【記事】豚インフルエンザ、ラッコにも感染 | Otters get the flu, too

本日は、12月26日付のsciencelineの記事、"Otters get the flu, too" をお届けします。以前も同様の記事をお届けしていましたが、ラッコが豚インフルエンザのウイルスのキャリアになっています。
一部事実でない表記がありましたので、緑字にて注釈を入れてあります。

ラッコは夜寝ている間離れないよう手をつないで眠る。 [Image credit: Flickr user K Schneider]
ラッコは夜寝ている間離れないよう手をつないで眠る。 [Image credit: Flickr user K Schneider]

ラッコがH1N1(豚インフルエンザ)にかかることが研究により判明

ルナに会おう:ルナは保護された赤ちゃんラッコで、現在シカゴのシェッド水族館で暮らしています。今年10月、カリフォルニアのビーチで赤ちゃんラッコが親とはぐれ、母親を探して鳴いていたのをモントレーベイ水族館のラッコ保護プログラムのスタッフが発見しました。一晩様子をみて母親ラッコが本当にいない(あるいは、ちょっと餌を探しに行っただけではない)のを確認し、2パウンド(約900g)の赤ちゃんラッコをシェッド水族館(訳者注:モントレーベイ水族館の間違いだと思われます)のラッコリハビリセンターで獣医によるケアを受けました。


ルナの母親に何が起きたのかは誰も分かりませんが、通常母親ラッコは子どもが泳いで自分で餌を獲れるようになるまでの約6か月間は一緒にいます。科学者たちは、ホホジロサメやシャチがラッコを捕食したり、原油の流出や他の生息地の減少がラッコの生存に影響を与えていることを知っています。ラッコはすでに「絶滅の恐れがある動物」に仕分けられています。しかし、別の研究によるとある種の人間がかかるウイルスが、海洋哺乳類の健康に危険を及ぼしている可能性があります。


アメリカ疾病予防管理センターとアメリカ地質調査所が今年発表した研究によると、ワシントン州の沿岸に住むラッコがH1N1(豚インフルエンザ)に感染していた可能性があります。このH1N1は現在は流行してはいませんが、2009年にアメリカで大流行しました。2011年、研究者たちが2歳から19歳になる健康なラッコの血漿(タンパク質を含み、血液を凝固させる成分)の試料を採取しました。この試料の70%にH1N1の抗体が含まれていることを発見しました。抗体は、感染に対して身体が戦う方法の一つです。ラッコの体に抗体が発見されたということは、つまりそのラッコたちは一度そのインフルエンザに感染し、後に回復したということを意味しています。


この抗体が豚インフルエンザに固有のものかどうかを確かめるため、研究者たちは他のウイルスの抗体レベルを確認し、2001年の試料と比較を行いました。2011年の試料からは、他のインフルエンザウイルス抗体よりも豚インフルエンザのウイルス抗体のほうが数値が高くなっていました。また、その豚インフルエンザ抗体は10根前の試料からは検出されませんでした。かつては人間が罹患するインフルエンザに感染すると考えられていた海洋哺乳類はゾウアザラシだけでしたが、異なる海洋哺乳類がどのようにウイルスに感染するのかはわかっていません。


これらのラッコがインフルエンザに感染して生き残ったとしても、人間がかかるウイルスが海洋環境にたいしてどのように影響を与えるのかという疑問が残ります。この研究では、研究者たちは生き延びることができたラッコだけを研究対象にしているのであって、原因が判明することなく死んでしまったり、その後食べられてしまったり分解されてしまったラッコたちがいる可能性もあるわけです。ラッコたちが他の人間が感染するウイルスに感染しやすいかどうか、研究者たちもよく分かっていません。


ルナや他のラッコたちが人々に人気があるかはすぐわかります。可愛らしく遊び好きなだけでなく、ラッコは非常に魅力的な海洋哺乳類なのです。ラッコには1平方インチ当たり100万本の体毛が生えており、その毛によって冷たい海の中で体温を維持することができます。また、ラッコはカニや貝など殻のある餌をこじ開けるために道具を使って食べます。ラッコの群れは"romp"(訳者注:raftが正しい)と呼ばれます。


最も重要なのは、ラッコは無脊椎動物の個体数をコントロールし、ケルプの森を健全に保つ重要な役割を果たしているということが研究により示されています


ルナは、飼育下で育てられるので、きっとインフルエンザに感染するような危険には直面しないでしょう。また、万が一感染するようなことがあっても、可能な限りの獣医による治療を受けることができるはずです。研究者たちは、ラッコやラッコが住む海の環境に対しインフルエンザウイルスや人間のウイルスがどれほどの影響を与えるのかはよくわかっていません。ラッコを大切にケアすることで、治療できない病気がなくなればいいですね。

記事元:

Scienceline

Otters get the flu, too

By Katherine Ellen Foley | Posted December 26, 2014