本日は2015年8月10日付のシアトル水族館のブログから、"Counting the road to recovery
for Washingtons sea otters"をお届けします。今年のワシントン州におけるラッコの個体数調査が完了しました。
ワシントン州の年次ラッコ個体数調査が完了した。シアトル水族館は積極的にこの調査に参加している。当水族館の保護研究キュレーターであるショーン・ローソンが、ラッコのもつ背景とどのように調査が行われるかについてシェアしてくれた。
ワシントン州におけるラッコの歴史は複雑です。ワシントン州固有のラッコは1910年に消失してしまいました。毛皮貿易の犠牲となったのです。最後に収穫された毛皮は、猟師により1,000ドルで売却されました。それは家1軒を買うのに十分な額でした。だからラッコは絶滅するまで乱獲されてしまったのです。ラッコは生きている時より、死んだあとのほうが価値があったのです。
1911年、ラッコは他の毛皮を持つ海獣とともに、国際的な膃肭獣保護条約(おっとせいほごじょうやく)の下、保護を得ることができました。しかし、1969年と70年に59頭のラッコがアムチトカ島からワシントン州沿岸のラプッシュへ移されるまで、60年以上ラッコがいない状態が続いていました。移されたラッコのほとんどは死んでしまったと考えられています。多くは移殖から間もなく死んで海岸に打ちあがっていました。現在ワシントン州の沿岸で見ることができるラッコは、わずか10頭ほどのラッコの子孫だと推測されています。
移殖されてから20年ほどは、ラッコは散発的に観測されただけでしたが、1989年以降は正式に調査が行われています。当水族館は2001年から調査に参加しています。調査は多くの機関からなるパートナーとともに6月の終わりか7月の始めごろに1週間強かけて行われます。
調査はワシントン州沿岸全域にわたり行われます。南はコロンビア川から、北西部のタトゥーシュ島近く、またフアンデフカ海峡入口、ネア湾にかけてです。ラッコのラフト(群れ)は、ケルプが自生し岩礁が波から守ってくれる岩の多い潮間帯でよく見られます。
実際の調査は3日間以上連続で行われ、地上から及び空撮による個体数計測が行われます。なぜなら、地上からの個体数計測の方が、群れの中心のみの撮影となってしまい周辺にいる個体、とくに母子などが漏れてしまう空撮による写真よりもより正確な数字がでるからです。
毎年、5,6か所が観測場所に選ばれます。地上観測者はその決められた場所まで歩いて行き、調査機が上空を過ぎるのを待ちます。調査機が来たら、公式な個体数のカウントを行い、時間及び成獣と幼獣の数を記録します。コンディションがよければ、調査機は日に2回上空を飛びます。
1日のうちで、最も大きい数がその年の公式の調査数となり、空撮写真も地上からのカウントとともに反映されます。2014年には数えたラッコは最高1,573頭となりました。2015年についてはまだ、今年の年末ごろになるまで最終的な数字は出ません。空撮写真から個体数を数えるのには時間がかかるからです。
全般的に年次個体数調査が始まってから、ワシントン州におけるラッコの増加率は年に8%ほどです。これは、ラッコの生息域の中ではもっとも増加率の高い地域といえます。
Seattle Aquarium
Counting the road to recovery for Washingtons sea otters
Posted on August 10, 2015 by Seattle Aquarium
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