本日は2017年10月26日付のThe New York Timesから、"California Today: The Plight of the Sea Otter"をお届けします。ラッコは北太平洋沿岸にしか生息していませんが、水質汚染や食料汚染は太平洋沿岸だけでなく世界中共通の問題としてもっと大きく取り上げられるべきと思います。海産物が食生活の多くを占める日本も他人事ではないのです。
おはようございます。
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かつてカリフォルニア沿岸に豊かに生息していたラッコは18世紀と19世紀の毛皮交易時代に一掃されてしまった。
1977年に厳格な野生生物保護法の庇護下になり、この遊び好きの動物の個体数は増えてきた。しかし、遅々とした回復に苦しんでいる。
年次個体数調査によると過去10年、北はサンタクルーズから南はサンタバーバラにかけて生息するカリフォルニアラッコの個体数の成長率は年2%未満だ。
最新の2017年の個体数調査では昨年から86頭減った3,186頭となった。
「時間とともに、個体数増加のスピードは本当に遅くなってきています」ととサウサリートの海洋哺乳類センターの獣医科学ディレクターのショーン・ローソン博士は言う。このセンターは病気になった海洋生物のリハビリテーションを行う非営利団体だ。
病気になったり怪我をしたりしたラッコが何百頭もカリフォルニアの浜に新らり死にかけの状態で現れることが個体数増加を阻んでいる、
2016年、カリフォルニアの野生生物当局の記録ではカリフォルニア沿岸で死んだり死にかけて座礁していたラッコの数が474頭と過去最高になった。10年前の299頭よりも増えている。
そうしたラッコの多くはサメにより致命傷を負っている。病気のラッコもいればアシカを死に至らしめたりカリフォルニアの水産業に脅威を与えてきた藻類の大発生による毒に関係あったものもいる。
そうした藻類の大発生は自然に起こるものだが、排水や肥料が意味へ流れ込むことにより増加していると研究者らは考えている。そうした藻類はドウモイ酸という毒を発生し、食物連鎖を通じて広がっていく。
魚類野生生物局の獣医師であり数百頭のラッコの検死を行ってきたメリッサ・ミラーはドウモイ酸がラッコの個体数に与える影響を完全に理解するにはさらなる調査が必要だと語った。
しかし、ミラーは言う。「とはいえ、ラッコにとってドウモイ酸が深刻な問題であるということは言えると思います。難しいのは、それがどの程度なのかということです」
ラッコはキーストーン種とみなされている。生態系にとって必要不可欠な構成要素だということだ。
ラッコが苦しんでいるということは、海洋生物に有害な可能性があるという警告だというだけではなく、私たち人間にとっても警告であると野生生物の専門家は言う。
「この問題は、陸と海の間の汚染というより大きな問題が形を変えたものに見えます」とミラー博士は言う。
「私たちはラッコが食べているものと同じものを多く食べている」ことを忘れてはならないとミラー博士は言う。「ラッコが苦しんでいる問題の中には、明らかにラッコが食べるエサと関係あるということが分かっているのです」
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