本日は2016年2月27日付の Santa Cruz Sentinel ENVIRONMENTから、"Dan Haifley, Our Ocean Backyard:
California sea otters: Success but more work ahead"をお届けします。
長年にわたるラッコの保全活動が実を結びつつありますが、更なる活動が必要です。
日本でも野生のラッコそのものや、日本の沿岸におけるラッコと生態系との関わりついての研究がもっと盛んになり、野生のラッコの保全活動が本格的に始まることを期待したいです。
何年にもわたる保全努力により、カリフォルニアラッコの個体数は3,050頭を超えるまでに増加した。この個体数は、アメリカ地質調査所の個体数調査の3年平均値を用いて決定されている。
研究者らはカリフォルニアラッコの個体数は、サンフランシスコからサンタバーバラにかけての沿岸生息域のいくつかの場所で、環境収容力に達しているか、もしくは近い状態になると考えている。
アメリカ地質調査所およびカリフォルニア大学サンタクルーズ校のティム・ティンカーは個体数の回復は「目覚ましい保全活動のサクセス・ストーリー」が反映されたものだと語った。
「科学者として、私たちは回復という「自然な実験」により、この頂点捕食者であるラッコの生態系における役割について学ぶ機会がありました」
数十年にわたり毛皮猟の対象になったのち、カリフォルニアラッコは絶滅したと考えてられていたが、1938年にビッグ・サー沖で小さな群れが発見された。
カーメルを本拠地とするフレンズ・オブ・ザ・シーオターのような啓蒙団体は国や州の法律でラッコの回復をサポートするようロビー活動を行ってきた。原油流出やグリルネット(漁網の一種)の害(後にラッコの生息域では禁止される)、有害物質、トキソプラズマのような感染症、サメの噛みつきなどにより、ラッコの回復は遅々としていた。
ラッコは、主要な生息域であるカリフォルニア沿岸のケルプの森を維持する役割を果たすため、キーストーン種として知られている。
ラッコはケルプを食べるウニを食べる。そうすることで、ケルプの森の健全性が維持できるのだ。
ティンカーは生息域全体が環境収容力の限界に達しているわけではないと強調している。環境収容力とは、その地域の食糧資源により長期にわたり維持できる個体密度、もしくは、死亡率が出生率と同じになる個体密度を指すという。しかし、ティンカーによると、生息域の中心であるモントレー半島から南はモロベイにかけては、環境収容力に達しているか、それに近いと研究は示唆しているという。「この状況を理解する重要なカギは、カリフォルニアとアラスカにおける、タグづけられたラッコの移動や主な生活範囲におけるデータを数十年積み重ねたものからきています。こうした研究は、ラッコの個体数の統計学的に重要な部分や、出産するメスについてじゃ、一つの場所に対して固執する傾向があることを示しています。
メスは生殖可能な年齢に達すると、典型的に沿岸3マイルから12マイル(約4.8~19.2㎞)を範囲とする定住行動圏で一生を過ごす。「オスや若いラッコはより移動することが多いですが、メスが特定の場所に固執するため、個体群は大きな開かれた個体群ではなく、むしろ半明確な部分個体群の集まりであると特徴づけることができます。例えて言うと、川沿いに村がいくつも並んでいて、村々の間を行き来する人はほとんどいない。そうすると、ある村で起こることは、川下にある別の村で起こることにはほとんど影響ないというようなことです」そうティンカーは言う。
ラッコは利用可能なエサの量には限界があるため、メスラッコの定住行動圏のレベルで環境収容力の問題が起こるとティンカーは説明する。「モントレーやビッグ・サー付近、サンタクルーズ付近の個体群が
環境収容力の限界に達しているかどうかをきくほうが、意味があると思います。なぜなら、こうした部分個体群はそれぞれわずかに異なっており、それぞれの地域のエサの量に完全に制限されるからです」
次のコラムは:ラッコの生息域は拡大するか(訳者注:翻訳完了後にリンクします)
Santa Cruz Sentinel ENVIRONMENT
Dan Haifley, Our Ocean Backyard: California sea otters: Success but more work ahead
By Dan Haifley POSTED: 02/27/16, 10:00 PM PST
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