ラッコウォッチングのガイドライン | Viewing Guidelines
現在、日本で野生のラッコを目にする機会はそれほど多くはありません。しかし、野生のラッコの繁栄を助けるためには、ラッコの特性を知り、私たちの行動を制限する必要があります。
こちらで紹介するガイドラインはアメリカで実施されているものですが、場所は変わってもラッコという存在に変わりはありません。アメリカやカナダ、ロシアでラッコを見る際も、日本でラッコを見る際も、十分に気を付けてください。
updated: 7/5/2018
なぜラッコハラスメントをしてはならないのか
1.余分なエネルギーがない
アザラシやアシカなどと異なり、ラッコには皮下脂肪がありません。ラッコは寒冷な海で体温を保つため、常にエネルギーを体温に変えなければなりません。代謝が高いため、ラッコは1日に体重の25%ものエサを取りたべなければなりません。ラッコがのんびり寝ているように見えるのも、エネルギーをセーブしているのです。
睡眠を邪魔し、泳いで逃げるように仕向けてしまうことは貴重なエネルギーを浪費させることになってしまいます。
2.ストレスが致命傷に
そもそも人間ですら寝ている時に邪魔されればストレスになります。ラッコも同じです。ラッコを見る人間にとってはラッコに近づく機会は一生に一度かもしれませんが、ラッコにとってそれが立て続けに1日中次々と起こっているということを考えてみてください。こうしたストレスは見えない傷となり、ラッコを死に追いやっていくのです。
特に子育て中の母親は体力的にも弱っているためハラスメントにより致命的なストレスを受けます。
ハラスメントしないために
1.浜に上がっているラッコには近づかない
ラッコが浜に上がって休むのは自然なことですが、中には病気や怪我、高齢などが理由で回復するために休んでいるものもいます。近づいてラッコが水に逃げることは貴重なエネルギーの浪費となります。
30メートル以上離れることが基本ですが、ラッコが浜で寝ていることが分かったら絶対に近づかないでください。またラッコが頭を上げて警戒する様子を見せたら、ラッコまでの距離に関わらずそれ以上近づかないでください。病気などと思われるラッコを見つけても近づかず、まずはラッコ保護団体へ連絡してください。
2.カヤック・ボード5つ分以上の距離を
水の上では、少なくともカヤックやパドルボード5つ分以上の距離をとってください。潮の流れや風向きで自分の意に反してラッコに接近してしまうこともあります。常に距離には余裕を持ち、5つ分以上の距離があっても、ラッコが警戒する仕草(自分のほうを見たり、逃げる仕草をしたりする)を見せたら、ゆっくりと後ろに下がってください。
3.カヤックやパドルボードで囲まない
人間でさえ、知らない人に取り囲まれたら恐怖に陥ります。野生動物も同じです。
ラッコなどの動物を見る際は取り囲まず、一人ずつ順番に見るように心がけてください。
4.ペットを近づけない
ペット(犬)とラッコの安全のため、ラッコを追いかけさせたり、ハラスメントさせたり、インタラクションさせたりしないでください。ラッコは歯が強いため、犬も大けがをする可能性があります。また犬とラッコの間で病気が感染する可能性もあります。野生動物がいる場所では犬は必ずリーシュをつけ、野生動物に近づかないようにしてください。
5.絶対にエサをやらない
可愛い動物を見るとエサをやりたくなるのは人情かもしれませんが、動物の食行動、ひいては生態系のバランスを大きく崩すことになります。このような行動はラッコが人間と食べ物を関連付け、人間とのインタラクションを増やし人間やラッコの安全性に問題を引き起こすだけでなく、ラッコがその場所にない食べ物に慣れてしまうと本来ラッコが食べることでバランスがとられていたその場所の生態系が大きく崩れてしまう可能性もあります。ラッコはたくさんのエサを獲るために苦労していますが、全ての動物は自分でエサをとる必要があり、エサが取れなくなることは死を意味します。それが自然界の掟であり、人間が決して干渉してはいけない部分です。また、野生生物にエサを与えることは違法です。
6.ドローンもハラスメントです
旅行に行く際、ドローンを持っていく方も増えています。空からダイナミックな映像を撮影できるドローンは、新たな動画撮影の楽しみを作り出してくれました。しかし、使い方を誤るとそれは動物たちの安らぐための時間をだいなしにしてしまいます。ドローンを使う際は、動物たちが認識できない十分な高さから撮影するようにしてください。
こちらは、モントレーベイカヤックというレンタルカヤックショップに掲げられている看板を翻訳したものです。ぜひ参考にしてください!(クリックで拡大)
シーオッターサビーの歌
ラッコウォッチングの約束事がかわいいアニメと歌にまとめられています。
歌詞はこちらに和訳がありますので併せてご覧ください。