本日は、6月19日付のseaotters.comの記事"Researchers Discover New Poxvirus in Sea
Otters"から。
親とはぐれて保護されたラッコの子どもたちに新種のウイルスが発見されたようです。
親とはぐれた2匹のラッコ子どもに見られた異常な皮膚障害の調査の結果、フロリダ大学の科学者とその協力者たちは、今まで知られていなかったポックスウイルスであることを特定しました。
「私たちの知る限り、これはイタチ科、つまりカワウソ、ミンク、アナグマ等の種を含む動物たちのグループにポックスウイルスが最初に報告された例です」と、ウイルス学と獣医学を専門とするフロリダ大学獣医学部准教授ジェームズ・ウェレハン博士(獣医学)は述べました。
ポックスウイルス科のウイルスは動物と人間の両方にに影響を与える重要な病気を引き起こします。人間のあいだでは天然痘の発生は世界的に大流行になりました。
この特定のポックスウイルスが人間に感染する可能性は不明であると、科学者たちは言っています。ラッコが、人間への感染が報告されているポックスウイルスにさらされているという報告はなされていませんが、野外もしくはリハビリテーションセンター等でこれらの動物を取り扱う際は保護服と手袋を着用するよう科学者たちは忠告しています。
2匹のラッコの子どもたちは、地理的・遺伝的に別れた別々の個体群(一つはアラスカ、もう一つはカリフォルニア)の出身です。そのため、研究者はウイルスが地理的に広範囲に広がっているはずだと言っています。そのラッコたちは、皮膚障害が見つかり、その後検査を受けた際、リハビリテーション中でした。
現在ワイルドライフ・ディジーズ・ジャーナル誌のオンライン版にある報告によると、DNA鑑定により、2匹のラッコたちに見つかったウイルスの遺伝子配列が同一であったこと、またそのウイルスがこれまで特定されていなかったものであったことが分かったとのことです。
フロリダ大学の研究者たちはそのウイルスによって引き起こされる皮膚障害がラッコの毛皮に干渉し、ラッコが水上生活で生き残るために必要な生まれ持った特性を阻害するため、そのウイルスはラッコに対して脅威をもたらしていることを発見しました。
「ご覧のとおりステラーカイギュウ(現在は絶滅)、クジラやアザラシなどは、顕著な脂肪層を持っています。しかし、ラッコが冷たい水の中でも生きていけるのは、毛皮のおかげです。したがって、その非常に密な毛皮に影響を与えるものは全て、ラッコにとっては大問題となります。」
とウェレハン博士は述べました。
ウイルスの感染源、ラッコへの感染経路、人間への感染の可能性、生物学的な意味を特定するため、さらなる研究が必要です。
「医学的に重要なウイルスのグループの多様性、生態、進化を理解することは、予防と監視にとっては重要なことです」とウェレハン博士は述べました。
研究チームに所属する他の協力者には、伝染病学准教授でありフロリダ大学水生動物健康プログラムのコーディネーターであるトーマスB. ウォルツェク獣医学博士、アラスカシーライフセンター、モントレー水族館、ノースウエスト・ズーパス、カナダ漁業海洋局が名を連ねています。
フロリダ大学獣医学部は、フロリダ大学医学部、フロリダ大学食物農業科学研究所から資金提供を受けています。
著者について:サラ・ケアリーは、フロリダ大学獣医学部の広報部長で、本稿は広報部長の許可をとった上で複製されています。
記事元:
Seaotters.com
Researchers Discover New Poxvirus in Sea Otters
Sarah Carey June 19, 2014
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