【記事】ラッコのお世話は変装で | Conservationists care for orphaned otters in oddly obscuring outfits

本日は2018年4月8日付の2 New Thingsから、"Conservationists care for orphaned otters in oddly obscuring outfits"をお届けします。
ラッコのお世話の詳しい様子は、Saving Otter 501(ラッコ501号を救え!)の書き起こしをご覧ください。

ラッコの可愛らしい魅力にはまるのは、とてもたやすいことだが、ラッコを犠牲にするかもしれない。可愛い顔や遊び好きなカリスマを愛おしく思わせる力があるが、モントレーベイ水族館でラッコの保全に関わる人々はラッコにお礼を期待したいない。野生動物全般と同じように、ラッコもまた人間を信用したり人間に頼ったりすることを学ばないほうが、野生で生き延びていくチャンスが多いのだ。たとえ幼くして親を失ってしまったとしてもだ。幼いラッコたちには世話が必要だが、ラッコの代理母と、形のない忍者に扮した人々だけが世話をすることができる。

正しいロールモデルを見つける

その名前が示すように、代理母とは雌のラッコの成獣で、親を失った子どもを育てる手伝いをするために選ばれたものだ。そうした代理母ラッコたち自身は野生に返されることはないが、子どものラッコたちと理想的な絆を深め、育て、一人でエサを獲ったり隠れたり生きていく方法を教えるのだ。人間のケアスタッフは代理母ラッコたちに対してよい意味をもつにも関わらず、母子の絆が強いあまり、子どもの社会的成長を助け、人間に対する警戒心を養うため、代理母ラッコがケアスタッフに突撃したり噛みついたり鳴いたりすることもある。

 

もちろん、ケアする人間を特定するのは少しコツがいる。先ほどいったような、形のない忍者のような観光をしているからだ。ラッコの子どもが人間を信頼しないようにするために、子どもを抱いたりきれいにしたりエサを与えたりするスタッフはだぶだぶの黒いスモックと手袋、そして溶接用のマスクを身につける。このようにすると、ラッコの子どもが人間のスタッフから「貝のシェイク」を」与えられて安心したとしても、野生に帰った時に同じような格好をした人間には出くわす可能性がない。大きくなって大きな黒いゴミ袋を見て不可解にも安心することがあるかもしれないが、このようにすることでラッコが人間の多い場所へくり出してそこにいる人間に誰彼構わず慣れついてしまうようなことを避けすことができる。親を失ったラッコを助けるための訓練を受けた人にとって、そうした格好をすることによってラッコが可愛いお世話の対象でなくなるということは明らかにない。

ラッコが成功するために変装する

このように用心するのは少しやりすぎのようにも思えるが、モントレーベイ水族館の再構築プロジェクトの成功は、その努力に見合っていることを示している。モントレーベイ水族館は1984年から、18世紀と19世紀に僅かな数まで減らされてしまったラッコをそれ以前のレベルまで回復させるべく努力を続けてきた。現時点ではラッコは毛皮目的での狩猟はされていないが、オレゴンからバハ・メヒコまでの歴史的な生息域に戻ったと公言するにはまだ長い道のりがある。725頭の座礁したラッコを育てリリースした結果、保全活動家らは現在直面している問題はケルプの森が減少していることに原因があり、そのためラッコがサメに襲われやすくなったり、ラッコが好むウニの栄養が乏しくなったり(ウニがケルプを食べつくし、飢えてしまうため)する。これは、動物が直接人間の活動によって脅かされていない極めて珍しい例だが、そもそも動物たちが人間に近くに寄ってほしいと望んでいるわけではないのだ。