【記事】ラッコのウインドウセッション | Sea Otters Put Best Paw Forward—at the Windows

本日は昨年ご紹介しそびれた記事の中から、2017年9月27日付のShedd Aquarium Blogから、"Sea Otters Put Best Paw Forward—at the Windows"をお届けします。シェッド水族館のラッコのトレーニングの様子を紹介しています。

シェッド水族館のラッコのトレーニングセッションは、この海洋哺乳類の心も体も同じように関わらせるものです。

 
精密に検査を行うため、ポジティブな強化を行うことにより、トレーナーたちはラッコの高いエネルギーを重要なハズバンドリービヘイビアに向けています。ハズバンドリービヘイビアとは、、例えば体重計に乗ったり、展示水槽から別の水槽へ移動したり、静止したりすることで、ラッコにとって簡単にできることではありません。しかし、ラッコにとってはこれらは全て遊び同然なのです。

インタラクティブ・ウインドウセッションと呼ばれるトレーニングは、ラッコだけでなく人にとっても楽しいものです。

 
「インタラクティブ・ウインドウ・セッション」は展示水槽を見にきてくださっている一般の方々と関わっていく方法の一つです」とトレーナーのラナ・ヴァナガスムは言います。ラナはラッコ・ペンギン・犬のマネージャーです。(訳者注:シェッド水族館にはシェルターから受け入れた犬が数頭います)

 

準備は簡単です。最近のセッションでは、好奇心旺盛な人々が見ている中、トレーナーでラッコとペンギンのスーパーバイザーであるクリスティ・スターリングはラッコ展示水槽にある岩に立ち、目の前の水槽の中の保護されたラッコのエリーにバランスを取らせます。来場者側ではクリスティの向かい側の窓のそばにボランティアのアマンダ・マーフィーが、エリー専用の形がついた長い棒ー個々のラッコ専用のビジュアル・キュー(見て指示を出すもの)-を持って立っています。

クリスティが頷くと、アマンダはその形をガラスにつけます。クリスティがエリーに「自分の形を見つけなさい」という意味の手の合図を出しました。エリーが水槽を泳いでいって、その形の場所にきちんと手を付けることができれば、クリスティは「よし!」と言います。そしてエリーはトレーナーのところへ戻って貝をひとかけもらいます。これは、ラッコが指定された行動をきちんとできた際にご褒美としてもらえる「正の強化」の一つなのです。

 

少しトレーニングを難しく、泳ぐ距離を伸ばすため、クリスティは飼育スペースの中央のほうへ、アマンダは窓の真ん中のほうへ移動し、同じアクティビティを繰り返しました。今度はエリーは直行せず水槽の周りを半周回って形にタッチし、またぐるっと回ってご褒美をもらいました。エリーに興味を持ち続けてもらえるよう、クリスティは他のトレーニングに切り替え、その間トレーナーのマイク・プラットがメスの成獣のうちの一頭、マリとウインドウ・セッションを始めました。

 

エリーはシェッド水族館で最も若い2歳のラッコなのでまだウインドウ・セッションを始めて数か月ですが、14歳になるマリはガラスに手をタッチすることについては熟練しています。「このトレーニングは15年前私がここで働き始める前からずっと行われています」とラナは言います。ベルーガ、カマイルカ、アシカのタイとビフ、アオウミガメのニッケルも同様にそれぞれの水槽のインタラクティブ・セッションで同様のエンリッチメントを受けています。

 

エリーは今のところ形を見つけるだけですが、マリはもっと複雑なトレーニングを行っています。「技術的には、どこからでもラッコに指示することができ、ラッコたちはどの窓からも自分の形を見付けることができます」とラナは言います。マイクがマリの注意を引き付けている間、アマンダは2本の棒にそれぞれ形がついたものを用意します。そのうち一つがマリの形です。マイクが頷き、アマンダが二つの形を掲げると、マリは真っすぐ泳いでいき、正しい形にタッチしました。

「トレーナーやボランティア何人都合がつくかにより、一か所の窓に二つの形を出すか、別々の窓に別々の形を出すかになります」とラナは言います。ラッコが5頭いるので、「3つのガラス面に5つの形を出すこともできるでしょう」2頭のラッコを同時にトレーニングすることもできますし、反対側の場所や、幼獣用の水槽に場所を変えることもできます。従って、セッションの複雑さやエンリッチメントの要素を変えるオプションはたくさんあります」

 

ポジティブ・リインフォースメント(注:正の強化)も変化させることができます。トレーナーたちは貝やエビ、ポロック(注:白身魚)、シシャモ、イカ(全て持続可能な方法で獲られたもの)が入った入れ物を持っています。別の強化係が動作や音、感覚、好みのエサなどに関わります。「手をたたいたり、水をかけたり、氷をあげたりします」とラナは言います。

 

ラッコとして、マリは自分の形を見つけることに関して非常に慎重です。「マリは一番最初にまっしぐらに泳いでいくと思います」とクリスティは言います。

 

「それから窓を一つ一つ調べ、自分の形を探すのです」とラナは付け加えます。

 

こうしたトレーニングは、飼育下にある動物たちに必須の精神的な刺激や肉体的なアクティビティを与えます。動物に関するセッティングにおいて最も重要なことは、トレーニングを通じ、日常的な健康チェックや緊急治療に関わらず、トレーナーや獣医が動物に容易に対処できるよう、動物たちに自分たちの健康管理に参加することを教えるということです。

 

シェッド水族館は1989年アラスカで起きたエクソン・バルディーズ号原油流出事故後に4頭の子どものラッコたちを受け入れた時から、当館に来るラッコたちに対しては全てポジティブ・リインフォースメントを採用しています。このプログラムは、楽しさを借りつつ、動物とトレーナーの間に信用に基づく関係を築くものなのです。シェッド水族館は国際海洋動物トレーナー協会(IMATA)からラッコのトレーニングプログラムについて賞を受賞しています。

 

「私たちのゴールは、ラッコのトレーニングをできるだけより魅力のある、楽しいものにすることです」とクリスティは言います。インタラクティブ・ウインドウ・セッションは、来場者に対してもシェッド水族館の5頭のラッコたちの活動的な様子を見せる窓になっているのです。

 

9月24日から30日のラッコ啓蒙週間の間、ラッコに関する他のブログもお楽しみください。

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SEPTEMBER 27, 2017