【記事】サンフランシスコ湾にカリフォルニアラッコが再定着すれば個体数が3倍になる可能性 | Study finds California could triple southern sea otter population by recolonizing San Francisco Bay

本日は2019年12月9日付のソノマ州立大学のニュースより、Study finds California could triple southern sea otter population by recolonizing San Francisco Bayをお届けします。サンフランシスコ湾にはかつて多くのラッコが生息していたと考えられており、ラッコが再定着することで現在の個体数を大きく増やせる可能性を指摘した論文が発表されました。
昨年中に翻訳する予定だったのですが遅れてすみません。

エルクホーン湿地帯の塩性湿地に上陸するラッコ/Ron Eby

(ローネルト公園)—ラッコがケルプ床や岩礁の浅瀬で戯れる様子は、カリフォルニアの海岸の象徴になっている。しかし、それは絶滅危惧種の回復に役立つ可能性のある他の生息地、河口域の価値から目をそらさせているのかもしれない。

 

実際、今日発表された最新の研究では、カリフォルニア州沿岸最大の河口域であるサンフランシスコ湾に新たな個体群を移入することで、カリフォルニアラッコの個体数を推定3,000頭からほぼ10,000頭へと、3倍以上に増やすことができると結論づけられた。

 

「それにより、絶滅危惧種の地位からラッコを救い出せるでしょう」とソノマ州立大学の助教授であり、PeerJ:the Journal of Life and Environmental Sciences誌に発表された研究の指導研究員であるブレント・ヒューズは言う。「ラッコの保全にとって、これは大きいでしょう」

ソノマ州立大学の准教授ブレント・ヒューズはカリフォルニアはラッコの個体数を3倍にできる可能性があることを示した最新の研究の筆頭研究者だ/Jessica Saavedra

ヒューズとその仲間の研究者によると、現在のカリフォルニアラッコの回復計画には河口域は対象生息地として含まれていない。こうした場所は「生き残った個体群が存続していたところ」である可能性があると、ヒューズらは「過去の生息地の種の回復と再定着:河口域のラッコから得た科学と保全のための教訓」と題した論文にまとめている。

 

「科学的なメディアでも一般的なメディアでも広く支持されている定説は、ラッコは海のケルプの森で最高の働きをするというものです」と、デューク大学ニコラス環境学部のレイチェル・カーソン海洋保護生物学准教授で本研究のパートナーであるブライアン・シリマンは言う。「しかしこれは、これらの個体群が急激に減少している間に行われた研究や観察に基づいています。そのラッコたちが回復しつつある今、実際いかに適応性があり、国際的であるかを示し、私たちを驚かせています」

 

「これは本当にラッコの生態学的役割に対する私たちの見方を変えるものです」 と、アメリカ地質調査所の西部生態学研究センターの元野生生物学者であり、カリフォルニア大学サンタクルーズ校の生態・進化生物学部の非常勤教授であるティム・ティンカーは言う。「ラッコは外海のキーストーン種である海棲哺乳類であるだけでなく、河口域における重要な頂点捕食者でもあります」

 

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18世紀から19世紀の毛皮貿易は世界のラッコの個体数を15万~30万頭から約2,000頭にまで減少させ、それによりカリフォルニアラッコは絶滅したと広く信じられていたが、1914年に岩礁の多いビッグサーの海岸沿いで約50頭のカリフォルニアラッコの生き残りが発見された。保全活動のおかげで、個体数はその後3,000頭以上に増えたが、その数はかつての個体数や生息域をはるかに下回っている。

 

保全活動はこれらの岩礁の多い沿岸生息地のラッコを保護することに集中してきたが、カリフォルニアラッコはかつてサンフランシスコ湾を含むカリフォルニアの河口域に豊富にいたことを示す証拠がある。スペインの探検家による初期の報告によると、南はサンノゼ、北はリチャードソン湾に生息するラッコの個体群が記録されていた。「この河口ではおそらく数千頭のラッコが生息していたが、乱獲によって局地的に絶滅に追いやられた」と研究者らは述べた。

 

カリフォルニア州で唯一ラッコが生息している河口域はモントレー湾のモスランディングのエルクホーン湿地帯だ。調査によると、カリフォルニアラッコは全体として、歴史的な生息範囲の約13%にしか再定着していない。

 

ヒューズによると、ラッコの生息環境が断片化されたままでラッコが北に移動できず、サンフランシスコ湾に生息地を回復できない理由の一つは、ゴールデンゲートブリッジ付近に大型のホホジロザメが生息していることだ。「私たちはそれを「ゴーントレット(困難)」と呼んでいます。」とヒューズは言う。「ラッコは本当にそのゴーントレットをくぐり抜けることができないのです」

 

しかし、もしサンフランシスコ湾の中でホホジロザメの生息範囲から外れたところでラッコの個体群が定着すれば、ラッコは頂点捕食者となり、繁栄するだろう。

 

研究者らは、既存の研究とラッコの成長のモデル化を用いて、サンフランシスコ湾では約6,600頭のラッコを許容できると結論づけた。これは、現在推定されている3,000頭という個体数の2倍以上である。「ラッコの保全に対する見方を変えるでしょう」とヒューズは述べた。

 

この研究は、ソノマ州立大学と米国魚類野生生物局、米国地質調査所西部生態学研究センター、国立公園局、エルクホーン・スルー・ナショナル・エスチュアリン保護区、モントレーベイ水族館、ハカイ研究所、サンフランシスコ州立大学、サンディエゴ州立大学、カリフォルニア工科大学、カリフォルニア大学デービス校、カリフォルニア大学サンタクルーズ校、デューク大学の研究やマネージャーらの広範な協力の結果である。

 

PeerJ-the Journal of Life and Environmental Sciencesは、生物学、生命科学、環境科学、医学の主要な研究とレビューを掲載する、査読済みのオープン・アクセス・ジャーナルである。

 

当校について:ソノマ州立大学(SSU)は、9,200人の学生を擁する地域に根ざした公立大学で、教育へのアクセスと卓越性の向上に取り組んでいる。ソノマ州立大学は、コアバリューに従い、リベラルアーツとリベラルサイエンスへのコミットメントによって推進され、サンフランシスコベイエリア北部の経済、文化、天然資源を活用した革新的なプログラムを通じて質の高い教育を提供している。SSUの詳細については、http://news.sonoma.edu/を参照。