2月にトキソプラズマ症などにより救助されたラッコ、フリングは7月初めふるさとの海へ戻りました。
フリングはオスのカリフォルニアラッコで、2019年2月28日にカリフォルニア州モスランディングで保護されました。サウサリートにある海洋哺乳類センターへ運ばれ、肺炎、栄養不良、トキソプラズマ症の治療およびリハビリを受けました。
フリングには、リリース前にライフヒストリータグという小さな発信機が埋め込まれています。これは新しい技術を使い個体の生活状況を記録する装置です。タグのセンサーが明るさや温度、体内の働きなどを記録し、その個体の死後体が腐敗しタグが水面に浮かび上がるとデータが衛星を通じて送信されるようになっています。これらのデータはラッコがいつどのように繁殖活動を行うかや、死因などを理解する手がかりとなるのです。
【ライフヒストリータグに関する参考記事】 |
こちらは、2019年7月1日にフリングがリリースされた際の映像です。
まだ自分がもといた場所に戻ってきたことがよくわかっていないのかもしれません。少し躊躇する様子を見せていますが、ゆっくりと水の中へ入っています。
私たちがフリングを見かけたのは7月12日の午後7時ごろ。
そのラッコがフリングかどうかその時は分からなかったのですが、足ヒレにピンクと黄色のタグが付いているのは分かりました。リリース時の写真にピンク色のタグが見えたので同センターに問い合わせてみたところ、タグにある番号からそれがフリングであったことが分かりました。通常、モントレーベイ水族館がラッコをリリースする際はVHFタグ(無線追跡装置)が体内に埋め込まれますが、アンテナを使ってその個体の無線が発信する信号から個体を特定することができます。しかし、海洋哺乳類センターによるとフリングにはVHFタグは装着されていないので、アンテナで探すことはできず、目視による発見だけが頼りになるそうです。今回は偶然フリングを撮影しましたが、同センターのレスキュー部門の方にもリリース後のフリングの様子を見ていただくことができたので良かったです。
ずいぶん日が傾いており、手持ちの望遠で撮影しているので少し見ずらいですが、フリングが一生懸命グルーミングをしている様子が分かります。
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ユッキー (金曜日, 26 7月 2019 09:11)
フリング元気そうでよかったですね。
レスキュー部門の方もきっと一安心していることでしょう。
今日も世界の動物たちが元気に過ごせますように。