本日は2017年5月2日付のU.S. Geological Surveyから、"Wildlife Recovery Following
the Exxon Valdez Oil Spill was Highly Variable Across Species"をお届けします。
エクソン・バルディーズ号原油流出から28年、動物によって回復の度合いは異なるようです。発表された学術論文概要についての記事です。
25年にわたる調査とモニターにより、研究者らは1989年のエクソン・バルディーズ号原油流出事故における野生生物の種による被害の差、そして個体数が回復するまでにかかる時間について知ることができた。
他の原油流出事故への対応、事故後の被害評価研究の実施、原油の抽出や輸送に係る環境リスクの考慮の際、この情報は非常に重要な意味を持つ。
「なぜなら、原油流出事故が起った地域の野生生物種は、それらが食べるエサ、それらが利用する生息地、個体数が減少した後の回復力については非常に多岐に渡っているため、個体数の回復にどの程度の時間がかかるのかについては多くの差が見られました」アメリカ地質調査所の野生生物研究生物学者で最近このテーマについて書かれた調査論文の主執筆者ダン・エスラーは言う。「ほとんど影響がなかった種もあれば、ハクトウワシのようにすぐに回復した種もあり、ラッコのように回復まで非常に長い時間がかかったものもありました」
アメリカ地質調査所及びアメリカ魚類野生生物局、オレゴン州立大学、North Gulf Oceanic Society(北部湾海洋協会?)により、完全な回復にかかる時間が異なることのほか、被害の程度に影響をもたらした生態学的な要因が特定された。
- 汚染された土砂に生息する無脊椎動物を食べる種は水中の魚や動物性プランクトンを食べる種よりも、原油流出による影響を多く受けていた。
- シャチのような繁殖率の低い種は回復力に限界がある。実際、シャチは原油流出前の個体数まで回復していない
- 原油流出とは無関係に個体数が変化しているものもある。例えば海鳥の中でもウミバトとマダラウミスズメの2種は油暴露による影響を受けてきたが、長期分析では原油流出の前後で個体数の減少が起きており、その理由としてに海洋状況の変化が関係していると思われる。
アメリカ地質調査所は以前、流出事故後20年以上たっても回復が見られないラッコおよびシノリガモの2種について長期研究を先導してきた。同調査所の研究野生生物学者ダン・モンソンは次のように述べている。「ラッコは沿岸がきれいに見えるようになった後も長く海岸の沈殿物に留まり続けた油に晒されたため、油の影響が少なくとも2000年代半ばまで生存率や個体群の成長に影響を及ぼしてきたのです」
この野生生物の回復に関する科学的研究をレビューした論文は「Timelines and mechanisms of wildlife population recovery following the Exxon Valdez oil spill(エクソン・バルディーズ号原油流出事件後の野生生物個体群の回復の時系列とメカニズム)」という論題で、アラスカ湾における生態学的多様性の資源を特集した特別晩の一部としてディープ・シー・リサーチII誌で読むことができる。
U.S. Geological Survey
Wildlife Recovery Following the Exxon Valdez Oil Spill was Highly Variable Across Species
May 2,2017
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