今回は2014年10月24日にSanta Cruz Sentinelに掲載された記事、"Dan Haifley, Our Ocean Backyard: Sea Otters are kelp forest managers"をご紹介します。ダン・ヘイフリー氏による3回のコラムシリーズで、次回は11月になるそうです。
9月、アメリカ地質調査所はカリフォルニアラッコについてのレポートを公表しました。過去3年の個体数の平均値は、前回の2,939頭から2014年は2,944頭と、僅かに増えました。
これから3回に渡ってこの象徴的であるが脆弱なラッコについてのコラムをお届けするつもりです。ラッコは、沿岸の侵食を防ぎ、過剰な炭素を吸収して非常に重要な生息地を提供しているケルプ(大型の海草)の森を管理しています。
アメリカ地質調査所の生物学者でカリフォルニア大学サンタクルーズ校の生態学及び進化生物学の准教授であるティム・ティンカー氏は、その人生の多くをカリフォルニアラッコの研究に捧げてきました。今日、ラッコは北はピジョン岬、南はサンタバーバラ近くのコンセプション岬にわたり生息しています。
カリフォルニアラッコとも呼ばれるこの亜種は、18世紀から19世紀にかけての毛皮貿易の時代を生き延びた、ごく僅かなラッコたちの子孫です。1900年ごろまでには絶滅したと考えられていましたが、1938年、50頭から100頭ほどのラッコが生き残っているのがビッグサー付近で発見されました。科学者たちは、毛皮貿易時代以前のカリフォルニアラッコの個体数は16,000頭ほどであったとみています。
生き残ったラッコたちは、1930年代からゆっくりと数を増やし、生息域を拡大してきました。
「カリフォルニア沖合の大陸棚は急に深くなっており、非常に狭い帯状の生息地を形成しています。北のほう(※アラスカ)のほうに住むラッコの生息地とはかなり異なっています。この一次元的な地形が回復率を制限するものとなっており、1970年末から1980年初頭にかけて仕掛けられた漁網に絡まったことによる死亡率が増加し、数年にわたり個体数の減少をもたらす結果になりました」
とティンカー氏は述べました。2000年、レイエス岬・アルゲロ岬間では360フィート(約108m)より浅い部分に漁網を仕掛けることが禁止されました。
カリフォルニアラッコは、ワシントン州・アラスカ州、カナダのブリティッシュコロンビア州のラッコやロシアの海域に住むラッコとは別の亜種です。遺伝学的には異なっていますが、アラスカラッコとは身体的にはほぼ同じで、僅かに小さいくらいだとティンカー氏は述べました。
ラッコは、淡水にすむ同系統のカワウソよりも大きな体をしています。
「ラッコは、海で生きていくためにいくつか適応した特徴があります。例えば、保温のためのぶ厚い毛皮、平たい尻尾、後足の骨格の変化、水中でよりよく進むことを可能にした(しかし陸上では動きが鈍い)骨盤、大きな腎臓、あらゆる無脊椎動物に適した消化系、そして非常に高い代謝です」
とティンカー氏は述べます。
ティンカー氏は、ラッコがケルプの森において「キーストーン種」という肩書きを得ている理由について次のように説明しました。
「ラッコは冷たい水の中で体温を保つため、同サイズの陸上の肉食動物の3倍のエネルギーを必要とします。このように代謝が高いため、ラッコはウニのような草食性の無脊椎動物を大量に食べ、その数を減らします。そうしてケルプを食べるウニの数が減るのです」
「その結果、ラッコが多く住むところではケルプの森がより広範囲に、持続的に存在できることになります。これが他の影響をもたらします。例えば、純生産力を増加させ、魚類や無脊椎動物の棲家を増やし、波エネルギーや沿岸の浸食を減らし、大気中の炭素の固定化を増やす、ということです」
次のコラム:ラッコはどのように1日を過ごしているのだろうか?そしてその数は回復するだろうか?
ダン・ヘイフリーはO'Neill Sea Odysseyのエグゼクティブ・ディレクターです。お問い合わせはdhaifley@oneillseaodyssey.orgまで。
記事元:
Santa Cruz Sentinel
Dan Haifley, Our Ocean Backyard: Sea Otters are kelp forest managers
POSTED: 10/24/2014 03:14:00 PM PDT By Dan Haifley
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