本日はSmisonian.com の記事Sea Otters Can Get the Human Flu と The Verge の記事 "Meet the world's newest H1N1 flu carrier: the sea otter" をご紹介します。
ラッコの7割以上が新型インフルエンザ(H1N1)のキャリア(ウイルス保持者)であることがわかったという記事。
H1N1インフルエンザといえば、さかのぼること2009年に大流行し、世界中で14,000以上が死亡した病気。
もともとは豚インフルエンザからきているものですが、一部の限られた動物もH1N1ウイルスのキャリアになっています。ニワトリ、豚、馬などの家畜や、フェレット、猫などがそうです。海洋性動物の中ではゾウアザラシが唯一、感染が報告されています。
2009年にアメリカ地質調査所がワシントンステイトコーストで実施した調査により、30体のラッコのじつに7割以上がこのH1N1ウイルスの抗体を持っていることが判明し、研究者たちを驚かせています。ワシントン州沿岸のラッコの生息地は、人が気軽に行けるような場所ではないため、ラッコが人間の病気に影響を受けることはなかったからです。
スミソニアンによると、海洋生物で唯一のウイルスキャリアであるゾウアザラシから広がったという仮説が考えられると報告していますが、研究者たちはこれは推測にすぎないとし、このウイルスが動物たちの間で広がった原因を突き止めるため、さらなる調査が必要と考えられています。
現在のところ、ラッコがこのインフルエンザを発症した兆候は見られませんが、ラッコの数に影響しないことを確認したいと研究者たちは考えています。更に重要なことに、こうした新参のウイルスキャリアが生態系にどのような影響を及ぼすのかを解明する必要性があるとのことです。
確かにラッコは他の家畜などとは違い、人間の生活範囲や人間との直接的な接触が少ない動物なので、その感染経路を調べることで他の海洋性動物への感染を防いだり、環境への影響が明らかになるかもしれませんね。アメリカにはラッコに直接餌を与えられる水族館もありますが、そうしたところではラッコに触れる前にちゃんと消毒をするそうです。この記事を読んで思ったのは、人はいろいろな病原菌を持っていますが、抗体があったり身体の抵抗力がちゃんとあれば菌を持っていても発症しないので、あまり自分がいろいろな菌を持っているという自覚をすることがないかもしれないということです。自分が発症しないからといって他人が発症しないわけではありません。体の弱い人や抵抗力の低い人は発症してしまいます。特に野生動物たちは、こうした調査によってしか、感染の事実が明らかになることがありません。人間から動物へ感染する場合もあるし、この新型インフルエンザのようにもともと動物から人へ感染し変異したものもあります。動物などに接触する機会がある場合は、自分のためにもそれらの動物のためにも、ちゃんと消毒して感染の可能性を少しでも少なくすることが重要なのだろうと思います。
記事参照元
Sea Otters Can Get the Human Flu
By Rachel Nuwer
SMITHSONIANMAG.COM
APRIL 10, 2014
Meet the world's newest H1N1 flu carrier: the sea otter
By Arielle Duhaime-Ross
April 16, 2014
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