本日は2018年4月17日付のThe Conversationの子どもからの質問コーナーより、"Curious Kids: Why do sea otters clap?"をお届けします。ラッコが手をパチパチするのはどうしてなのか?5歳の子どもの素朴な疑問です。
Mai Lam/The Conversation NY-BD-CC, CC BY-SA
この記事は、Curious Kids(好奇心旺盛な子どもたち、の意)、子ども向けのシリーズからの引用です。The Conservationは、専門家に聞いてみたい質問を子どもから募集しています。真面目な質問、変な質問、おかしな質問、何でも大歓迎です!
回答:デイビッド・ホッキング/モナシュ大学リサーチアソシエイト
やあ、アレックス。いい質問だね。ラッコは僕の大好きな動物の一つだよ。
動物がどうしてこんなことをするんだろう?という質問について考える時、僕たちがまず自分に問いかけなければならないことがある。その行動が自然なものかどうか、ということだ。
もし、動物園や水族館で運よくラッコが手をたたいているところを見たことがあるのなら、君が見ていたのは人間の飼育員から手をたたくように訓練されたラッコだったかもしれない。
でも、野生のラッコはどうかな?野生のラッコも手をたたくのかな?もしそうなら、何のためだろう?
野生のラッコはどのように手を使うんだろう?
ラッコは魅力的な生き物だ。ラッコは息をする動物だけど、ほとんどは一生を海ですごすんだ。泳ぐときは後ろ足で泳ぐんだけど、そうすれば前足は自由になって泳ぐときに他のことができる。
野生のラッコは水の上で眠る。寝ている間に流されてしまわないように、手を使って海藻につかまったり、お互い手を繋いだりして、群れになって浮かんでいる。昼間休むときは、よく眠れるよう目を手で覆っているところが見られる。
それからラッコは毛づくろいするのにも手を使う。ラッコは動物の中でも一番毛皮が分厚いので、北太平洋の差凍えるように寒い海でも温かく過ごすことができる。毛をきちんとしておくために、手で毛を揉んで肌のそばに空気を取り込んで、温かく乾いた状態にしておく。横から見ると、その様子が手をたたいているように見えるのかもしれない。
ラッコは毛のグルーミングをしながら手をたたくときもあるようだ
でも、ラッコが手を使ってすることで一番面白いのは、エサを食べるときだ。貝やカニ、ウニなどの固い殻のついたエサをとってくると、ラッコはお腹の上に置いた石にぶつけてその殻を開けるんだ。ラッコはお気に入りの石をわきの下に入れて持ち歩くということも知られている(注:下記参照)こんなふうにしている時に手をたたいているように見えるのに加えて、殻を石にぶつけている音が手をたたく音のように聞こえるのかもしれない。
だから、野生のラッコにとっては、「手をたたく」ことは毛づくろいをしたり食べる支度をしたりするのに役立っているのかもしれないね。
で、手をたたくのは楽しいのかな?いつか君がラッコに会える時があったら、聞いてみるといいかもしれないね。
らっこちゃんねるより
色々なところで「ラッコはお気に入りの石を持ち歩く」という説が流れていますが、ラッコが石を持ち歩くことは基本的にはほとんどないと言ってもいいかもしれません。ラッコがエサを食べる時に使う石は想像以上に大きく、ずっと持ち歩くには不便です。実際、貝などを割る時に使っても、エサを食べながらくるりと回転する際に石を水の中に落としてしまいます。これまでラッコを観察してきて、石を捨てずに持って移動したりしているラッコは1頭しか見たことがありませんが、次に見た時は持っていませんでした。モントレーベイ水族館のラッコ研究員ジェシカ・フジイさん(参考記事はこちら)やSea Otter Savvyのラッコ生物学者も「ラッコがお気に入りの石をポケットに入れて持ち歩くのは迷信」(ソースはこちら)と話されています。
最後に、モントレーベイ水族館のラッコ、セルカとジョージア水族館のオズの拍手をご覧ください。
"Wow, cutting onions huh? That's terrible! I was bit by a white shark, #AndThatsHowIGotThisScar." — Selka the Salty pic.twitter.com/K78NyMCq47
— Monterey Bay Aquarium (@MontereyAq) February 20, 2018
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