【記事】アラスカ南西部でラッコが大量死 | Officials investigate otter deaths in southwestern Alaska

本日は2018年3月8日付のKTOO Public Mediaから、"Officials investigate otter deaths in southwestern Alaska"をお届けします。
2015年、アラスカ州カチェマック湾でストレプトコッカス症によるラッコの大量死がありましたが、同様の事件が今回アラスカ南西部で起きており、当局が調査の準備を開始しています。

キーナイフィヨルド国立公園で海に浮かぶラッコ(Public domain photo by Kaitlin Thoresen/National Park Service)
キーナイフィヨルド国立公園で海に浮かぶラッコ(Public domain photo by Kaitlin Thoresen/National Park Service)

アラスカ南西部で、普通でない数のラッコの死体が発見されている。

 

アメリカ魚類野生生物局は一見健康そうに見えるこれらのラッコの死因の調査を開始した。

 

 

1月の終わり、アラスカ州ポートモラーとネルソンラグーン近くの浜で、ラッコの死体や瀕死のラッコが発見された。

 

 当時、これらのラッコがなぜ死んでいくのか理由がはっきりしていなかった、と調査を行ったアメリカ魚類野生生物局の生物学者ミシェル・サンマーティンは言う・

 

死んだラッコは40頭確認されているが、地元民らが通報した数は200近くになる。

 

ラッコの死体のいくつかは、検査のためウィスコン州マディソンへ送られた。

 

これらの死の原因は、ストレプトコッカス(ストレップと呼ばれる)というバクテリアにより引き起こされる感染症であることが突き止められた。

 

「急激に死んでしまうようで、私たちが引き取った死体は、健康状態についてはみんな良好でした」

 

ストレップは自然に生存しており、過去にもラッコの死を引き起こしているが、サンマーティンはストレップについては分かっていないことが多いという。

 

「このバクテリアが、なぜどうして生態系の中に入り込んでいるのか、本当に分からないのです」

 

アメリカ魚類野生生物局の生物学者ジョエル・ガーリッチ=ミラーはラッコの専門家だ。彼は以前、カチェマック湾で起こった、同じようなラッコの大量死について調査していた。

 

科学者が一つ分かっていることは、食物を通じてストレップがラッコの体に入っていることだが、具体的に何から入ってくるのか研究者にはわかっていない、とガーリッチ=ミラーは言う。

 

「ラッコは泳いでいるうちにストレップに感染するのではなく、エサとなる生き物を食べることで感染するのです」

 

死んだラッコから人間にストレップが感染するかどうかについては、研究者は分かっていない。

 

ガーリッチ=ミラーによると、ラッコから他の生物にストレップが感染した形跡はない。

 

「カチェマック湾では興味深いことが起きていました。そのエリアにはミンククジラ、ザトウクジラ、ゼニガタアザラシ、アシカなどの海洋哺乳類が非常に多く生息しています。また、様々な鳥がラッコの死体を食べます。他の動物には、ストレップによる死が全く見られないのです」

 

ネルソンラグーンやポートモラー付近の個体群に、今回の大量死がどのように影響しているのか、アメリカ魚類野生生物局はまだ分かっていない。

 

アラスカ南西部のラッコは絶滅に瀕する種と考えられている。1980年以降、その数は50%以上減っている。

 

現在、アメリカ魚類野生生物局は、そのエリアのラッコの個体群の調査の準備に入っており、今年後半結果が発表されることになっている。