【記事】ラッコがオレゴンに帰ってくる | Sea Otters Are Coming Home to Oregon!

本日は2015年1月2日付のOregon Wild Blogから、"Sea Otters Are Coming Home to Oregon!"をお届けします。かつてオレゴン州にもラッコの移殖が試みられましたが、残念ながら定着していません。オレゴンにもいつか、ラッコは帰ってくるでしょうか。

文:エレノア・ソロモン(オレゴン・ワイルド インターン)


ラッコはかわいい動物です。厚い毛皮、小さくて丸い目を見ると、誰もその魅力に逆らうことはできません。でも、このかわいらしさと別に、なぜラッコは重要なのでしょうか。


ラッコはキーストーン種です。キーストーン種とは、生態系にとって極めて重要な種(しゅ)です。その種がいなければ、他の生き物たちは滅びてしまうのです。ラッコは沿岸生態系におけるケルプの豊かさを維持する重要な役割を果たしています。ラッコが食べる生き物、たとえばウニなどは、ケルプを食べます。ラッコがいなければ、ウニは多くの海の生き物に棲家や食べ物を供給しているケルプを食べつくしてしまいます。だから、ラッコは海洋生態系にとって必要不可欠なのです。

(Photo from seaotters.org)
(Photo from seaotters.org)

世界的に見ると、ラッコの生息数は安定していません。ヨーロッパ人がアメリカ大陸に来る前は、15万から30万頭のラッコがいたと推測されています。しかし、18世紀と19世紀にラッコは毛皮目的でほぼ絶滅寸前まで狩られてしまい、世界の生息数は1000から2000程度までに激減しました。そのため、1911年に膃肭獣保護条約(おっとせいほごじょうやく)が結ばれ、毛皮を持つ海洋動物の乱獲を禁じました。その後、1977年に絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律により保護されました。


その法律や条約が締結された後、ラッコの生息数はなんとか復活し、今日、10万6,000頭が生息しているとされています。しかし、ラッコはまだ別の危険にさらされています。1989年、アラスカで起きた原油流出事故は数百頭、あるいは数千頭のラッコを死に至らしめました。ラッコは今でも絶滅の恐れがある種に分類されており、オレゴンでは更に悪い状況です。


ここ数年、ラッコが目撃されることが増えていますが、オレゴン州にはラッコの定住地がありません。これは変です。世界のラッコの生息数はある程度しっかりしているからです。ほとんどのラッコはアラスカや東アジアの海岸沖、そしてカリフォルニア州とワシントン州の一部で見られます。なぜオレゴン州はそこにないのでしょうか。カリフォルニア州も、アラスカ州も、ワシントン州もみなラッコを復活させるために相当の努力をしてきており、その結果、相当の成功を収めてきました。とくにアラスカはそうです。しかし、オレゴン州は、そうした努力をほとんどしてきていません。

オレゴンの沿岸の海域は、油や化学物質の流出や二酸化炭素排出で汚染されています。汚水の排水による病原菌も水を汚染し、ラッコを死に至らしめる病気に感染させます。その中でもトキソプラズマや肉胞子虫は猫の糞によるものです。その毒性のため、カリフォルニア州は猫の糞の廃棄の仕方について規則を定めています。ラッコに生息地を与えるために私たちが沿岸水域を改善させなければならないのは明らかです。ここ数年、オレゴンの沿岸沖で、ラッコが目撃されることも増えてきました。州として、今こそ行動を起こす時なのです。


先に述べたように、ラッコは非常に可愛らしい動物です。しかしそれ以上に、ラッコは沿岸生態系にとって重要な存在なのです。私がラッコのことが好きなのは、単ににそのかわいらしさからだけではなく、ラッコという存在そのものであり、ラッコに代表される海の自然からなのです。ここ10年、絶滅の危機にあったハイイロオオカミがオレゴンに戻ってきました。ラッコも同じように戻ってきて欲しいと思います。私が50歳くらいになった時、このオレゴンでもっと豊かで健全で、生物学的に多様性のある自然を見ることができるようになっていて欲しいと思います。問題は、「オレゴン州はラッコやラッコを必要とする沿岸生態系を守るための努力をすることができるか」ということです。

記事元:

Oregon WildBlog

Sea Otters Are Coming Home to Oregon!

Jan 02, 2015 | Quinn Read