【記事】オットーとヤンキー・ドゥードゥル | OTTO AND YANKEE DOODLE ARE DOING WELL!

本日は2017年11月17日付のアラスカシーライフセンターのブログ60° North Scienceより、"OTTO AND YANKEE DOODLE ARE DOING WELL!"をお届けします。
カリフォルニア州でドウモイ酸中毒で保護された2頭の成獣はリハビリ後LHXタグが装着されリリースされました。アラスカシーライフセンターはこのタグを開発し、アザラシなどでテストを行ってきました。データが回収できるのは動物が死んでからになるので少し先になりますが、こうした新しい技術が今後のラッコ保全に役立つといいですね。

カリフォルニア州サウサリートの海洋哺乳類センターでリハビリを受けた2頭のラッコ、オットーとヤンキー・ドゥードゥルについて書いた前回の投稿(翻訳済み:【記事】カリフォルニアラッコ保全の新しいマイルストーン | New milestones in southern sea otter conservationで)をご覧になった方もいるかもしれない。9月22日と10月24日に行われた2頭のリリースは大きなマイルストーンでもあった。2頭はLHXライフロング・モニタリング・インプラント(訳者注:体内に埋め込まれ生涯にわたり行動や体温などの記録を行い、死後情報を衛通信で回収するシステム)を埋め込まれ野生に返された、初めてのリハビリラッコだったからだ(LHXタグについては投稿の最後に詳細な解説がある)。

8歳になるカリフォルニアラッコのオットーが、カリフォルニア州サウサリートの海洋哺乳類センターでドウモイ酸中毒治療を受け、モロ湾にリリースされ、ケージから出てきたところ。Video Credit Kathleen Curtis © The Marine Mammal Center, USFWS permit #MA101713-1.

もちろん、リリース後この2頭のラッコたちが元気でいることを皆さんにお知らせしたい。2頭とも、体内にLHXタグとVHF無線ビーコンを装着している。このVHFビーコンにより研究者は指向性アンテナと携帯用無線受信装置を用いてこのラッコたちがいることを検出し直接個々のラッコを追跡することができる。

海洋哺乳類センターのサンルイスオビスポオペレーションのボランティアとカリフォルニア州魚類野生生物局のマイク・ハリス(中央)がモロ湾にリリースされたカリフォルニアラッコのオットーを追跡している。オットーはライフヒストリートランスミッター(LHX)タグを体内に埋め込んでリリースされている。そのタグは特殊なセンサーを使ってこのラッコの一生に関するデータを集める。 Credit Brian MacElvaine © The Marine Mammal Center, USFWS permit #MA101713-
海洋哺乳類センターのサンルイスオビスポオペレーションのボランティアとカリフォルニア州魚類野生生物局のマイク・ハリス(中央)がモロ湾にリリースされたカリフォルニアラッコのオットーを追跡している。オットーはライフヒストリートランスミッター(LHX)タグを体内に埋め込んでリリースされている。そのタグは特殊なセンサーを使ってこのラッコの一生に関するデータを集める。 Credit Brian MacElvaine © The Marine Mammal Center, USFWS permit #MA101713-

9月22日にリリースされてから、オットーは何度も目撃され、また無線で感知されており、このエリアで非常に元気にやっているようだ。

8歳のカリフォルニアラッコ、オットーはリリース後モロ湾にあらわれている。オットーはカリフォルニア州サウサリートの海洋哺乳類センターで治療を受け、座礁していた場所へリリースされた。2016年5月現在、カリフォルニアラッコの生息域はは北はハーフムーン湾南部から南はコンセプション岬の南東部までに広がっているが、これは歴史的な生息域からみればごく一部に過ぎない。Credit Brian MacElvaine © The Marine Mammal Center, USFWS permit #MA101713-1
8歳のカリフォルニアラッコ、オットーはリリース後モロ湾にあらわれている。オットーはカリフォルニア州サウサリートの海洋哺乳類センターで治療を受け、座礁していた場所へリリースされた。2016年5月現在、カリフォルニアラッコの生息域はは北はハーフムーン湾南部から南はコンセプション岬の南東部までに広がっているが、これは歴史的な生息域からみればごく一部に過ぎない。Credit Brian MacElvaine © The Marine Mammal Center, USFWS permit #MA101713-1

ヤンキー・ドゥードゥルは10月24日にハーフムーン湾の保護された場所近くにリリースされた。10月25日、ヤンキー・ドゥードゥルはサンフランシスコ湾で検出・目撃されている。その日以来ごく最近まで目撃されていなかった。11月4日、ヤンキー・ドゥードゥルはレイエス岬でハイカーにより目撃されており、体内のVHFビーコンがレジスタンス岬付近で航空機によるラッコ調査により検出されている。そのハイカーのグループはYouTubeにヤンキー・ドゥードゥルの様子を投稿している。

今のところはうまく行っているようだ。リリース後こうして追跡し目撃できるということは私たちにとって便利だ。ドウモイ酸による程度影響がどの程度あるか、また野生に帰ってからその生存にどの程度影響を及ぼすかという懸念は残っているものの、このラッコたちを追跡することでリハビリ後どの程度うまくやっていけるかを知ることができるだろう。

 

これはまた、人々に野生のラッコや他の海洋哺乳類に近づいたりハラスメントをしたりしないよう再認識させるよい機会でもある。もし体調が悪そうな動物を見かけたり、死んだ海洋哺乳類を見かけた場合は、最寄の座礁ネットワークのホットラインへ連絡していただきたい。

LHXタグとは

LHXタグは衛星と接続されているトランスミッターで、恒温動物の体内に手術で埋め込まれるものだ。これは航空機のブラックボックスのような役割を果たす。ホストとなる動物の生涯にわたって、体温、光、動きなど複数のセンサーをモニターし、そのホストの状態を特定するのだ。このタグはホストが生きて元気なうちはデータを転送しない。この信号は弱いため、体内から衛星には届かないのだ。その代わり、これらのデータはメモリに蓄積され、ホストの死後体が分解されたりバラバラになったり消化されたりした際、体から離れて初めてデータを転送することになる。LHXタグについてはwww.sealtag.org、この60North Scienceの記事"how we get research ideas"および"paper in a nutshell"(ゼニガタアザラシの幼獣におけるLHXタグの試用に関する科学論文の要約)をお読みいただきたい。ラッコのオットーに関してはこちら(翻訳済み:【記事】新改装リハビリ施設でラッコ保全を支援 | Otter Conservation Efforts Bolstered By New Rehabilitation Space)、関連する海洋哺乳類センターのメディアリリースはこちらから。

60° North Science

OTTO AND YANKEE DOODLE ARE DOING WELL!

November 17, 2017