本日は2015年9月18日のシェッド水族館のブログから、"Luna, Conservation
Ambassador"をお届けします。先日、1歳を迎えたルナ。小さいながらも、ラッコやラッコの保護について多くの人に知ってもらうための親善大使として、毎日多くの来場者に啓蒙活動を行っています。
ラッコのルナはラッコ啓蒙週間の間に、初めての誕生日を迎えます。今が、ルナについてや、ルナがなぜラッコの保護大使なのかを知るいい機会です。
最近、ルナは3頭の雌のラッコたちや海獣専門スタッフと仲良くやっています。シェッド水族館の素敵な会員たちがみんなで名前を決めてくれたことや、世界中でもっとも可愛い動物のリストに名を連ねたことや、ニューヨーカー誌ですらもルナについて特集したことなど、知りません。
私たちはルナが生まれてからの悲劇的な1週間について、劇的な保護やその後の集中的なリハビリテーション、そしてカリフォルニアからシカゴまで飛行機に乗ってきたことなど、ルナはもうすっかり忘れたのではないかと思います。
危険にさらされたラッコの子
ルナの長い旅は昨年9月30日に始まりました。ルナの甲高い、目立つ声が、夕方カリフォルニア中央部の海岸を歩いていた人の耳に止まりました。打ち上げられた野生生物たちを保護するネットワークについての意識が非常に高い地域であったので、離れた場所ではありましたが、翌朝モントレーベイ水族館の保護がアレンジされるまで、たった2つの電話で済みました。
保護チームは、母親ラッコがエサを取りに行っている間にちょっと子どもを置いておくのに、沖のほうでケルプの葉にくるんでおいた可能性もあると考えましたが、子どもは以前として鳴き続け、むしろ声が弱々しくなっていきました。
たった2パウンドの赤ちゃんは、およそ生後5日と推定されましたが、モントレーベイ水族館のラッコ保護プログラムに託され、その後数週間、集中的なケアを受けました。
絶滅危惧種
当時、ルナは単に「681号」と判別されました。その数字はモントレーベイ水族館がこれまで保護してきたラッコの数を示しています。ルナはカリフォルニアラッコで、国や州で保護されてはいますがなかなか繁栄しない種です。カリフォルニア沿岸のみで見られ、個体数は3,000頭足らずです。陸からの排水に含まれる病原体や、捕食、寄生虫、汚染物質、特に水やラッコのエサとなる貝類のようなろ過摂食に含まれる油が、ラッコの個体数が回復しない要因ではないかと考えられています。
状態が安定し体重が増えても、ルナは海へ帰ることができません。ラッコの子どもは5ヶ月から7ヶ月、親に頼りきりです。最初は子どもはウォーターベッドのように母親の上に乗っかっています。数時間ごとにミルクを与えてもらい、冷たい海の水に浸らないよう、体全体をグルーミングしてもらい、常に体毛をふわふわにしてもらいます。子どもたちは生き抜くために必要なスキル、例えば泳ぎ方、グルーミングの仕方、エサの取り方などをほとんど母親から学びます。このラッコは、ラッコとして生きるための方法を人間の用語から教えてもらる、終の棲家が必要でした。
モントレーベイ水族館は、適切なスペースと赤ちゃんラッコをケアする専門のスタッフがいるアメリカでも数少ない動物施設であるシェッド水族館にコンタクトを取りました。当館のラッコ担当と動物保健チームはすでにモントレーベイ水族館の仲間たちと合流し赤ちゃんラッコのケアを行ないました。10月28日、スタッフたちは生後5週間、5.5パウンドの赤ちゃんラッコを連れてシカゴへ戻ってきたのです。
1年後
一番最近の体重測定では、ルナは30パウンドになっていました。シェッドの大人のメスラッコ、マリとキアナと合流しました。マリとキアナは、少なくとも一つ、訓練士ができないことができます。例を見せて教えることです。
上級トレーナーでラッコ・ペンギンのアシスタント・スーパーバイザーであるクリスティ・スターリングはこう言っています。「先輩のラッコたちを見て、ルナは自分で殻を開けています」また、ラッコたちは時々他のラッコからエサを横取りし合いますが、ルナはしっかり自分の分を抱えておくことができます。
「先日、ルナは氷のケーキを3つもらいました」それはおやつとおもちゃを兼ねたものです。「それを自分の胸の上に載せて、それから最初の3つを食べ終わった時用に、もう1つデッキの上に用意してありました」
ラッコの保護活動
ルナの保護のサクセス・ストーリーは親とはぐれて2011年にシェッド水族館に来た別のラッコ、カユコスと2005年にアラスカの海で保護されたキアナとも同じです。(それからオスのラッコ、ヤクでシェッド水族館のラッコは全員です。ヤクはエクソン・バルディース号原油流出事故の際保護されたアラスカラッコの赤ちゃんの子どもで、1990年にシアトル水族館で生まれました。
マリはちょっと別の背景があります。2003年、生後2か月か3か月の頃、特に問題はなかったようなのですが、ある善意のあるカヤッカーが介入してしまいました。ケルプの中にいる赤ちゃんが親に捨てられてしまったものだと勘違いし、拾い上げて野生生物局へ届けてしまったのです。実際、マリはおそらく母親がエサを探している間、カモフラージュになり、また流されていかないようにケルプの上に置いておいただけのようでした。母親ラッコの住まいから子どもを奪い、人間に晒してしまったことにより、マリは野生に帰ることができなくなってしまいました。(国で定められた保護動物に関わることはまた、絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律により禁じられています)
保護活動の親善大使
昨年シェッド水族館の一員となって以来、ルナは脆弱なカリフォルニアラッコの状態と同じように、忘れられない物語で会員やメディアを注目させてきました。かわいらしい子どものラッコも、かわいらしい大人のラッコも、ラッコの大使であり、ラッコのいる生態系の大使でもあるのです。ルナは、私たちが陸上で行なうことが海洋環境やそこに住む動物に影響を与えるということを私たちに再認識させ、行動を起こさせてくれるのです。
ラッコたちは、ラッコについても私たちに教えてくれます。
クリスティは言います。「ここにはアラスカラッコとカリフォルニアラッコの両方がおり、ここでリハビリし終の棲家を用意しました。ここでラッコたちを飼育することで、ラッコから学ぶことができるのです。ラッコたちは、社会的な行動、オスとメスの交流、エサを採る技術などを私たちに魅せてくれました。こうしたものすべてが野生のラッコを守るための基準を教えてくれるのです。また、モントレーベイ水族館のようなパートナーをくでいる施設と協働することで、私たちは野生のラッコについてより多くのことを学ぶことができます。様々な情報を交換することにより、私たちのラッコにとって最も良いケアを与え、ラッコたちの行動をより良く理解する一助となるのです」
ラッコ啓蒙週間は9月20日から26日までです。誕生日を迎えたルナや、他のラッコたちに会いに来てください。
ヒント:ルナは一番小さく、色が一番濃いラッコです。時々、手を口に当てて水に浮かんでいます。親善大使として、かわいさは職務記述の一つです。
コメントをお書きください