今回は、2014年11月7日付、モントレーベイ水族館のTumblrへの投稿から、世界中で話題になっているラッコ681号とントレーベイ水族館のラッコ保護プログラムについての記事を取り上げました。
681号は、残念ながら代理母ラッコの都合がつかなかったようです。
ラッコ110番
今週、可愛らしいラッコがインターネットを席巻しました。
モントレーベイ水族館のプログラムを経てシカゴ、シェッド水族館へ到着したラッコ681号で、「グッドモーニング・アメリカ」からマーシャブルに至るまで様々な報道機関が、大騒ぎでした。681号は、1か月前に保護され、育てて自然へ帰すことができないラッコです。
私たちはシェッド水族館の仲間へ働きかけ、このみなしごラッコの終の棲家を提供してくれることになりました。
681号のシカゴへの到着は楽しい出来事でした。それもまた、私たちの献身的なラッコ担当のチームにとってはいつもと変わらない仕事です。
シェッド水族館は、モントレーベイ水族館のプログラムを経た自然に帰すことのできないラッコの赤ちゃんたちに居場所を提供してくれる、アメリカにある多くの施設のうちの一つです。五大湖からメキシコ湾岸まで、またコーニー島からオレゴンまで、ロングビーチからアトランタまで、約40頭ものラッコたちが、動物園や水族館で、訪れる何百万もの人々にラッコについて学んだり、ラッコに対してより愛情をもったり、ラッコのためにもっと行動を起こしたりするよう、働きかけています。
これらのラッコたちは、全て私たちモントレーベイ水族館のラッコ保護プログラムの出身です。
ラッコの保護に貢献して30年
30年以上にわたり、私たちモントレーベイ水族館は絶滅に瀕しているカリフォルニアラッコを保護し、治療し、自然に帰すアメリカ唯一の施設としてその役割を果たしてきました。言わば、カリフォルニアでラッコが打ち上げられてしまった際の110番です。
681号は、長きにわたる保護の歴史で681番目に保護されたラッコだったため、そのように仮の名前が付けられました。
成体の病気のラッコで、治療をして健康になったら自然に帰したものもいました。高齢のためラッコの人生の終わりに老衰で死ぬ可能性の高いもの、またサメに噛まれてしまったもの、非常に深刻な病状であったラッコもいました。その場合は、人道的措置として、スタッフにより安楽死させられました。
生まれたばかりのラッコたちのために、私たちは自然に帰すことができず、展示されていたラッコたちに代理母としてみなしごラッコを育て、そのラッコが自立して生きていけるよう必要なスキルを教えるため、協力してもらうというプログラムを開発しました。
ラッコによる代理母プログラムの成功
ラッコの赤ちゃんは人間の赤ちゃんと同じように、多くのことを母親から学ばなければないため、自然に帰すことができるのは代理母に育ててもらったラッコだけなのです。681号の場合は、都合のつく代理母ラッコがいませんでした。
2001年から、モントレーベイ水族館の「ワーキングマザー」たちは30頭以上のみなしごラッコを育て、そのラッコたちはその後自然に戻っています。最も有名なラッコはPBS Natureのドキュメンタリー "Saving Otter 501"(訳者注:【記事】ラッコ501号を救え!参照)でしょう。501号の母、トゥーラは代理母ラッコの草分けで、2012年に亡くなるまで13頭のラッコを育て上げました。
自然に戻ったあと、代理母に育てられたメスラッコたちは大きくなり、少なくとも24頭の子どもを産んでいます。
多大な貢献
病気のラッコや怪我をしたラッコ、みなしごラッコを保護することは、依然として3,000前後に留まっているラッコの個体数の回復に対する貢献のほんの一部です。私たちは、極東のロシア、アラスカ沿岸全域、そして西海岸の沿岸において、ラッコに関する高度な科学的研究のパートナーでもあります。また、ラッコの個体数の回復に繋がる政策や規制のサポートを働きかけています。
私たちの仕事の多くは人目に触れることがありません。しかし、681号のようなラッコが現れれば、681号の話題によって注目が惹きつけられることを嬉しく思います。この、たった1頭のふわふわの赤ちゃんが、ラッコやその他の多くの生物たちが自然で生きていくために私たちの助けを必要としているのだ、ということを、全米の人々に気づかせてくれるのです。
(Photos ©Shedd Aquarium/Brenna Hernandez)
記事元:
http://montereybayaquarium.tumblr.com/post/102016083073/sea-otter-9-1-1-the-internet-is-awash-with-sea
November 7, 2014
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