【記事】ラッコのジャッジ、16歳になる | Judge the Sea Otter Turns 16

本日は、2016年6月28日付のOregon Coast Aquarium News Releaseより、"Judge the Sea Otter Turns 16 "をお届けします。オレゴン州沿岸にはまだ野生のラッコは戻ってきていません。ジャッジらカリフォルニアラッコたちは、仲間が戻ってくるのを首を長くして待っているかもしれません。

©Oregon Coast Aquarium
©Oregon Coast Aquarium

オレゴン州ニューポート—プールで「スイート16」の誕生日パーティ(訳者注:アメリカでは16歳の誕生日を盛大に祝う習慣がある)をお祝いする人もいる。今月はじめ、カリフォルニアラッコのジャッジも同じように16歳を祝った。(当館のラッコにとっては毎日がプールパーティだけれども。)誕生日おめでとう、ジャッジ!

 

ジャッジは16歳ですが、それはラッコとしては長生きだと考えられる、と当館の哺乳類担当キュレーターのケン・ライトゥインは言う。ジャッジは当館の3頭のカリフォルニアラッコのうちの1頭だ(あとの2頭はシャスターとオズワルド)。(ヌカは当館ラッコの中で唯一のアラスカラッコだ。)オスのカリフォルニアラッコの寿命は飼育下でほぼ10年から15年の間だ。

 

当館の4頭のオスのラッコたちは保護されたラッコたちで、オレゴン州で水族館に永住するラッコとしては最大の群れになる。カリフォルニアラッコはかつてオレゴン州沿岸に多く生息していた。以前は沖にケルプの森が豊かに繁茂しており、ラッコには最適の場所だった。1900年代の毛皮貿易により激減した後、ラッコの回復は遅々としていた。またそれ以降ケルプの森は断片的なものに縮小してしまった。カリフォルニアラッコは現在オレゴン州沿岸では絶滅したと考えられており、カリフォルニア州で生息している地域では、絶滅に瀕する種の保存に関する法律で絶滅危惧種のリストに名を連ねている。

 

カリフォルニア州中央部および南部沿岸には3,000頭のカリフォルニアラッコが生息しており、ジャッジはこの危機に瀕した個体群の1頭だ。子どもの頃親を失ったため、ジャッジはその人生の多くを人間によるケアのもとで暮らしてきた。2000年6月25日、生後2週間だったジャッジは、パシフィック・グローブのアジロマー・ビーチで座礁していた。モントレーベイ水族館に保護され、ケアとリハビリを受けた後間もなく野生に戻された。しかし、モントレーベイ水族館のスタッフたちがジャッジに目を配るのはそれが最後とはならなかった。

 

「ジャッジは2000年に最初に座礁する前、エサをうまく選ぶ習慣を得ることができていなかったようです。そのため、カヤックやドックなどで、願わくばエサをもらおうと人間に近づくようになってしまいました」とライトゥインは言う。ジャッジはモントレーベイ水族館へ連れ戻され、2001年から2003年の間、野生に返しては連れ戻すということを8回も繰り返した。結局、ジャッジは野生に返すことができないと判断され、オレゴンコースト水族館へ移された。

 

(ジャッジの「スイート16」のお祝いの日、普段は人間の気を引くのが大好きなジャッジが、他のラッコたちがジャッジのケーキ[ゼラチンやカニや貝を凍らせたもの]をむさぼり食べているのを、離れて一人ぼっちで見ていたというのは少し皮肉なことだ)

 

ジャッジは2003年12月に当館へやってきて以来、来場者を楽しませてきた。当館のオスのラッコたちの中では最年長だからか、ずっとラッコたちのボスだ。ジャッジが1日中若いラッコたちとじゃれながら、自分の偉さを示しているのを見ることができる。

 

しかし、ジャッジの権勢も衰えているとライトゥインは言う。「ずっとボスに君臨しつづけるのは大変なことです。ジャッジはそろそろ他のラッコに自分の地位を譲ろうとしているのかもしれません」ジャッジはヌカを庇護下に置いているようだ。2頭はよく一緒に跳ね回っている。恐らくジャッジはヌカを自分の後継者として(比喩的に)ヌカのグルーミングをしているのかもしれない。

 

どのラッコが勝ってボスになるかに関わらず、ジャッジは「まだとても健康で活動的」だとライトゥインは言う。来場者はしばらくはいつもの場所—展示窓の右で人間に近ければ近いほうがいい—でジャッジを見ることができるだろう。現在オレゴン沿岸に暮らすカリフォルニアラッコの中では最年長のジャッジは、実に太平洋北西部のラッコ大使と言えるだろう。

 

野生のラッコは危機に瀕している状況だが、私たちは使い捨てのビニル袋の使用を減らすことでラッコの役に立つことができる。こうした水に浮くゴミは海に流れ着き、好奇心旺盛なラッコがエサと間違えてしまうこともある。また、猫の糞をトイレに流さず袋に入れて捨てることで、ラッコが感染すると致命的なネコ科由来の病原体に晒される危険性を減らすことができる。こうしたことは陸に住むものにとっても大きな意味がある。海の漂着ゴミの80%は陸由来のものだからだ。

 

夏の間、ラッコのフィーディングは毎日10:30 a.m., 1 p.m. and 3 p.mに見ることができる。

 

オレゴンコースト水族館は、世界の自然の海や沿岸資源をより良く理解し、大切にし、保全することを人々が学べるよう、レクリエーション及び教育のための最高品質の海洋科学プログラムに尽力している。オレゴンコースト水族館は米国動物園水族館協会の認可を得ており、501(c)の非営利団体(訳者注:法の規定により課税を免除された非営利団体)であり、アメリカの水族館ベスト10に入る水族館である。当館へは2820 S.E. Ferry Slip Rd., Newport, OR(住所)、aquarium.org(公式ウェブサイト)、 (541) 867-3474(電話)でアクセス可能。
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Oregon Coast Aquarium News Release

Judge the Sea Otter Turns 16

June 28, 2016