【記事】ラッコが温暖化の歯止めに貢献 | Sea Otter v. Climate Change

本日は、KQEDの記事Sea Otters v. Climate Changeをご紹介します。

 ワシントンコーストに移殖されたラッコたちが、温暖化の歯止めに役立っているというお話。

 

18世紀から19世紀にかけて、毛皮目的のため乱獲され、ラッコの数が激減しました。

そこで、国がラッコの保護のため、アラスカのラッコの70頭程度がオレゴン州・ワシントン州とカナダのブリティッシュコロンビア州に移殖されました。

 

ラッコはコンブの森に棲み、そこに生きるカニやウニなどの無脊椎動物を餌にしています。

ラッコが来る前、このあたりはウニには天敵がいなかったため、ウニが大繁殖しコンブを食べつくして海の中は半ば砂漠状態になっていました。

ラッコは一日に体重の25%程度を食べるため、そこではウニの数が劇的に減り、ウニに食い荒らされていたコンブの森が復活しました。

 

実はコンブは、大気中の二酸化炭素を多く吸収する植物です。

そのため、コンブの森が復活することは、それが温暖化の防止に役立っているということになります。もともとはラッコは保護するという目的で移殖されたわけですが、ラッコが生態系のバランスを整える役割を果たし、その結果、温暖化の防止にも一役買うことになりました。調査によると、ラッコの棲むコンブの森は、ラッコがおらずウニを放置している場所に比べて二酸化炭素の吸収が12倍も多いのだそうです。

 

一見、なんの関係もなさそうなラッコと気候の変化。
自然は見えない糸でつながっているのです。

 

こうした生き物と環境の関係はラッコに限ったことではなく、様々な生き物が生態系の中でバランスを取り、生き物すべてが住みやすい環境を作るようになっているのです。野生動物の保護は、その動物を守るということの先に、生態系、環境すべてを守るということにつながっているということなのですね。

 

海産物をよく食べる日本では、ラッコはウニや貝などを食べてしまう害獣とみなされる場合もありますが、健全な海の生態系を守る役割を果たしているということも知っておきたいものですね。

 

似た内容の記事が、ナショナルジオグラフィック日本版にもありましたのでご紹介しておきます。

記事参照元:

Jan 14, 2014

Sea Otters v. Climate Change

Video Story by Michael James Werner for QUEST Northwest