らっこちゃんねるが独断と偏見で選んだ、2014年ラッコ10大ニュース!
1位:ラッコ681号、シェッド水族館へ!
今年ラッコ関連のニュースで最もインターネットを賑わしたのは文句なしでシェッド水族館のラッコ681号改め、ルナでしょう。フワフワの愛くるしい姿は、見る人全てを虜にしました。9月末にカリフォルニアの海岸で保護されたルナは、モントレーベイ水族館で約1か月を過ごし、終の棲家としてシェッド水族館に迎えられました。シェッド水族館での一般公開は来年、2015年の5月頃を予定しているとか。その成長が楽しみですね!
2位:エクソン・バルディーズ号原油流出事故から25年
今年3月、1998年3月24日アラスカ州プリンス・ウィリアム湾で原油タンカーエクソン・バルディーズ号が座礁した事故から25年を迎えました。流出した1080万ガロンの原油により海鳥や海洋生物が甚大な影響を受け、原油に汚染されたラッコの多くが数千頭のラッコが死んだと見積もられています。
ラッコレスキューセンターが開設され、汚染されたラッコの洗浄が試みられましたが助かったラッコはごく一部でした。それでも、原油流出の際のラッコの洗浄に関する知識や技術は飛躍的に向上しました。
数年前には個体数調査の結果、数は回復しているとみなされる数値まで戻りましたが、25年たった現在でも、海岸を掘ると原油が染み出してくることもあり、遺伝子や食物連鎖などにより、事故の影響が尾を引いていると考えられています。
3位:カリフォルニアラッコの個体数、変化なし
9月、アメリカ地質調査所が2014年のラッコの個体数調査の報告を行いました。これによると今年のラッコの個体数は前年から僅か5頭増加の2944頭でした。この個体数はより正確さを出すため過去3年間の個体数の平均値を算出しています。
ラッコの個体数の伸び悩みについては、生息域の北端・南端でのサメによる咬傷、繁殖適齢期の雌の「授乳末期症候群」、環境収容能力の限界、陸上動物由来の寄生虫への感染、流れ込む淡水の富栄養化による毒素など、様々な原因が考えられています。陸と海の境目に住むラッコは、陸と海の両方から大きな影響を受けます。ラッコと同じものを食べる人間もまた、影響を受けていると考えられています。
沿岸環境を整えることが、ラッコを保護するだけでなく、そこに住む全ての生き物や環境の改善にとって非常に重要なのです。
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【記事】2014年のカリフォルニアラッコの個体数、安定示す|Slowly Swimming Towards Recovery, California’s Sea Otter Numbers Holding
Steady
4位:モントレーベイ水族館、30周年を迎える
1984年に設立され、それ以来海洋生物の保護の先導者として多くの生き物たちを救ってきたモントレーベイ水族館は今年、30周年を迎えました。大きくもなく、ショーなどの派手さもない水族館ですが、その真摯な取り組みにより、年間200万人が訪れる、TripAdvisorが選ぶ世界一の水族館です。
ラッコの保護に関しても、SORAC(Sea Otter Research and Conservation)が中心となり、怪我や病気のラッコを保護・治療し野生に返したり、また母親とはぐれたラッコを代理母ラッコを使って育て野生に帰すという、画期的なプログラムを推進してきました。
5位:日本の飼育下のラッコ、15頭に
4月に当時国内最高齢だった鳥羽水族館のラッコ、ポテトがなくなり、12月には大洗水族館のトニーがなくなり、日本国内で飼育されているラッコは僅か15頭となりました。
主要なラッコの輸入先であったロシアやアメリカがラッコ保護を強化し輸出を禁止したため、新たなラッコが入ってくることがなくなり、また国内での繁殖の難しさもあって、多い時は122頭いたラッコも、その数が激減しています。国内では、水族館によりブリーディングローン(繁殖用の貸し借り)が行われていますが、繁殖期の雌が少ないこともあり、なかなか結果に結びついていません。
ラッコの寿命は飼育下で15歳から最長20歳くらいと見積もられていますが、ポテトはその寿命をはるかに超え、亡くなった時の推定年齢は25歳だったといわれています。
6位:根室沖で野生のラッコが繁殖
今年7月、北海道根室市のモユルリ島沖で野生のラッコの親子が確認されました。北方領土以外でははじめてのことで、その後もすくすくと育っているとのことです。
7位:母親ラッコの育児負担が明らかに
カリフォルニア大学サンタクルーズ校のニコル・トメツ氏がエクスペリメンタル・バイロジー・ジャーナル誌に発表した研究によると、母親ラッコは子育て中およそ2倍の代謝率を必要とすることが分かりました。これは、子どもが自立するまで体重の133%を消費する計算になります。母親ラッコの子育ては過酷で、子育ての終わりごろには「授乳末期症候群」と呼ばれる栄養不足の状態に陥ることがあります。母親ラッコは自分が生き延びるため仕方なく子どもを捨てることもあります。
8位:ラッコ基金への寄付欄の掲載の延長が決定
現在、カリフォルニア州の住民は、確定申告の際、申告用紙の「ラッコ基金」の欄に数字を入れるだけで還付金の一部をラッコ保護に寄付することができます。確定申告用紙にその欄を載せることが、ラッコの保護や調査に必要な資金の大きな調達源となっています。2016年に期限を迎えるこの制度の延長を要求する法案が可決されました。
しかし、この制度を維持するためには毎年一定の額以上の寄付が集まらなければならないため、各ラッコ保護団体はこの制度の啓蒙に努めています。
9位:ラッコに新型インフルエンザH1N1ウイルスへの感染が確認される
アメリカ地質調査所がワシントンステイトコーストで実施した調査により、30体のラッコのじつに7割以上がこのH1N1ウイルスの抗体を持っていることが判明しました。
もともとは豚インフルエンザからきているものですが、ニワトリ、豚等の一部の限られた動物もH1N1ウイルスのキャリアになっています。海洋性動物の中ではゾウアザラシが唯一、感染が報告されていました。
感染経路や感染による影響はまだはっきり分かっておらず、今後の更なる研究が待たれます。
10位:らっこちゃんねる開設!
2014年はらっこちゃんねるにとって、最初の年でした。
地味に写真や動画、翻訳記事のご紹介を続けてまいりましたが、それでも多くの皆様にご覧いただき、心より感謝申し上げます。
らっこちゃんねるの目的は、ラッコという動物の素晴らしさとその保護の重要性、またラッコを含む環境保全の大切さを皆様に知っていただくことです。らっこちゃんねるを通じて、一人でも大切なことに気が付き、行動を起こしてくださる方がいらっしゃったら、このウェブサイトを細々と運営してきた意味もあるかと思います。
今後も、アメリカのラッコ事情を中心に、様々なラッコに関する情報を地味にお届けしていきます。
2014年、らっこちゃんねるをご愛顧いただきありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします!
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