【記事】さよなら、リアルト | A Fond farewell to sea otter pup Rialto

本日はまずSeattle Aquarium Blogから、”A Fond farewell to sea otter pup Rialto"をお届けします。8月はじめに保護され、シアトル水族館で24時間体制のケアを受けてきたリアルト。様々な事情から、シアトル水族館では長期的な飼育をすることができないため政府当局の許可を得て保護当初から協力していたバンクーバー水族館へ移ることになりました。

9月19日は私たちシアトル水族館にとってほろ苦い日となりました。リアルトに別れを告げ、新しい住まいとなるバンクーバー水族館でずっと健康で、幸せに暮らして欲しいと祈りました。

当館はラッコに関しては長い歴史があります。リアルトが保護された際、ケアとリハビリの場に私たちが選ばれたのも、そうしたことが理由の一つです。リアルトは私たちが育てた中では3番目に若いラッコでした。ルータスは1997年、およそ生後6週間で母親とはぐれて私たちのもとへやってきました。カリプソは2003年に水族館へ連れてこられた時には生後約8週間でした。リアルトは8月はじめに当水族館へやってきました。

「リアルトは他のラッコよりも大変でした。来たときには病気で消耗しており、獣医学の専門家がより多く関わらなければならなかったからです」水族館の保全調査キュレーター、ショーン・ラーソン博士が言います。「リアルトはここに来てから最初の数週間、生き延びる可能性は20%ほどでしたが、今はもう健康証明書を持てるくらいになりました」

健康であっても、リアルトは24時間体制のケアを必要としています。赤ちゃんラッコはどんな場合でもそうです。「赤ちゃんラッコには、決まった日課があり、それを何度も何度も繰り返します」とショーンは言う。「寝て、目が覚めて、トイレをして、エサを食べて、遊んで、グルーミングして、寝て、、、の繰り返しです。唯一、ケアスタッフが一瞬でもそばを離れることができるのは、リアルトが眠っている間だけです。その睡眠も1時間ほどで、寝ている間にはミルクを用意したり洗濯物を洗ったりします」(リアルトのミルクは生クリームもしくはヨーグルトくらいの濃さのもので、サーフクラム(ハマグリの仲間)と水と子犬用のミルクをブレンドしたものです。タオルはグルーミングの際に使ったり、リアルト用のウォーターベッド(冷たい水を入れたクッション)に敷いたりします。)

リアルトは現在、ワシントン州で生まれ人間のケアのもとにある唯一のラッコです。ですから、リアルトはワシントン州の野生のラッコたちにとってのラッコ大使なのです。ここワシントン州のラッコの個体数は1910年までに乱獲され絶滅してしまいました。1969年から70年に、アラスカラッコがワシントン州沿岸に再導入されました。その引越しを生き延びたたった10頭ほどのラッコが、現在1,700頭ほどにもなるワシントン州のラッコたちの礎となりました。こうした移植によるラッコは、今日のラッコの35%以上を占めます。ワシントン州、ブリティッシュコロンビア州、アラスカ南東部の合わせて30,000頭ほどです。移植はラッコの個体群を保全するうえで、もっとも成功したマネジメントツールなのです。

リアルトは、当水族館にいる間極めて大きな変化がありました。小さく非常に重い病にかかった状態から、成長し元気いっぱいになりました。私たちのもとを離れるまでには、乳歯が生え揃い、毎日体重の25%から28%をもりもり食べ、エサもミルクから貝やイカ、エビなどの固形のエサになりました。リアルトは遊ぶのも大好きで(大のお気に入りは、おいしいイカの頭が入った氷のおもちゃです)、氷の枕でよく眠ります。もし野生にいて母親と寝ていたら経験したであろう、海水で濡れた母親の毛を真似したものです。

リアルトは、バンクーバー水族館の新しい家に着いてからも、24時間体制のケアを必要とします。また生後4ヶ月ほどになったらバンクーバー水族館のほかのラッコたちとも一緒になる予定です。リアルトが旅ができるようになるまでには、多くの時間と献身的で情熱的な専門家のチームが必要でした。この記事を終えるにあたり、リアルトのケアに関わってくれたスタッフたちの一番の思い出をシェアしたいと思います。

「リアルトが周りの世界に興味を持っていく様子を見ているのは本当に楽しかったです。最初に到着したときには本当に目の前にあるものしか見えていませんでした。ここでの生活が終わるまでに、何にでも興味を持つようになり、世界を探検しようとしていました」

 

—Amy Green

「リアルトがいなくなるととても寂しくなりますが、バンクーバー水族館がこのような素晴らしい動物を受け入れ、来場者にラッコや海の生物について知ってもらい、わくわくさせることができることを嬉しく思います。リアルトに会いに行くのが楽しみです!」

 

—Julie Carpenter

「シアトル水族館での30年にわたるボランティア活動の中で、リアルトのお世話は一番印象に残るものの一つでした。膝の上でリアルトにミルクをあげるのが好きでした。寂しくなりますね!」

 

—Carol Jackson

 

 

「無力で病に苦しむ動物に、もう一度健康で素晴らしい状態になって生きていけるチャンスを与えられるということほどやりがいを感じることはありません。リアルトが何をしていようとー寝ていても、哺乳瓶からミルクを飲んでいても、自分でグルーミングをがんばっていても、水の中で泳いだり遊んだりしていても、リアルトはいつも私に笑顔をくれました。リアルトは本当にいとおしい子です」

 

— Caroline Hempstead

「リアルトと一緒にいてよかったのは、リアルトが本能的に、ラッコのように泳ぐために体をどうやって使ったらいいのか、学んでいるのを見ているときでした。リアルトにリハビリをし、再起のチャンスを与えることができ、また未来を担う世代にワシントンのラッコについて教育をすることができるのは素晴らしいことだと思います」

 

—Lindy McMorran

リアルトの回復していく様子は、バンクーバー水族館の赤ちゃんラッコカメラで見ることができます。

追加情報:
Farewell, Rialto the sea otter, “You’re a Canadian Now”—The Seattle Times

 

らっこちゃんねるより

バンクーバー水族館へ到着後の様子は【記事】リアルトのシアトル新生活 | Rescued Pup Rialto Settles into New Digsをご覧ください!

Seattle Aquarium Blog

A Fond farewell to sea otter pup Rialto

Posted on September 20, 2016