・キャンベルが言う。
うなり音をたてるボートを避け、押し寄せるカヤックから逃げるラッコたちは、人間がラッコたちのスペースに侵入してくるとそうしたディスターバンス(邪魔すること)に対し非常に脆弱だ。ラッコたちが不快になるほど人間やモノが近づいてしまうと、ラッコは潜って逃げたり、焦って泳いで離れたりせざるを得ない。
「もし知らない人がラッコたちを邪魔しに来たり、例えばあなただって邪魔されれば、イライラしてしまうでしょう」児童たちのデータ収集のアシストをするレイア・リンジーが言う。
釣り具に絡まったり、原油流出がラッコを大きな脅威に晒している一方、それほど致命的ではないとはいえ人間が起こす様々なディスターバンスはラッコの個体群にとってますます大きな脅威になっている。ハーフムーンベイからサンタバーバラにかけての300マイル(約480km)の間にある、外海から守られた湾や港に身を寄せるラッコたちは、エコツーリズムを通じて人間と出会うことが多い。
ラッコには皮下脂肪がないため、きちんとグルーミングを行い、定期的に食べるということは必須だ。体温を保持するため、ラッコは毎日体重の25%を食べなければならず、断熱性を保つため注意深くグルーミングを行わなければならない。
不要なエネルギーを費やさせてしまうことで、ラッコはより脆弱になり、「そうしたグルーミングを一からやり直し」させることになってしまいます」とキャンベルは言う。
ラッコは可愛らしく素敵だということはしっていたが、ラッコが1日に4時間もグルーミングに費やすということは知らなかった、と生徒のカッシーノ・ケーニッヒは言う。
カリフォルニアラッコは最も小さい海洋哺乳類ながら、動物界で最も密度の高い毛皮を持ち、それは体の隅々に至るまで1平方インチあたり100万本に及ぶ。ラッコは1700年代から1800年代にかけての毛皮交易時代にその密度の高い毛皮目的で乱獲され絶滅寸前になってしまったが、今日ラッコたちは絶滅に瀕する種の保存に関する法で絶滅危惧種に指定されてはいるものの、人間が引き起こすディスターバンスの増加に直面している。
「ラッコはキーストーン種として、私たちのケルプの森を守っているのです。従って、ラッコを失えば海全体に大きな影響が及びます」よマウントマドンナ小学校のレイア・リンジーが言う。
ラッコはウニの個体数を制限するため、ラッコがいなくなってしまうとケルプの森が死に絶えてしまうことになる。「私たちがラッコを守らなければ、ウニを制止することができなくなり、ウニがケルプを食べつくしてケルプの森がなくなってしまいます」とケーニッヒは言う。
ラッコはケルプの森生態系で重要な役割を果たしているため、モスランディングでラッコのインタラクションのデータ収集を行っている米国地質調査所やモントレーベイ水族館、エルクホーン湿地帯国立エスチュアリン保護区の科学者らとこの学生たちは並んだ。
「こうしたプログラムにより、子どもたちは提唱者となり、クラスメイトたちだけでなく大人にもその重要性を話すことができるようになり、より大人たちが注意を向けられるよう促してくれるのを手伝ってくれるのです」息子やクラスメイトたちが科学者らが人間とラッコのインタラクションの追跡を手伝うのを付き添いしているクリステン・アルチャーティは言う。
「ラッコがいなければ、健全で豊かな海はありえないのです」とフィッシャーは言う。
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