【記事】モスランディング州立ビーチに新しいラッコ横断歩道が設置される | New sea otter crossing installed at Moss Landing State Beach

本日は、2019年2月1日付のMonterey Herald紙から、"New sea otter crossing installed at Moss Landing State Beach"をお届けします。ラッコが道路を渡っていた場所に、立派なスピードハンプが設置されました。2016年に車に轢かれて死んでしまったミスター・エンチラーダの死を無駄にしないために、多くの人々が尽力しています。ミスター・エンチラーダの死に関する記事一覧は記事下にまとめましたのでご覧ください。

新しいラッコ横断歩道がモスランディングのジェッティ・ロードに設置された (Vern Fisher – Monterey Herald)

モスランディング— 1800年代の毛皮交易により絶滅近くまで乱獲されてしまったラッコの回復は山あり谷ありだ。そして今、ラッコたちは新しい保護を得た。道路にバンプをつけてもらったのだ。

 

最近、モスランディング州立ビーチへの入り口に、ジェッティ・ロードでの車の行き来をスローにさせるため、スピードテーブルが2つ設置された。このプロジェクトは道路に時々でてきてしまうラッコと、ラッコを見る人々を守るためのものだ。

 

「モスランディングのラッコたちは、中央沿岸部で最も妨害を受けているグループです」そう語るのは、モスランディング海洋研究所の調査団体であるシーオターサビーのプログラムコーディネーターのジェナ・ベントールだ。「ここのラッコたちは、基本的に都市部に暮らしています」

 

1つ目のスピードハンプは昨年12月にジェッティ・ロードに設置され、2つ目が1月に設置された。去る火曜日、プロジェクトが完成し、現在2つの人工スピードハンプがジェッティロードにあり、2つの黄色い標識と道路上には反射する白い文字が書かれている。しかし、子どもが渡るのではなく、ラッコが渡るのだ。

モスランディングのジェッティ・ロードに設置された新しいラッコ横断歩道(Vern Fisher – Monterey Herald)

「ここを通る人たちは、スピードハンプを見たり感じたりすることで、車のスピードを落とさなければならない場所だということを理解してくれるはずです」とカリフォルニア州立公園の環境科学者、エイミー・パルコヴィックは言う。

 

このプロジェクトは、カリフォルニア州沿岸管理局から12,600ドルが出資された。この資金は、ラッコの個体群を回復させるために、納税者が自発的に協力したカリフォルニアラッコ基金から拠出されている。

 

モスランディング州立ビーチにスピードハンプを設置するこのプロジェクトは、モスランディング・ロードに以前あったものと似ている。ミスター・エンチラーダと住民により名付けられていた、1頭の愛されていたラッコが2016年に車にはねられて死んだ後、ラッコを守るために力を尽くした。

 

モスランディング・ロードにもともと設置されていた人工のスピードハンプは、法令順守の問題から取り除かれてしまった。この道路は魚や道具などを積んだモスランディングに配達に行く重量のあるトラックが通れるスピードハンプを設置するための十分な厚みがないのだ。そのため、そのスピードハンプはアスファルト製のものに取り換えられた。

 

しかし、そもそもラッコはなぜ道路を渡るのだろうか。

 

環境保全法のもと、保全活動の甲斐あってラッコの個体数は増えてきているが、ラッコの間ではエサを見つけるための競争が激しくなってきた。ラッコたしは、新しいエサ場をさがさなければならなくなった。たとえそのために、道路を渡ることになっても。

 

ラッコが道路の下を通る土管を使わずになぜ道路を渡るのか、本当の理由は誰もしらないが、専門家は考えられる理由が2つあるという。一つは、潮が引いて土管から水がなくなってしまうことだ。

 

「ラッコは乾燥したり口では歩くのは得意ではありません。従って、狭い場所を歩くのはラッコにとって難しいのでしょう」とシーオターサビーのベントールは話す。乾いた陸地を歩かなければならない時、ラッコは少し余裕をもってそうするかもしれない。

 

もう一つの理由は、流れが急すぎるということだ。潮が満ちていようと引いていようと、流れに逆らって泳いで土管を通り抜けるのはラッコにとって大変なのだろう。

 

しかし、こうした理由は推測に過ぎない。

 

「どうしてそんなことをするのか、ラッコたちが話してくれるわけではありませんから」とエルクホーン・スルー保護区の市民科学者、ロン・イービーは言う。「とはいっても、きっとラッコにとっては道路を渡るほうが簡単なのだろうと考えるほうが理屈に合っていると思います」

 

イービーのような市民科学者やシーオターサビーのようなラッコ保全団体は、いつ、どのように、なぜラッコが道路を渡るのか調査することに関心がある。「これは非常に独特の状況で、ラッコが困った時にどのような反応をするかという情報を得るめったにない機会です」とベントールは言う。

 

ラッコはまた、科学者に言わせるとキーストーン種である。これは、海洋生態系のなかでラッコが非常に重要な役割を果たしているという意味だ。ラッコがいない未来を垣間見、なぜそうした状況を避けなければならないのか、私たちはすでに経験している。1800年代にラッコが絶滅寸前まで乱獲された当時、モスランディングの風景と野生動物たちは劇的に変わった。

 

「わたしは、ラッコのことを『沿岸のスーパーヒーロー』と呼んでいます。ラッコはこの場所の健全性を維持するため重要であり、わたしたちはそこから食糧を得たり、様々なものを生産したり、あるいは沿岸近くで暮らしを楽しむことができるからです」とベントールは言う。

 

単純に可愛いと言う理由だけでラッコが好きだと言う人は多い。海の上に仰向けになって浮かび、貝を食べ、腹をテーブルのように使っているさまを見て、『わぁ』と言わないのは難しい。

モスランディングのエルクホーン湿地帯で浮かぶラッコ。木曜日撮影。(Vern Fisher – Monterey Herald)

しかし、近くで暮らすラッコたちに敬意を払い、守ることは重要だ、と環境活動家らは言う。

 

スピードハンプを背xx比するのは、そうするためのたくさんの手段の一つでしかない。しかし、イービーはハンプがすでに役立っているのを見たと言う。

 

「通る車がみなスピードを落としています。そうした様子を見て嬉しく思います」とイービーは語った。

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