【記事】海、私たちの裏庭~南へ移動するラッコ、ケルプベッドを作る~ | Dan Haifley, Our Ocean Backyard: Sea otters moving south, building kelp beds

本日は2014年11月21日にSanta Cruz Sentinelに掲載されたダン・ヘイフリー氏による全3回のコラムの最終回、"Dan Haifley, Our Ocean Backyard: Sea otters moving south, building kelp beds"をお届けします。

 ケルプベッド(コンブ棚)のラッコ(Amber Jones -- Contributed)
ケルプベッド(コンブ棚)のラッコ(Amber Jones -- Contributed)

1987年から1990年にかけて、南カリフォルニア沖にあるサンニコラス島へ、140頭のラッコが移されました。原油流出のような壊滅的な事故からラッコを守るための安全措置だったとラッコの啓蒙団体であるフレンズ・オブ・ザ・シーオターのディレクター、ジム・カーランド氏は説明しています。「本土から隔離されている個体を隔離しておかなければ、原油の流出のような壊滅的な事故が起こったら全てのラッコが死滅してしまうのです」

 

しかし、それには実はもっと事情がありました。漁業業界の一部が、アワビやウニ、その他の餌をめぐってラッコと争うことになると恐れていたのです。

 

そこで、妥協案としてコンセプション岬(サンタバーバラの約64北)からメキシコ国境にかけて「ラッコ排除区域」を設置しました。その区域に入ってきたラッコは全て、アメリカぎ魚類野生生物局が主要な生息域へ連れ戻さなければならないというものです。

 

1998年、全体的なラッコの個体数は減少しているにも関わらず、100頭のラッコ(そのほとんどはオスでした)がその区域へ入り込みました。しかし、2013年、アメリカ魚類野生生物局はその区域を強制を止めました。その結果、カリフォルニアウニ委員会、カリフォルニアアワビ協会、カリフォルニアロブスター漁協会、カリフォルニア・サンタバーバラ漁業団体が太平洋法律基金を代表とし訴訟問題に発展しました。3月、その訴訟は退けられ、同基金は控訴しました。

 

「ラッコ排除区域を取り除くことで、ラッコはその生息域を南へ広げることができ、私たちに歴史的な生息域に再び戻ることを阻止する必要を心配させることなく、自由に南へ移動することができます」フレンズ・オブ・ザ・シーオターのジム・カーランド氏はそう述べています。「最新の科学的情報によると、ラッコが個体数を回復するためには現在の生息域の南北両方へ、かつての生息域を再び得なければなりません」

 

生物学者のティム・ティンカー氏は、ラッコが戻ってきた場所にケルプベッド(大型の海草が生えるコンブ棚)が作られるのにどのくらい時間がかかるのかの調査が進行中だと述べています。「私たちは現在、サンニコラス島のケルプの森の推移を調査しているところです。そこでは、ラッコの生息数の僅かな増加に対し、下干潮帯における食物網の反応が見られ始めています」

「別の群れの調査では、ラッコの入植後のケルプの繁殖に対する反応率は、数年から10年とばらつきがあります」

 

ティンカー氏はケルプの繁殖が増加することは有益であると述べています。「ロックフィッシュ、アイナメ、鮭の幼魚、ニシンから、ケルプを食べる何千種もの無脊椎動物、そしてハーバーシール(アザラシの一種)や海鳥などに至るまで、多くの沿岸海洋生物が健全で豊かなケルプの森に恩恵を受けているのです」

 

そしてラッコも沿岸の河口環境にとって重要です。「エルクホーン湿地帯では、ラッコの個体数が増えた結果、大型のカニが減りました。そしてウミウシ類などの海草につく藻類を食べる生物がより繁殖し、より健全で豊かなな海草の繁殖地を形成に結びついています」とティンカー氏は述べています。ラッコの個体数の回復によって、沿岸海域同様、河口環境の健全さもサポートされるのです。

 

ダン・ヘイフリーはオニール・シーオデッセイのエグゼクティブ・ディレクターです。
お問い合わせはdhaifley@oneillseaodyssey.orgまで。

記事元:
Santa Cruz Sentinel 

Dan Haifley, Our Ocean Backyard: Sea otters moving south, building kelp beds

POSTED: 11/21/14, 4:34 PM PST  By Dan Haifley