ラッコの分布 | Distribution

最終更新日:3/27/2018

日本(北海道)

分布と個体数
北海道東部沿岸(根室付近) 不明
北海道南部沿岸(襟裳岬付近) 不明
保全状態
  • 環境庁レッドリスト:絶滅危惧IA類(CR)

出典:環境省レッドリスト2017

出典:環境省生物情報収集提供システムいきものログ(1996年及び1997年のデータ)
出典:環境省生物情報収集提供システムいきものログ(1996年及び1997年のデータ)

北海道にもかつて野生のラッコが生息していましたが、アメリカやカナダのラッコ同様に毛皮交易時代に乱獲され、ラッコは姿を消しました。

ラッコに関する公的な発表は2002年発表の「第6回自然環境保全基礎調査 海域自然環境保全基礎調査 海棲動物調査 (鰭足類及びラッコ生息調査) 報告書」が最新です。この発表からすでに15年以上が経過していますが、政府による継続的な個体数調査等は行われておらず、アザラシ研究グループがアザラシの個体数調査をする際、併せてラッコの個体数が調べられているだけですが、この調査については調査場所に関しては非公開になっているため詳細は不明です。

第6回自然環境保全基礎調査 海域自然環境保全基礎調査 海棲動物調査 (鰭足類及びラッコ生息調査) 報告書, p72, 2002
第6回自然環境保全基礎調査 海域自然環境保全基礎調査 海棲動物調査 (鰭足類及びラッコ生息調査) 報告書, p72, 2002
第6回自然環境保全基礎調査 海域自然環境保全基礎調査 海棲動物調査 (鰭足類及びラッコ生息調査) 報告書, p73, 2002
第6回自然環境保全基礎調査 海域自然環境保全基礎調査 海棲動物調査 (鰭足類及びラッコ生息調査) 報告書, p73, 2002

2018年現在、モユルリ島、納沙布岬、霧多布岬、襟裳岬島周辺に少数のラッコが再定着しているようですが、詳しい調査研究などは行われていないようです。

ロシア

分布と個体数
コマンドルスキー諸島 5,500
カムチャツカ半島 3,500
クリル諸島 19,000
保全状態
  • 不明

出典:IUCN

ロシアには現在、コマンドルスキー諸島及びカムチャツカ半島沿岸、クリル諸島にAsian Sea Otter(Enhydra Lutris Lutris)=ロシアラッコが生息しています。毛皮交易時代に激減しましたが、その後回復傾向にあります。

 Pacificinfo.ruより、着色加工
Pacificinfo.ruより、着色加工

カナダ

分布と個体数 (2013年)
バンクーバー島 5,612  
ブリティッシュコロンビア州中央沿岸部 1,142 
保全状態
  • SARA Status: Special Concern (2009)
  • COSEWIC Status: Special Concern (2007)

出典:Sea Otter : Species at Risk Public Registry, Government of Canada

カナダのラッコは毛皮交易時代に絶滅しましたが、1969年と72年にアラスカ州からNorthern Sea Otter (Enhydra Lutris kenyoni)、いわゆるアラスカラッコ合計89頭が再導入され、それが現在の個体群のもととなっています。図は2013年現在の生息域で、2008年の生息域(黄色)から2013年までに広がった部分が赤でしめされています。

アメリカ

現在、アメリカには2亜種が生息しています。アラスカ州及びワシントン州に分布しているNorthern Sea Otter(Enhydra Lutris Kenyoni)=アラスカラッコと、カリフォルニア州に分布しているSouthern Sea Otter (Enhydra Lutris Nereis)=カリフォルニアラッコです。

アラスカ州

分布と個体数 (2014年)
アラスカ南東部 21,798
アラスカ南中部 14,661
アラスカ南西部 45,064
保全状態
  • ESA: Threatened (Southwest Alaska stock)
  • MMPA: strategic stock(Southwest Alaska stock)

出典:US Fish and Wildlife Service Stock Assessment Reports 2014

アラスカ州ではNorthern Sea Otter(Enhydra Lutris Kenyoni)=アラスカラッコが見られます。
現在はアリューシャン列島からアラスカ州本土の南部沿岸にかけて広く生息しています。
南東部沿岸のラッコは、1960年代から70年代にアムチトカ島から再導入されたものが定着し繁殖したものです。

アラスカ州におけるラッコの分布 (USFWS)
アラスカ州におけるラッコの分布 (USFWS)

ワシントン州

分布と個体数 (2017年)
ラプッシュ以北 440
ラプッシュ以南 1,618
保全状態
  • State Status: Endangered

出典:SEA OTTER (Enhydra lutris kenyoni) WASHINGTON STOCK 2018

ワシントン州では毛皮交易時代にラッコが絶滅してしまいましたが、1960年終わりから70年代初めにかけてアムチトカ島から再導入されたアラスカラッコがオリンピック半島に定着し、順調に個体数を増やしています。

現在のワシントン州のラッコの分布域、1969年及び1970年の再放流場所とワシントン州における目撃場所(Lance et al.2004より)
現在のワシントン州のラッコの分布域、1969年及び1970年の再放流場所とワシントン州における目撃場所(Lance et al.2004より)

オレゴン州

分布と個体数
不明 不明
保全状態
  • State Status (Oregon ESA) : Threatened

出典:Oregon Department of Fish and Wildlife

オレゴン州にはかつてNorthern Sea Otter(Enhydra Lutris Kenyoni)=アラスカラッコと、Southern Sea Otter (Enhydra Lutris Nereis)=カリフォルニアラッコの両方が生息していましたが、毛皮交易時代にラッコは絶滅してしまいました。1960年代、70年代に再導入が試みられましたが、定着には至りませんでした。

ここ数年、何度か目撃情報はありますが、定着はしていません。

カリフォルニア州

分布と個体数 (2018年)
カリフォルニア州本土 3,035  (3年平均値)
サンニコラス島 93 (3年平均値)
保全状態
  • ESA : Threatened
  • MMPA: Depleted
    State Status: Fully Protected

出典:California sea otter (Enhydra lutris nereis) census results, spring 2018

カリフォルニア州は、北はサンマテオ郡のピジョンポイントから南はサンタバーバラ郡コンセプション岬の南までの本土沿岸に分布しています。これらは毛皮交易時代を奇跡的に生き延びた、ビッグサーの50頭余りのラッコが徐々に回復してきたものです。1980年代、生息地を再拡大するラッコと水産業との軋轢を緩和するため、コンセプション岬の南からメキシコ国境にかけての水域をNo Otter Zone(ラッコ排除水域)とし、ここに迷い込んだラッコをサンニコラス島(地図の下のほうの島)へ移植しました。この試みはラッコを保護する役に立たないということが判明し、終了しましたが、移植されたラッコの一部はサンニコラス島に定着し繁殖しています。

カリフォルニアラッコのカリフォルニア本土中央沿岸部およびサンニコラス島における分布 2018年。
カリフォルニアラッコのカリフォルニア本土中央沿岸部およびサンニコラス島における分布 2018年。