本日は2015年11月15日のUS Fish and Wildlife Serviceの記事より、"Thinking like an Ocean"をお届けします。ラッコが生息域に復活することで、生態系の再構築が行われているように、生態系は複雑に絡み合っており、どの生き物もその生態系にとって必要不可欠な一部分なのです。
アルド・レオポルドは自身の有名なエッセイ「山の身になって考える」の中で、死にかけているオオカミの目に「激しい緑色の炎をみた時「彼が経験したひらめきについて詳しく語っている。「わたしはオオカミが減ればシカが増える、だからオオカミがいなくなればハンターたちにとって楽園のようなものだ」と思っていた。しかし、緑色の炎が消えるのを見てから、わたしはオオカミも山もそんなものの見方には同意してくれないことに気が付いた」レオポルドが辿り着き、他の人にも辿り着いてもらおうとしたより大きな視点があった。それは、レオポルドと同時代の人が中傷し組織的に殺してしまった捕食者もまた、生態系の一部で不可欠なものであったということだ。シカが食べていた植物にとって重要であったことは言うまでもなく、一見逆にも思えるが、シカ自身にとっても、その捕食者は重要であったということだ。「それ以来、わたしはオオカミのいない山の表面を観察し、シカが通る新しい道が迷路のように皺になって見える南向きの斜面を見つけてきました。そして、食べられそうな繁みや苗がだめになっているのを見つけました。シカの群れがオオカミに殺されてしまうかもしれないという恐怖の中で生きているように、山もまた、シカに食べ尽くされてしまうのではないかという恐怖の中に生きているのではないかと私は今考えています」
オオカミ同様、ラッコも本来の生息域のほとんどから組織的に取り除かれてしまった。18世紀と19世紀の毛皮貿易はおそらく数十万頭いたと思われるラッコを数千まで激減させてしまった。カリフォルニアラッコは1977年の絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律において「絶滅の恐れがある動物に指定された。それ以来、カリフォルニアラッコは少しずつカリフォルニア沿岸の以前の生息域を断片的に取り戻しつつあり、現在個体数は約3,000頭になる。しかし、海洋哺乳類保護法にあるように、カリフォルニアラッコが「ラッコが属する生態系において非常に顕著に機能する要因」として役割を取り戻すまでの道のりは、まだまだ長い。
毛皮貿易時代、ラッコが人間とエサをめぐって競争しているという理由ではなく、その豪華な毛皮が目的で殺される一方、ラッコの排除による影響はオオカミの絶滅の影響と一致していた。ラッコは脂肪層がないため、体温を維持するため、その密な体毛を注意深くグルーミングしなければならないだけでなく、日々体重の25%ものエサを食べなければならない。ウニは高カロリーで、藻類を食べる草食性の動物であり、ラッコの好物の一つだ。オオカミがいなくなってシカが激増したように、ラッコによる捕食から解放された時、空腹なウニの大群が無数の生物を擁していたケルプの森をウニ砂漠へと変えてしまうことになる。嵐のような要素も、ケルプの繁茂に影響することはあるが、ラッコがいればケルプは増える傾向にある。ラッコはオオカミのように、大規模なコミュニティの効果があるため、キーストーン種と考えられている。
最近、エルクホーン湿地帯の河口のアマモ床において別の栄養カスケードが発見された。この潮の満ち引きがある湿地帯では、人間に起因する窒素汚染が藻類の着生を引き起こし、アマモの葉の表面に生えた藻類は日光を遮断し、最終的にはアマモを枯らしてしまう。ウミウシ類はこうした着生藻類を食べるが、カニがいる場合、カニはウミウシ類を大量に食べるため藻類の繁殖を抑えることができない。カニを大量に食べることで、ラッコはウミウシ類を守り、それがアマモを守ることにもなり、多くの他の生物の生息地を提供することにもなる。
ある種を復活させることは、絶滅の危機から救うこと以上に意味がある。種の復活は生態系の関係を再構築することでもある。ラッコが本来住んでいる生態系の復活においては、ラッコは最も重要な要因だ。ラッコを通じて、私たちは海の身になって考えるという意味を理解できるようになるかもしれない。
US Fish and Wildlife Service
by Lilian Carswell Last updated: November 13, 2015
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