【記事】海、私たちの裏庭:ラッコの生息域拡大はいいことなのか | Dan Haifley, Our Ocean Backyard: Would sea otter range expansion be a good thing?

本日は2016年3月26日付のSanta Cruz Sentinnel ENVIRONMENTより、"Dan Haifley, Our Ocean Backyard: Would sea otter range expansion be a good thing?"をお届けします。

ちょっともとの記事の編集がおかしくて、前回と重複しているところがあります。

モスランディングハーバーのラッコ。2015年11月撮影。 Vern Fisher — Monterey Herald
モスランディングハーバーのラッコ。2015年11月撮影。 Vern Fisher — Monterey Herald

一度は絶滅したと考えられていたが、1938年にビッグ・サー海岸沖で小さなカリフォルニアラッコの群れが発見された。カーメルを拠点とするフレンズ・オブ・ザ・シーオター(Friends of the Sea Otter)を設立したマーガレット・オーウィングスなどの啓蒙活動家が連邦や州による保護のため働きかけを行い、連続した3年の個体数調査の平均値では3,054頭までゆっくりと増加してきている。

 

2013年にコンセプション岬とメキシコの間に存在した「ラッコ除外海域」(No Otter Zone)が無効化され、ラッコの生息域が南へ拡大することの法的な障壁となっていたものを取り除いた。しかし、生息域の北端と南端におけるサメによる噛みつきにより、ラッコの多くを現在の生息域に留めてしまっていることを研究者らは発見した。

 

ラッコの生息域の拡大は奨励されるべきなのだろうか。あるいは、サンフランシスコとサンタバーバラの間にある現在の生息域の北や南にラッコを移動させることにより、生息域の拡大は容易になるのだろうか。「これは最も重要な問題で、科学者や資源管理者、漁業関係者や観光業者などの他の利害関係者、一般市民によりもっと議論が必要な問題だと私は思います」とアメリカ地質調査所及びカリフォルニア大学サンタクルーズ校のティム・ティンカーは言う。

 

「ラッコがかつての生息地に再定着することがいいことなのか、悪いことなのか、言うことはできませんが、ラッコの回復によって生態系へ大きな影響が起こっているということは言うことができます。まだ発見されたばかりであるため、そうした影響の多くはまだ認識されていないのです」とティンカーは言う。「多くの方が言うように、ラッコがよく食べる無脊椎動物に依存している水産業関係者の多くは、ラッコの回復により負の影響を受けています」

 

しかし、ラッコはウニを食べることで様々なよい影響をもってケルプの森に恩恵を与えている。もしラッコが食べなければ、ウニはケルプを食べてしまうからだ。「健康で弾力性のあるケルプの森は、商業的に重要な魚の生育地となり、海面上昇とともに増加している高波から海岸を物理的に守り、また炭素隔離をすることで、人々に非常に多くの恩恵を与えているのです」

 

「南カリフォルニア湾にあるサンニコラス島における調査では、こうしたパターンが北カリフォルニア同様、南カリフォルニアのケルプの森でも起こっていることを示しています。同時に、エルクホーン湿地帯での共同調査は、ラッコの影響はケルプの森に限定されているわけではないことを示しています」とティンカーは言う。ラッコは河口部でも繁栄することができ、海草や塩性湿地の生息域の回復に対してプラスの影響を持つなど、そうした生態系にも間接的な影響を盛ることができる。

 

史料によると18世紀と19世紀の毛皮貿易以前には、ラッコはサンフランシスコ湾のような主要な沿岸河口域で非常に多く生息していた、とティンカーは言う。こうし生態系においてラッコが再定着することにより、復元と保全活動に恩恵をもたらす可能性があることを示した。

 

「一般的に、浮かび上がっている大きな状況は、ラッコは沿岸の岩礁や河口域を含む沿岸生態系の機能に対して非常に大きな影響を持っているということです」とティンカーは言う。

 

ダン・ヘイフリーはオニール・シー・オデッセイのエグゼクティブ・ディレクターである。コンタクトはこちらまでdhaifley@oneillseaodyssey.org

Santa Cruz Sentinnel

Dan Haifley, Our Ocean Backyard: Would sea otter range expansion be a good thing?

POSTED: 03/26/16, 8:30 PM PDT