本日は2017年11月3日付のFriends of the Sea Ottersから"Counting Noses: Not an Easy Feat"をお届けします。ラッコの個体数調査は非常に困難を伴い、信頼性に疑問が残ります。しかし保全努力を行ううえで個体数の傾向を理解することが必須であるため、少しでも数値の信頼性を高めるため、3年平均値が個体数指数として使用されています。
カリフォルニアラッコは何頭いるのか。個体数は増えているのか減っているのか。ラッコは回復の道のりのどの程度まできているのか。ラッコが直面している最も大きな脅威は何なのか。
このような多くの疑問はラッコの回復物語、1900年代初めに人間が絶滅寸前までラッコを乱獲したことから始まる物語の中心だ研究者、保全活動家、海洋管理、水産業管理、野生生物管理の専門家はみな信用できるデータの礎となるものを求めている。そうしたものをもとに、ラッコの回復に影響する科学的な根拠のある政策決定を進めたり支持したりするからだ。
ラッコの亜種の中で最も南に生息するカリフォルニアラッコは、世紀が変わるころまでに一部にわずかな数になるまで乱獲されてしまう以前はバハ・カリフォルニアに至るまでの沿岸地域に生息していた。このキーストーン種は1911年までには恐らく30頭から40頭ほどまでに減り、100年以上たった現在でも、カリフォルニアラッコの個体数は3,000頭を僅かに超える程度だ。この数少ない個体群は北はサンマテオ郡のピジョン岬から南のサンタバーバラ郡ガビオタ州立ビーチ、までのカリフォルニア中央部、そしてヴェンチュラ郡沖のサンニコラス島にいる僅かな移植された個体群に分散している。その地域のラッコの個体数が環境収容能力、つまり現在の生息域の資源が維持できる個体数、の上限に達しつつあり、本土沿岸生息域(シーサイドからカユコスまで)の中央部の成長は限定されているようだ。生息域の北端・南端のラッコの数が拡大するには持続的な個体数の拡大と回復が必要だ。
保全努力と科学的研究を効果的に導くため、私たちはカリフォルニアらのっ子の数が増えているのか減っているのか、あるいは停滞しているのかをより深く理解する必要がある。
研究者らはカリフォルニアのラッコの数を調査する年次個体数調査で個体数の傾向を追跡している。十分に訓練を受け経験を積んだ人々が毎年春になると現地へ赴き、カリフォルニア沿岸沿いを足でもしくは飛行機でラッコを探しつつ、協力し隅々まで数える。岩の多いアニョヌエボから砂丘のあるの続くピスモビーチ、荒い海に面したコンセプション岬に至るまで、何百マイルもの沿岸生息域ですべてのラッコの鼻の頭の数を数えるのは、非常に難儀な仕事だ。
アメリカ地質調査所西部生態系調査センターがコーディネートするこの年次調査には、カリフォルニア魚類野生生物局、モントレーベイ水族館、アメリカ魚類野生生物局、シーオターサビーなどが参加している。
毎年の調査は「ローナンバー(生の数)」という、実際に数えたラッコの数になる。ケルプの種類の構成や豊富さ、視界のコンディション、観察者の経験、ラッコ自身の行動や分布など様々な要素により、毎年生の数は影響を受ける。こうした要素は全て単独で、あるいは組み合わさって観察者が目でラッコを特定する能力に影響を及ぼしてしまう。例えば、海面に出ているジャイアントケルプがあまり豊富ではなかった時代はラッコは分散している傾向があり、観察者が見る際にラッコを見逃してしまう可能性があった。こうした理由により、どの年の生の数も、前年から増えたり減ったりしているという信頼できる指標とはならない。公的なその年の指標は連続した3年間の平均値に基づいている。例えば、2017年の指標は2015年、2016年、2017年の生の数の平均に基づいている。この3年平均値は「個体数指数」と呼ばれ、アメリカ魚類野生生物局がラッコの個体数の状態を追跡するための基準として用いられている。
数年にわたる数字の比較とともに見ると、個体数指数はカリフォルニアラッコの個体数が成長しているのか減っているのかという傾向を示すが、異常に高い生の数や低い生の数は注目したり心配するに当たらない。2016年と2017年の過去2年のケースにおいては、分布において両極端だった。2016年には記録上最高値になり、2017年に急減した。こうしたものが、注意が必要な理由を示している。現在の個体数指数は昨年から3パーセント減少したことを示しているが、2017年の生の数が長期的にみて懸念すべきものを示しているのかを知るには、2018年まで待たねばならない。
研究者や政策立案者が平均値を重要視することを理解するためには、個々の生の数には限界があるということを知っておく必要がある。生の数が急増したり急減したりしているのは実際数年にわたる個体群の本当の傾向を示しているものかもしれないし、調査のコンディションの悪さやその他のその年の調査の正確性に影響を及ぼす要素のため観察者がミスをした結果ということが判明するかもしれない。個体群の傾向から意味のある見解を得るために、目の前にあるもののはるか先を見据え、より大きな情勢を見ていかなければならない。
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