【記事】ラッコ啓蒙週間、可愛さから始めよう | It’s Sea Otter Awareness Week – Let the Cuteness Commence!

本日は2017年9月26日付のDefenders of Wildlifeのブログより、"It’s Sea Otter Awareness Week – Let the Cuteness Commence!"をお届けします。かわいらしさがラッコを知ることへの入り口になるかもしれませんが、そこからより多く深く知っていただければいいですね。

ラッコ啓蒙週間です。ラッコをお祝いする理由がたくさんあります。

先月カリフォルニアへ引っ越してきたばかりなので、野生のラッコを見たのはつい数週間前のことでした。私はモスランディングの北のハーバーの舗装されていない道に立ち、双眼鏡を目に当ててオスのラッコの群れを見ていました。仰向けになって手を目にあてて寝ているラッコもいれば、潜ってしばらくして貝を手に現れるエサを取っているラッコもいました。

 

この群れをみていて感動したのはその毛皮でした。ラッコが水面に戻ってくると、レインコートについた雨粒のように水が玉のようになり、さらりと流れ落ちていきました。毛皮はすぐに乾き、浮かんで日にあたっていると数分のうちに豪華なチョコレートブラウンのふわふわの状態に戻りました。それがかつては美しく、そして痛ましいものでした。私はその光景に驚き、また同時にヨーロッパ人の毛皮商人がラッコを初めて見た時、これが彼らの気を引いて、ついにはラッコのほとんどを失ってしまうことになってしまったのだなと思いました。

 

18世紀と19世紀、ラッコはその密度の高い毛皮のために組織的に狩られました。あまりにも多く乱獲されてしまったため、ラッコは絶滅する寸前までになってしまいました。ラッコは日本からバハ・カリフォルニアに至るまでの環北太平洋に広がる自然な生息域じゅうで、個体数が大幅に減少するという憂き目に遭いました。カリフォルニアでは岩肌の多いビッグ・サー沿いのビクスビー・クリーク付近に隠れ、約50頭がなんとか毛皮交易を生き延びていました。それ以来、カリフォルニアラッコ(アラスカラッコとは異なる亜種)はハーフムーン湾からコンセプション岬までのカリフォルニア中央部に生息域を拡大してきました。

可愛いだけの動物ではない

ラッコがいなくなるということは、ただ一つの生物が失われてしまったということ以上に重要なことです。なぜなら、ラッコは生態系においてその大きさに見合わないほど大きな役割を担っているからです。その特徴から、ラッコはキーストーン種とされています。実際、ラッコは栄養カスケード研究(ある生態系においてある種が取り除かれてしまった場合起こることに関する研究)において、最もよく知られた素材の一つです。

 

1970年代、研究者らが、アリューシャン列島西部でラッコのいない場所がケルプの森がなくなっているのに対し、ラッコがいる場所は健全なケルプの森があることを発見しました。研究者らが発見したこの関係は、ラッコが好物であるウニの個体数をコントロールし、ケルプのウニによる食害を減らしていたのです。「ケルプの森の番人」として、またケルプの森に依存している商業的に重要な魚など多くの生き物の番人としての役割を果たしています。

 

最近、ラッコが生息している河口域のアマモの生態系のバランスをとる役割も果たしていることが発見されました。ラッコはカニを食べ、カニがウミウシを食べるのを制限し、その代わり健全になったウミウシがアマモに生える藻類を食べ、それによりアマモが光合成に必要な光を得ることができるのです。ラッコがハーフムーン湾との境目にあるアマモの湿地帯であるエルクホーン湿地帯に戻ってきて以来、アマモやアマモに依存するあらゆる種が戻ってきました。

 

ラッコが果たすキーストーン種としての役割は、その生態系の生き物や植物にとって有益であるだけではありません。ラッコはケルプの森を維持することにより、例えば、ケルプは大気中の炭素を大量にためることができるため間接的に大気中の温室ガスを減らしています。また、藻類の繁殖を制限しアマモを繁栄させることで、ラッコは有害な藻類の大発生を引き起こす窒素の多い農業廃水の影響と戦ってくれているのです。

ラッコを守る

ディフェンダー・オブ・ワイルドライフは多くの組織と協力し、ラッコが良く道路を横断する場所にスピードハンプを設置したり、沿岸のビジネスとパートナーショップを結びラッコの生息域拡大努力に関する啓蒙活動を通じて、このカリスマ的な動物の保護に力を尽くしています。

 

このフワフワの小さな海洋哺乳類がいなければ、カリフォルニア中央部には健全な沿岸生態系はなく、そうした生態系に依存している経済性のある観光やレクリエーション、野生生物ウォッチングなどもなかったでしょう。ラッコが、生息する生態系にしてくれているすべてのことに敬意を表し、ラッコ啓蒙週間(今週と毎週)をお祝いしたいと思います。皆さんもそう思ってくれますように。

 

以下のリストは、ラッコが太平洋沿岸に再度繁殖し、生態系における重要な役割を引き続き担えるようにするため、皆さんにできることです。

 

  • カリフォルニア中央沿岸部で野生のラッコを見たら、邪魔をしないでください。休息をとることは、他の動物たち以上にラッコにとって重要なのです。ラッコは太平洋の冷たい水の中で生きていくのに必要な高い体温を維持するために十分なエサを取らねばならず、そのため多くの時間を潜ることに割いています。
  • 陸に上がっているラッコには決して近づかないでください。カヤックに乗っている場合、カヤック5つ分の距離をとってください。
  • 化学製品を流したり、ネコの糞を流したりしないでください。こうしたものはラッコに影響を及ぼす有害な汚染物質やっ病原体を含んでおり、たとえ浄水施設を通しても排水から海へ流れ込んでしまいます。
  • カリフォルニアで所得税を申告する場合、確定申告の自発的寄付の欄でカリフォルニアラッコ基金にチェックを入れることができます。この寄付金はカリフォルニア魚類野生生物局やカリフォルニア沿岸委員会によるラッコの研究や教育プロジェクトを支援するために使われます。どんな金額でも役立ちます!

キャピトルヒルからの野生生物に関する最新の発展事項や私たちの仕事に関する重要なニュースの最新情報については私たちのソーシャルメディアフォローしてください。最新ニュースや野生生物を守るためのアクションアラートなどを得られるニュースレターにもぜひ登録を!

Defenders of Wildlife

It’s Sea Otter Awareness Week – Let the Cuteness Commence!

26 SEPTEMBER 2017 By Emily Burke