【記事】お帰り、ラッコたち! | Welcome Back, Otter

本日は2015年11月18日付のOregon Wildから、"Welcome Back, Otter "をお届けいたします。

3回シリーズで、ラッコの生態や歴史、その重要性に触れた記事になっています。今回はそのパート1をお送りします。

ラッコ。やわらかい、グレーブラウンの房のような毛、小さくていぶかしげな二つの黒い目、だらりとした水滴の垂れるひげ。太平洋のワシントン州の海岸沖にぷかぷか浮かび、濡れた頭を水の上に出し、小さな前足を空中に突き出してバランスをとる。「何か心配でも?」という表情で、大人の男も女も初めて子犬を手にしたときのような歓声を上げてしまうような、面白い動作。ラッコは愛さずにはいられない。ラッコはまた、偶然にもキーストーン種であり、まじめに可愛いという他に沿岸海洋生態系の生態系の健全性において非常に重要なのだ。

 

ラッコへの愛情は、最初の子ども、お気に入りのジーンズ、ブレザー、オレオクッキー、そんなものと張り合えるものだということは分かっているだろう。しかし、このヒゲの生えた毛玉のような生き物をありがたく思うには、この生き物について基本的なことを少し知っていくことが大切だ。

ラッコはMustelidaeと呼ばれるイタチ科の動物の中でもっとも身体が大きい。海洋哺乳類の中では2番目に小さく、オスの体重は49~99パウンド(約22~44.5kg)、メスは31~73パウンド(約14~32.8kg)になる。体は小さいがカーダシアン家(訳者注:リアリティ番組のお騒がせセレブ一家。毛深いことで知られる)を含む地上のすべての動物の中で最も密度の高い体毛を持っている。実際、ラッコは1平方インチ当たり25万から100万本の毛が生えている。ポートランドの美容師が羨ましがるほどの複雑な2層になっている毛の構造によりラッコの皮膚は完全に水に濡れない状態になっている。脂肪層がないことを補うために進化した特徴だ。

 

ラッコはフレンドリーだが、皆が思うほど社交的ではない。ラッコは、いつも一緒につるんで楽しく過ごすが普段は一人でいるような友人のようなものだと思えばよい。ラッコは殆どの時間一人で過ごす。エサをとったり、食べたり、毛がちゃんとしているか確認したりという日々のことをを一人で行う。実際、ラッコは1日のうち24~60%はエサを探すために費やしており、残りの時間の多くは体毛がきれいでちゃんとしているか確認するのに使われている。

 

自分がラッコだったと想像してみてほしい。驚いて、前足を顔の前に上げる。「こんなふうに生まれ変わるなんて、どうしてこんなに運がよかったんだろう?」と隣にいる獰猛なヒトデに尋ねてみる。まあ気にしないで欲しい。そういうことを考える時間はない。ブルースタードーナツ(訳者注:人気のドーナツ店)にいる学生よりも腹ぺこだからだ。何を食べようか?自分の好きなエサを探しに海の底へ潜る。海に住む\無脊椎動物や小さな魚。ふと、アワビを発見する。1分から4分ほどかけて動かして吸盤を外し、アワビを持って水面に上がる。左脇にあるポケットから、自分オリジナルの石を取り出し、殻をジャックハンマーのように正確に激しく45秒ほど打ち付ける・・・そしてできた!ファーストフード・シーフードだ。

ラッコは一夫多妻制だ。つまり通常オスは複数のメスをパートナーとしている。妊娠期間は4か月から12か月で通常は1度に1頭の赤ちゃんが生まれる。ほとんどのメスが出産するのは年に1度だ。赤ちゃんが生まれたら、メスのラッコは子どもに対して信じられないほど献身的になる。母親ラッコは冷たい水に触れないよう赤ちゃんをお腹の上に乗せる。赤ちゃんが水に浮いていられるよう毛の間に空気を入れるために一生懸命舐めていない時は、母親はエサを探しに行く。赤ちゃんを寿司のようにケルプの切れ端に巻き付け、海に流されていかないようにしておく。

 

結局、生まれて死ぬまで、生命は一周するようになっている。でも微笑んでいてほしい。ラッコたちはまっすぐ天国へ行くと確信できるだろう。野生では通常オスなら10年から15年、メスなら15年から20年生きる。高齢、病気、捕食者など死には様々な原因があるが、その3つがほとんどの場合この動物にとって致命的となっている。

 

次回は、西海岸における毛皮貿易とラッコの個体数の崩壊、オレゴンでの絶滅について探ってみることにする。パート2はこちら

Oregon Wild

Welcome Back, Otter

Nov 18, 2015 By Seth Heller