【記事】ラッコと関わる仕事(1)自然資源保護専門家 | Otter Careers 1 : Natural Resource Conservation Professional

今回から数回にわたり、Otter Projectのウェブサイトから"Otter Careers"を一つずつご紹介いたします。ラッコに関わる仕事にはどんな勉強やキャリアが必要なのでしょうか。またやりがいなどについても触れています。初回は、Otter Projectの代表、スティーブ・シメック氏です。

自然資源保護専門家-オッタープロジェクト代表 スティーブ・シメック氏

オッタープロジェクト代表 スティーブ・シメック氏
オッタープロジェクト代表 スティーブ・シメック氏

どんなお仕事ですか?


私は、オッタープロジェクトというカリフォルニアラッコと海洋環境の保護に関わっている非営利団体の代表です。ほぼ1日、いろいろなことを調整して過ごしています。環境汚染と戦ったり、水質向上、海洋保護のための運動を組織しています。また、従業員を管理し、予算を作成し、ラッコや海を保護するための啓蒙活動家になることができるよう、スタッフと市民の教育も行っています。

 

朝起きて、その日にしなければならないことのリストがたくさんあります。それから計画を始めます。やることがないということはありませんね。

どんな勉強が必要なのでしょうか?

私はカリフォルニア大学サンタクルーズ校で生物学と海洋生態学を学びました。カリフォルニア大学サンタクルーズ校で科学の学位をとりました。


ほぼ毎日、科学や数学、それからライティングの知識を使います。ライティングとスピーキングは特に重要です。人々に、行動を起こしてもらうように説得しなければならないからです。

この仕事に必要なスキルは?

少し、ひょうきんで、見せ上手でなければならないですね。人々が注目してくれるよう、楽しく、自身をもたなければいけません。もう少し、政治的な力があればと思いますね。うっかり口を滑らせてしまことがあるので、上手に交渉できたらいいと思います。

仕事で一番楽しいと思えることは何ですか?

この仕事をしていて一番いいと思うのは、同じような日がないということです。ある日はパソコンに向かって予算を作成し、次の日はサンタバーバラの近くで船にのってラッコを観察し、その次の日は公園を作ったり海に野生生物の保護区を作ったりする交渉をしているといった具合です。現在は海に公園や野生生物の保護区を作る活動をしています。自然が安心して繁栄できる場所を作る以上に良いことはないと思っています。有名な科学者、マーガレット・ミードはこう言っています。「小さな市民の集団であっても、必ず世界を変えることができます。実際、今までそうだったのですから」私は、世界をもっと美しく、健全で安全な場所にする手伝いができると信じています。保護啓蒙活動家や政治的な活動は、政府や政治家たちに情報やメッセージを与え、実施に物事を変えることができるのです。私は公害と戦う活動を組織するのが好きです。数か月前、石油会社と政府がラッコの生息域の真ん中近くの海で石油を掘ることを決定しました。ラッコにとって油は非常に大きな脅威です。私たちは環境専門の法律家と、ラッコによりもたらされる利益が守られるべきであるということを主張しました。結局のところ、ラッコは自分たちのために主張することはできないからです。私はカリフォルニア州知事との記者会見で、海洋沖の石油の掘削について反対意見を言いました。その運動は1年以上も続きましたが、結果的には私たちが勝利し、石油の掘削からラッコを守ることができたのです。

仕事で一番嫌な部分は何ですか?

時に、変化が非常に遅々としているということです。政府に公的なラッコの回復計画が必要だと分かってもらうまでに、14年の歳月がかかりました。変化を望まない人が多いのです。私たちは問題に対して大きな解決策を提示することができますが、その解決策によって人々が今やっていることを変えなければならないとしたら、人々は抵抗するのです。時にはそのようなことに非常にイライラすることもあります。そうして何時間も何時間もオフィスで過ごすのです。この仕事を続けていくにつれ、外に出るよりはオフィスで過ごす方が多くなりました。時には、変化は速く起こります。海洋公園を作る計画は半年後に完成し、願わくば来年、部分的にできるかもしれません。

ラッコに関して何か面白い話はありますか?

数年前、ジャーナリストのグループを招き、ボートに乗り、ラッコが直面している問題について話す機会がありました。ロサンゼルスタイムス【新聞社)のカメラマンも同乗していました。彼はカメラに巨大な望遠レンズを使い、いいラッコの写真を獲ろうと非常に頑張っていました。しかし、ラッコは協力的ではなく、避けられていました。すると、1頭のラッコが興味を持ったらしく、泳いで近づいてきました。カメラマンは非常に興奮して、しきりにシャッターを押していました。ラッコがどんどん近づいてきたので、その巨大な望遠レンズでは焦点が合わなくなってしまいました。カメラマンはキャビンに入り、レンズを交換しもとの場所に戻ると、ラッコがボートのすぐそばにいて、私たちが海で何をしているのか興味を持っているようでした。その写真は翌日、汚染が海に与える影響についての記事とともにロサンゼルスタイムスに掲載されました。

何故ラッコと関わる仕事をしようと思ったのですか?

子どもの頃、テレビ番組で「シーハント」という番組(ご両親に聞いてみてください!)を見ていました。海に関する番組でした。スキューバダイバーか、海洋生物学者になりたいと思っていました。12歳か13歳の頃スキューバダイビングのクラスを受けて、それ以来ほぼ毎週末友人たちとスキューバダイビングをし、沿岸のケルプの森を探索しています。大学で研究を始めてから、ケルプの森やラッコに対して非常に興味を持ちました。ずっと、環境や保護活動に興味を持っています。子どもの頃も、私はシエラクラブ(環境保護団体)の会員でした。もう少し大きくなってから(実際参加するまで待ちすぎました)保護活動に参加するようになり、議会や大統領に手紙を書いたり集会に参加したりして、最終的には自分で保護団体を作るに至りました。

その仕事が重要だと思った理由は何ですか?

ラッコや他の海洋生物は、自分たちの意見を言うことができません。オッタープロジェクトは、彼らに力強い声を与えたいのです。そして、会員を組織し、ラッコや環境について話すための情報やツールを提供しています。大気、海洋、そして野生生物たちは味方を、話し行動をとることができる人々を必要としています。私たちはそうしたものすべてを組織しているのです。

子どもがもしその仕事に興味を持ったとしたら、今何をすればよいでしょうか。また、子どもが参加するにはどうしたらいいでしょうか。

政府職員や政治家はいつも大人の話ばかり聞いています。だから、子どもの意見は新鮮なのです。子どもを無視する政治家は決していません。政治家は子どもを無視したら再選されませんからね!しかし、子どもは意見を言うことができません。子どものみなさん、行動を起こしましょう。そして自分の意見を言うのです!自分の地域の上院議員に手紙を書き(大人っぽく書いてはいけません。あくまで子どもらしくすることが重要です)、あなたがラッコや環境を大切に思っているということを伝えるのです。議員に、最近ラッコを助けるために何をしたか聞いてみましょう。本当です。変化を起こすことができるのです。忘れないでください。私たちは世界を変えることができるのです!ゴミ拾いや、海岸の清掃のボランティアをしてみてください。化学物質や殺虫剤を極力使っていないオーガニックの食べ物を買うよう、ご両親にお願いしてみてください。車に乗せてもらうのではなく、歩いたり、自転車に乗ったりしてください。家族で使うガソリンが減るだけでなく、それは掘削する石油の量を減らすことにもなるのです!保護活動家になることも考えてみてください。環境は、聡明なリーダーを必要としています。私は、タダ働きする非営利団体を運営しているのではありません。私は、他の大人たちと同じようにちゃんとお給料をもらっている、プロフェッショナルなのです。

子どもがもっと学べるようなウェブサイトはありますか?