【記事】エルクホーン湿地帯は出産シーズン真っ盛り | Birthing season turns Elkhorn Slough into marine-life nursery

 本日は、2015年4月14日付のMonterey Heraldから、"Birthing season turns Elkhorn Slough into marine-life nursery"をお届けします。

カリフォルニアラッコが多数生息することでも知られるエルクホーン湿地帯は今出産シーズンです。

ハイウェイ1号線の往来の喧騒からさほど遠くない、秘密の隠れ場所は、めったに見られないけれども誰もが経験することができる世界です。エルクホーン湿地帯は、エキゾチックな鳥たちや魅力的な海洋哺乳類たちが、エサをとり、集まり、そして時には-まさに今がその時期なのですが - 子どもを産む不思議の国なのです。

「奇跡的ですよ」そう言うのは、海洋生物学者のジャンカルロ・トミ。エルクホーン・スルー・サファリという会社の17フィートのボートに乗り、湿地帯をめぐるツアーのガイドを務めています。「ずっと天気がいいので、湿地帯では今いろいろなものが見られます。ドックから出発して2分後には、何百頭というアザラシや、たくさんのラッコが子どもといるのを目にすることができますよ」

アザラシとラッコの出産シーズンはこの3週間でピークに達し、野生動物たちにとって休息場所でもあり遊び場でもある隠れ家が活気づいています。

 

「個人的にはハーバー・シール（アザラシの1種）の子どもが好きです。ここ数週間、1日に5頭ほどの割合で生まれています」とトメ氏は話しました。トメ氏は自然写真家でもあり、作品は世界中で出版されています。「実は船長のヨン・ギデオンは数日前、出産中のアザラシの写真を撮ったんですよ」

ギデオン氏とトメ氏は火曜日のツアー中、アザラシを239頭、ラッコを53頭数えることができました。

「今年は素晴らしいと思います」アメリカ海軍で8年務めたギデオン氏が言いました。「今までで最高の天気が続いています。これまでよりも、アザラシの子どもが生まれるのが早かったです。恐らく、最初の赤ちゃんが生まれたのは3月21日だったと思いますが、通常は4月1日以降にならないと生まれていませんでした。ここ2週間で毎日5頭から6頭が生まれています」

トメ氏によると、ハーバー・シールの赤ちゃんは出生時25～30パウンド（約11.3~13.6kg)で、ほぼ生まれてすぐに母親のそばを泳ぐようになります。

「アザラシは非常に感覚的です。実際、子どもが母親にキスする場面を見ることもあるでしょう。アザラシのヒゲはとくに敏感で、それによってお互いを認識するのです」

トメ氏によると、ラッコの子どもはもう少し円熟味があり、よく母親の胸の上に乗っているそうです。

「ラッコの子どもは3か月くらいになるまでは幼毛と呼ばれる黄色味がかった体毛に覆われています。そのおかげで非常に水に浮きやすく、生まれて数か月は水に潜って餌を獲ることができません。したがって、完全に母親頼りなのです」

この湿地帯では、通常5頭ほどのラッコの子どもを見ることができます。ここは北米におけるバードウォッチングスポットベスト10にランクインしており、様々な野鳥を見ることができます。

現在エルクホーン湿地帯に生息しているのはアメリカホワイトペリカン（羽を広げると2.7ｍほどもあり飛ぶ鳥の中では北米で2番目に大きい）、ブラウンペリカン、アジサシ（カモメの仲間）、オオアオサギ、鵜の仲間3種などです。

「この時期は、共生捕食（？）と私たちが読んでいるものを多く見ることができます。これは、様々な種の鳥たちが魚を一緒に獲る行動です。鵜の仲間は水に深く潜ることができるので、魚を浅瀬に追い込みます。それをペリカンやアジサシがついばむのです。非常に壮観です」

エルクホーン湿地帯には約350種の野鳥の生息が確認されています。ここは太平洋を渡る鳥たちが途中で休む場所でもあるのです。

「エルクホーン湿地帯は季節ごとに、というよりは毎日と言ってもいいでしょう、異なることがその楽しみなのです」とギデオン氏は言います。「一年中、さまざまな時期に様々な動物たちがやってきます。ここはは7マイル（約11.2km）、3,000エーカー（約12平方km）の湿地帯ですが、ここにそうしたものがあるということを知らない人も多いのです」

カヤックから野生動物を見ることもできます。トメ氏によると、ハーバー・シールは人に危害を加えることはありませんが、あまりにカヤックの往来が多過ぎると母親が子供を手放してしまうこともあり、その結果、子どもは死んでしまいます。

トメ氏は、湿地帯の野生生物たちを守るため、非常に厳しいガイドラインがあると話します。海洋性哺乳類に嫌がらせをしたところを見られた場合、最高で1万ドル（約120万円）の罰金を科されます。

出産シーズンは5月の第1週まで続くとみられています。ウィスパー・チャーターズ(Whisper Charters)という会社も、湿地帯へのボートクルーズを提供しています。エルクホーン湿地帯へのツアーを催しているカヤック会社はモントレーベイカヤック(Monterey Bay Kayaks)、カヤックコネクション(Kayak Connection)、ブルーウォーターベンチャーズ(Blue Water Ventures)、そしてベンチャークエストカヤッキング(Venture Quest Kayaking)です。これらの会社はウェブサイトがありますので、詳しい情報は各社のうぶサイトをご覧下さい。