【記事】原油流出事故を想定した訓練 | What about sea otters?

本日は2020年2月5日付のOiled Wildlife Care Networkのブログから、"What about sea otters?"をお届けします。この組織は原油流出の際油で汚染された野生生物の救助および洗浄、リリースを行うネットワークです。エクソンバルディーズ号原油流出事故のような大きな事故が起きれば、生息域が限定されたカリフォルニアラッコはすぐに絶滅してしまいます。それを防ぐため、汚染されたラッコの洗浄や収容などの訓練が行われています。

数週間前、カリフォルニア州魚類野生生物局油流出防止対策局(CDFW-OSPR)のラッコ生物学者が、2日間にわたる訓練を実施した。ラッコ用の浮き生け簀(フローティングペン)の設置と展開(1日目)、大きな(約4.5mX6m)生け簀を使ったシミュレーション(2日目)を行った。CDFW-OSPRは8つの生け簀を所有しており、ラッコに影響が出るような油流出の際に展開されることになっている。この生け簀は、施設が満杯の場合、洗浄され健康になったラッコを放流前に一時的に保留しておくために使われる。過去、このような生け簀はエクソンバルディーズ号原油流出事故の際、ラッコの輸送プロジェクトの一部としてラッコを収容するために使用されてきた。この訓練はサンフランシスコ湾のホースシュー・コーヴで行われ、米国沿岸警備隊のゴールデンゲート基地局がホストとなった。

CDFW-OSPRのラッコ生物学者マイク・ハリスがホースシュー・コーヴで浮き生け簀の操作を行っている。

訓練の初日には、生け簀の組み立てと水上への移動が行われた。これまで何度も練習してきたが、この場所でこの訓練で使うのは10年以上ぶりのことだった。この場所に再び慣れるようにするだけでなく、サウサリートの近くにある海洋哺乳類センター(TMMC。OWCNのメンバー組織の1つ)から数人のボランティアが参加し、生け簀に慣れる機会となった。この場所で実際に生け簀を導入することがあれば、間違いなくTMMCのボランティアに大いに頼ることになる。生け簀の組み立てと水上への移動はかなりスムーズに行われたが、この場所で作業する上でかなり考慮しなければならない潮の高さに細心の注意を払うなど、より速く簡単にする方法について多くの記録を行った。

 

2日目の訓練では、これらの生け簀にラッコを収容した場合を想定したシナリオに沿って行われた。OWCN、TMMC、モントレーベイ水族館(MBA)、カリフォルニア大学サンタクルーズ校(UCSC)のラッコ生物学者、獣医、トレーナー、飼育専門家からの専門的なアドバイスを受けながら、私たちはどのようにして個々のラッコを生け簀に入れたり出したりするか、またどのように安全で適切なホールアウト(ラッコが上がれる陸地)を提供し、ラッコが逃げ出す危険性を減らすかについて話し合いやシミュレーションを行った。

地上で生け簀を組み立てた後、担当者はフローティングドック(海に浮かせるための浮き状の構造物)と網で覆われた生け簀を水中へと移動させる。OWCNの「ヨナボート」の船首が中央下部に見える。この船は入り江の中で生け簀を移動するのに使われた。

チームが浮き生け簀(フローティングペン)の中でラッコを管理する方法についてシナリオを練る。

2日目は、実践的なシナリオの生産的な議論、ガイダンス文書に全員の推奨事項を組み込む計画、未解決の問題に取り組むためのサブグループの形成、また近い将来、飼育下で本物のラッコを使った訓練をすることによってそうした推奨事項をテストする計画についての議論で終わった。 この訓練参加したすべての人に感謝している。時間が経ち、退職する人が出ると、これらの生け簀でラッコを扱った経験のある人の数は減っていくため、多くのOWCNメンバー組織が協力し、実際に油が流出した場合にこれらの生け簀を使用するのに必要な経験と専門知識を持っているようにしている。

トレーシー・ケンダル(オレンジ色の帽子、カリフォルニア大学サンタクルーズ校)が生け簀にいる他のラッコを逃がさないようにダミーのラッコ(黄色の袋)を網で捕まえるプランについて説明している。OWCNの上んでぃとティムも議論に参加している。

Oiled wildlife Care Network
What about sea otters?
Feburary 5, 2019