【記事】救出されたラッコ「ウィフィン」死に至る | Whiffen the sea otter dies 11 weeks after rescued

本日はカナダのVancouver Aquariumレスキューセンターのブログから、救出されたラッコ「ウィフィン」に関する記事をまとめました。2月に浜辺で怪我をしているところを助けられた「ウィフィン」が、治療の甲斐なく5月10日、天国へ旅立ちました。

カナダで保護されたラッコが亡くなったという残念なニュースを見つけました。普段はカリフォルニアのラッコ事情についての記事が多いのですが、カナダでも同様の取り組みをしていますので、ご紹介したいと思います。

救出された「ウィフィン」

2014年2月25日

浜辺で発見されたウィフィン:ancouver Aquarium handout
浜辺で発見されたウィフィン:ancouver Aquarium handout

ラッコの救出は易しい事業ではありません。

 

2月22日土曜日にスークハーバーの入り江のウィッフェン浜で、最初に、珍しく容易に近づくことのできるラッコが発見されてからというもの、バンクーバー、ポートメトロにあるバンクーバー水族館海洋哺乳類保護センターから迎えたチームにとって、まさに24時間体制の努力を要するものでした。

 

早朝5時、チームはバンクーバー湾のレスキューセンターでバンに乗り込み、7時ツワッセンからビクトリア行のフェリーに乗り、雪の降る中、バンを飛ばしてスークの南にある浜へ向かいました。

 

バンクーバー水族館海洋哺乳類保護センターのマネージャーであるリンゼイ・アクハーストは、チームが到着した時点ではその大人の雄のラッコは、重体だったと述べました。

「われわれが発見した時には、そのラッコは浜におり、反応も薄く、低血糖の兆候が現れていました。保護センターに連れ帰る前に、緊急の治療措置を講じる必要がありました。帰りの道のりをなんとかしのげるかもしれないと思うほど、楽観的にはなれませんでした。」

 

日曜日の昼、バンクーバー水族館の保護センターはBCSPCA野生動物リハビリテーションセンターのチームとともに、致命的な傷を負ったラッコを救出しました。そのラッコは、後ろ足のヒレに原因不明の傷を負っており、極度に衰弱していました。初期検査では、一定の期間必要なカロリーを摂取していないことが原因による低血糖と診断されました。

 

午後6時にセンターに迎え入れられると、バンクーバー水族館の獣医 マーティン・ハウリナ 博士とインターンのケリー・ブリット博士による監修のもと、スタッフにより容体の安定がはかられました。

集中治療を受けるウィフィン:Vancouver Aquarium handout
集中治療を受けるウィフィン:Vancouver Aquarium handout

「そのラッコは、24時間の集中治療中で、2時間ごとに手で餌を与えています。」とアクハーストは述べています。「非常に衰弱していて、おそらく後ろ足のヒレを骨折しているようです。そのため、自分で毛づくろいができず、毛皮に体温の維持を頼っているラッコにとっては致命的なのです。」 当面ラッコの容体を安定させることに集中し、ある程度安定したところでレントゲンや怪我の原因を解明するための診断が可能になり、、その後の治療やリハビリ生かすことができます。

 

救出から12時間後、救出された場所にちなみウィフィンと名付けられたそのラッコは、ついに快方に向かっている兆候が見られました。

 

「生き延びられると断言するにはまだ時期尚早ですが、十分なリハビリを受け野生に戻る可能性が少しでもあるなら、その可能性のためにわれわれはできることを全てやっていきます。」とアクハースト氏は付け加えました。

 

バンクーバー水族館は独立運営の非営利団体で、救出され、リハビリを受けている動物たちへのこうした24時間体制のケアに対し、資金を受けていません。このラッコや同じような動物たちを助けるために、海洋哺乳類保護センターの寄付ページをご覧ください。

 

バンクーバー水族館は、怪我などで弱っている海棲動物を発見した際は、保護センター( 604 258 7325)へ連絡するよう、通知しています。

 

ウィフィンの救出とその後のリハビリへの尽力に関する動画をぜひご覧ください。

トキソプラズマによる死

2014年5月13日

ブリティッシュコロンビア州のソークで救出されたラッコ、ウィフィンに対する11週間にわたる集中治療の後、保護センターのチームとボランティアたちは、死に深い悲しみに直面しました。5月10日、ウィフィンは不調の原因を見つけるため、麻酔をしてMRIを受けているところでしたが、突然呼吸困難を起こし、死んでしまいました。

 

MRIは、ウィフィンの体重が減少しつづけ、筋肉が著しく失われ、脱毛、衰弱、快方に向かっていないなどの理由を見つけるために行われたものでした。それは、ウィフィンにとって最良と思われる治療方法や、人道的な他の方法を見つけるためのものでもありました。

 

わたしたちのチームに救出された当時、発見された砂嘴(さかく)にちなみウィフィンと名付けられたそのラッコは重体で、身体全体に発作が見られ、衰弱し、低血糖の兆候を見せており、後ろ足のヒレに怪我をしていました。

 

非常に残念なことに、快方に向かったという兆候は全くみられませんでした。後ろ足のヒレは完全に元通りに動くことはなく、神経症状が続き、毛づくろいを手伝う必要がありました。より心配だったのは、肝臓の酵素の数値が継続的に高く、繰り返し行われた血液検査ではトキソプラズマの値が非常な勢いで上昇していたことでした。症状と検査結果に基づき、ウィフィンは全身性トキソプラズマ症にかかっているという指標がありました。

 

マーティン・ハウリナ博士は、トキソプラズマは、環境的な視点から、非常に重要な病気であるとコメントしています。 トキソプラズマ原虫という寄生虫に感染することで発症するもので、一般には「猫の寄生虫の病気」として知られており、カリフォルニアのカリフォルニアラッコの死亡や、生息数がなかなか増えない主な原因であるとされています。今年初め、ブリティッシュコロンビア大学の研究員たちは、北極海にいるベルーガにこの寄生虫が発見されていると発表、北極圏に新しい病気が現れる原因が気候変動にあるのかどうか結論づけるため、新たに調査を進めています。

 

 

海洋哺乳類保護センターで保護されている動物たちの同様、ウィフィンは回復し野生に戻されることが望まれていましたが、治療にあたったチームは経験から重要なことを学び、将来的に役立つデータを得ることができました。ウィフィンの治療に結果を出すために、あらゆる可能な方法を用いて尽力を惜しまなかったチームを、わたしたちは非常に誇りに思っています。

参考記事: