本日はイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校獣医学大学院のウェブサイトから、研修医(レジデント)によるブログ"Vet Resident Assists in Alaskan Sea Otter Rescue"を ご紹介します。獣医をめざす研修医の方が、ラッコの大量死が起きているアラスカでの調査活動に参加されました。この経験が将来きっと役立ってくれることでしょう。
10月、シェッド水族館がラッコの保護・リハビリテーション活動を通じて、アラスカ州ホーマーへ行く素晴らしい機会を与えてくださいました。これはアラスカシーライフセンター(ASLC)からの獣医学的サポートの要請に応えるものでした。アラスカシーライフセンターは、浜に打ち上げられた海洋哺乳類の通報に対応するアラスカ海洋哺乳類座礁ネットワークに属しており、アラスカ州では唯一海洋哺乳類のリハビリテーションを行う公式な認可を得ています。しかし、シーライフセンターはホーマーから168マイル(約270km)も離れているため、シーライフセンターにいる獣医たちが日々の動物たちの座礁の通報に対して応えることが難しいのです。ホーマーでは昨年の夏以降、病気になったラッコの目撃情報が非常の多く寄せられています。ラッコは私たちの生態系で重要な役割を果たしているので、ラッコの個体数に影響があれば生態系全体に何らかの影響を及ぼすことが考えられます。
2006年以降ホーマーでは尋常でないラッコの死が起こっています。4年以上バクテリア(ストレプトコッカス)により主に引き起こされる弁膜心内膜炎が主な死因であるとされてきました。こうしたラッコたちは痩せて衰弱しており、ある一定の期間病を患っていたことを示しています。今年まで死因は主にこの病気が原因でした。しかし、今年は病気にかかったラッコの数が増加しただけでなく、違う症状を持ったラッコもいたのです。今年は振戦(震え)や発作のような神経症の兆候が急激に現れたラッコの座礁が起こっており、別の病気によるものではないかということを示しています。その原因を明らかにするために、更なる調査が必要となっています。
サポート獣医師としての私の仕事は地元のボランティアの皆さんやスタッフの方々にあらゆる面でできる限り協力することでした。ホーマーの座礁対応チームは普段は別の仕事を持つ訓練を受けたボランティアでした。アメリカ魚類野生生物局の職員、大学生、大学の職員、その他にもいました。私たちは1日単位で座礁ネットワークで受けた通報に対応していました(アラスカシーライフセンターはアメリカ魚類野生生物局LOA/MA-837414によりラッコの対応をする許可を得ています)。滞在中、私はラッコに関する通報の対応や検死、標本採集、ボランティアや大学生への教育などを手伝いました。地元の浜で見つかった夥しい数のラッコたちの苦痛を和らげ、貴重な情報を地元の病理学者に提供する重要な標本を集める手伝いを行いました。こうした標本は、ラッコの死因について理解する手助けになります。シェッド水族館の保護、研究、リハビリの努力のお陰で、私はこの素晴らしい動物を助ける一員となれ、ラッコや生態系の助けになる答えの発見に近づくことができたことを非常に幸運に思っています。
—ミーガン・ワトソン獣医学博士
ワトソン博士は、イリノイ大学、ブルックフィールド動物園、シェッド水族館が提携するイリノイ州動物・水棲動物研修プログラムに属する動物学・水棲動物医学の研修医(レジデント)である。
College of Veterinary Medicine, University of Illinois at Urbana-Champaign
Vet Resident Assists in Alaskan Sea Otter Rescue
Jan 21, 2016 / Student Blogs / Veterinary Clinical Medicine
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