本日は、2014年11月5日付けのChicagoistのニュースから、"Photos And Video: Shedd
Aquarium Gives Sea Otter Pup A Second Chance"をお届けします。カリフォルニアのモントレーベイ水族館で保護された赤ちゃんラッコ681号が、イリノイ州シカゴのシェッド水族館で第二の人生を歩むことになりました。
※追記あり(2014年11月6日)
ラッコ681号。名前はまだない。(Shedd Aquarium/Brenna Hernandez)
今朝は、真面目な話題を取り上げることにしましょう・・・このかわいいラッコのお話です。
(訳者注:今朝はアメリカの中間選挙開けで、どのメディアもその話題で持ち切りです)
シェッド水族館にこのほど到着した、生後5週間のみなしごのカリフォルニアラッコに会ってみましょう。この雌の赤ちゃんラッコは、この絶滅危惧になったラッコの救出と保護の権威であるモントレーベイ水族館から、シェッド水族館へやってきました。
この赤ちゃんラッコは9月30日にカリフォルニア州サンマテオとサンタクルーズの間の海岸にあるコーストウェイズ・ビーチで発見されました。夕暮れに散歩をしていた人が赤ちゃんラッコの声を耳にし、海洋哺乳類センターへ通報したのです。その後、同センターがモントレーベイ水族館のラッコ保護プログラムへ連絡をとりました。ラッコ保護プログラムの科学者たちは当日は場所が遠かったことと闇が迫っていたこともあり、保護することができませんでしたが、翌日無事保護することができました。この赤ちゃんラッコは少なくとも母親と別れて16時間が経っており、救出された時の体重はわずか1kgでした。
「それは命にかかわる状態で、我々はすぐにその赤ちゃんラッコにカロリーを与えました」
とラッコプログラムのアニマルケアコーディネーターのカール・メイヤー氏は述べました。
現在このラッコは6パウンド(約2.7kg)、22.6インチ(約57.4cm)になります。モントレーベイ水族館のラッコ保護プログラムは野生動物保護団体やシェッド水族館のような他の水族館と協同し、種としてのラッコの保存と、傷ついた成体および子どものラッコの保護、治療、自然へのリリースを行っています。1984年以降、700頭を超えるラッコがこのプログラムによって救出されてきました。当面「ラッコ681号」と呼ばれるこの赤ちゃんラッコは、先週シェッド水族館へ到着して以来、24時間体制でケアを受けています。
追記:らっこちゃんねるより
モントレーベイ水族館のFacebookでこのラッコについていろいろ質問がされていましたので、その一部をご紹介します。(一般の方のお名前はイニシャルにしてあります)
L.A:どうしてこのラッコは、他のみなしごラッコたちのように育てて自然に返すことなく、保護下で生きることになったのですか?
>モントレーベイ水族館:私たちが保護したラッコたちが全て自然に戻されるわけではありません。浜にいた際に人間を刷り込まれてしまった(訳者注:ひな鳥のように、幼い動物は、刷り込みによって"親"を認識します)、もしくは、健康上の問題で獣医によるケアが必要などの理由からです。この「自然に返すことができない」という決定は、私たちがするわけではなく、アメリカ魚類野生生物局が行うものなのです。私たちが行っている、西海岸でのラッコの保護・リハビリセンターの役割については、こちらをご覧ください。
>L.E:PBS Natureのビデオ、Saving 501(訳者注:記事「ラッコ501号を救え!」でご紹介)を見たら、なぜ全てのラッコを自然に返すことができないのか分かると思いますよ。非常に素晴らしく、情報の多いドキュメンタリーです。
>E.D:自然に返せないのは残念ですね。お知らせをありがとうございます。それからモントレーベイ水族館の尽力に感謝します。
>S.V:モントレーベイ水族館のラッコたちはとっても幸せそうですね。オモチャもたくさんあるし、いろんなことができるし。
>P.T:いい質問ですね!モントレーベイ水族館の方、ためになる回答をありがとうございます。
N.N:入場料として払ったお金でラッコを保護して自然に返すんだと思ってた。まさか、金儲けのために盗んで売っ払うとは!ああ、怒り心頭!超がっかり!
>モントレーベイ水族館:N.Nさん、私たちはラッコを売ってはいません。そういうことは間違っているだけでなく、違法なことなのです。西海岸のラッコ保護センターとして、わたしたちは多くのラッコたちをケアしてきました。しかし残念ながら、浜で人間を刷り込まれてしまったり、獣医による治療が必要な健康状態であったりという理由で、全てのラッコを野生に帰すことができるわけではないのです。この「自然に返すことができない」という決定は、私たちがするわけではなく、アメリカ魚類野生生物局が行うものなのです。私たちが行っている、西海岸でのラッコの保護・リハビリセンターの役割については、こちらをご覧ください。
>N.N(本人):今まで何頭くらいが野生に戻されたんですか?
>N.N(本人):申し訳ありません。このことを知るまで、盲目的に水族館とか動物園を信用していなかったのです。シーワールドは自分たちを野生動物を保護しているというけれど、自然に戻したことなどないし、そうした動物たちを使って儲けようとしているでしょう。
>J.T:私はあなたに対して何を信じるべきとかどう考えるべきだとは言えないけれど、もしよかったら私の意見を聞いてくれる?モントレーベイ水族館は、保護活動に対しては非常に真摯に取り組んでいます。たとえば、水族館がお世話しているホホジロザメ。もしそのサメを永久に展示すれば、それがもたらすお金は驚異的な額にのぼるでしょう。でも、モントレーベイ水族館は短期間の後、全てのホホジロザメを自然に返してしまいます。それは、サメにとってそれが一番いい環境だからです。シーワールドは、全体的に見れば、個々の動物やその種にとって何がいいかに関わらず、動物を囲ってお金をかき集めるようなことをしているかもしれません。全ての水族館や動物園が悪いわけではありませんが、いろいろ質問して、事実をきちんと把握するほうが、賢いと思います。わたしはそういう方法を尊重しています。
>N.N(本人):ありがとう。きっとモントレーベイ水族館は保護した動物たちにとって一番いい方法を選んでいるのね。でも、直接水族館の方から聞きたかったわ。
>モントレーベイ水族館:保護プログラムについては、上でご紹介したリンクからご覧いただけます。これまで私たちは600頭以上のラッコを助けてきました。モントレーベイ水族館で展示されているラッコですら、みなしごラッコたちを育て、自然に帰すための養母としての任務をはたしているのです。
最近、動物園や水族館のあり方のようなものについて考える機会がありましたので、このやり取りは印象に残りました。
モントレーベイ水族館の献身的な取り組みについてはらっこちゃんねるでも何度も取り上げていますが、実際、"Saving Otter 501"(記事「ラッコ501号を救え!」参照)を見てもお分かりのように、常人が思うより遥かにタフであり、人手も時間もお金もかかる仕事です。代理母を務めるラッコも、1頭を育て上げるまでに数か月かかります。人間で考えても、手のかかる赤ちゃんを次から次へと育てる労力がどれほどのものか、想像していただけると思います。それらの代理母ラッコたちも、病気などが理由で自然に戻ることができません。そうした代理母を務める適性のあるラッコがたくさんいるわけでもありません。何も健康上問題ないラッコに比べて、関わることができる時間や体力にも限界があるはずで、無制限に赤ちゃんラッコを次々をとお世話できるわけではないでしょう。もちろんそれらのラッコをお世話するスタッフの人件費や他の動物に比べて膨大にかかる餌代などは、すべて入場料と寄付金で賄われています。人的、場所的、金銭的、ラッコ的にも限界がある中で、モントレーベイ水族館は最大限頑張っていると思います。モントレーベイ水族館としても、運び込まれる全てのラッコに対して最後まで十分なお世話をしたいと考えていることでしょう。「なぜ、全ての赤ちゃんラッコを代理母でお世話できないのか」という質問は、もちろんラッコのことを思えばこそそのような質問も出るのでしょうが、モントレーベイ水族館の取り組みを考えると、非常に酷にも感じます・・・願わくば、モントレーベイ水族館と同じように代理母に協力してもらい、赤ちゃんラッコを育て自然に返すという取り組みをする施設が他にもできればいいのですが。
元記事:
Chicagoist
Photos And Video: Shedd Aquarium Gives Sea Otter Pup A Second Chance
Chuck Sudo in News on Nov 5, 2014 9:00 am
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