【記事】パート1:カトマイラッコ調査2017 | Part 1: Katmai sea otter research trip 2017

本日は2017年8月7日付のSeattle Aquariumのブログより、"Part 1: Katmai sea otter research trip 2017"をお届けします。専門家が離れ島でのラッコ調査を行った際の記録です。ラッコだけでなく、ラッコが生息する環境やそこに住む生き物も調べています。

シアトル水族館保全研究キュレーターのショーン・ラーソン博士は先日アラスカ南西部ネットワーク(SWAN)近海バイタルサインモニタリングプログラムのチームの一員として10日間の調査旅行へ参加しました。参加した11名の研究者はアメリカ地質調査所(USGS)、国立公園サービス(NPS)、アラスカ大学フェアバンクス校、シアトル水族館と提携していました。下記はローソン博士の調査旅行前半のハイライトのまとめです。

 

第1日目:2017年6月19日

移動日。午前6時、シアトルからアラスカ州アンカレジへ発ち、その後ホーマーへ移動、そこで私たちが乗る船、ドリームキャッチャー号と会う。ドリームキャッチャー号は97フィートの船で6つの船室と3つのクルー部屋、リビングルーム、映画室と大きな厨房がある。この船はもともと石油開発チームのために設計され、その後保全調査チームに利用されている。4人のクルーーロブ船長、その妻スター、夫婦の友人キャロルと夫婦の孫娘リリーが私たちを歓迎してくれた。私たちは道具などをすべて積み込み、夕食を食べに出かけた。その後、カトマイ海岸へ向かい、現地に翌朝早く到着した。

第2日目:2017年6月20日

カトマイ海岸での最初のフル調査日。カトマイ海岸はアンカレッジとアラスカ半島の南西に位置し、アラスカのアリューシャン列島が始まる場所のすぐ東側にある。天候はよく、日が差し穏やかな風が吹き、気温は華氏60度台中ほど(摂氏18度)だ。私たちはまだ最初の調査地点へ向かっていたが、止まって2艘のゾディアックボート(インフレータブルボート)とクルーを海へ降ろし、近場の島へ上陸し、打ち上げられたラッコの死体を探し、年齢分析や他の研究に使用されるラッコの頭蓋骨を収集した。

 

こうしたデータは研究者に死の年齢構成に関する情報を与えてくれる。これは、比較的健全な個体群の指標となるものだ。健全な個体群においては、死体は非常に若いものか、もしくは非常に年齢が高いものとなり、これが普通だ。若いラッコから中年の繁殖期の死体が多ければ、その個体群に何等かの問題があるということを強く示唆していることになる。

 

私たちはまたラッコの糞を見つけた。これらは高潮の跡の上にある岩や茂みにあり、ラッコがこれらの場所で休んだり陸に上がったりしていることを意味する。岩によっては、高潮の水位よりもフィート(約6m)も上なので非常に驚いた。

 

私たちはまは、糞中の殻に基づき、ラッコが何を食べているもののデータも収集し、ラッコたちが貝やカニ、ムラサキガイ、シシャモやイカナゴなどの小型魚類を食べている証拠を発見した。

第3日目:2017年6月21日

今日はアミリック湾というジオグラフィック・ハーバーと呼ばれる美しいエリア近くのカトマイ海岸近くの最初の2か所の調査地点にとどまった。間潮帯調査が6つあった。100メートルのテープ沿いのケルプや無脊椎動物を調査する岩礁調査。100メートル沿いの軟質沈殿物中のm脊椎動物を調査するソフト調査(このためには砂の中の貝を掘ります)。間潮帯地沿いを横断する50メートル沿いのムラサキガイの個体密度調査が行われた。

 

午後になり潮が満ちると、海岸沿い数キロにわたり、海鳥と海洋哺乳類の調査、クロミヤコドリ調査(BLOYと呼ばれる)、そしてエサの収集データを集めるため食べているラッコを探した。

 

こうしたパターンが子の後7日間続いた。この後数日のこの地域におけるラッコのエサ獲りのゴールは、30のエサ取りサイクルのデータを集めることだ。1サイクルは1頭のラッコのエサ取りに関し、最高20回連続の潜水で何を食べているかを記録するものだ。私たちは潜水時間、水面にいる時間、食べているエサの種類、エサの数と大きさを数える。こうしたデータはラッコが何カロリーを食べ、潜水中にどのくらい消費しているかという指標を与えてくれる。この地域ではラッコはほとんど貝を食べているようだった。

第4日目:2017年6月22日

アマリック湾2日目。今朝は雨で風が吹いていた。別の場所での調査があり、私はムラサキガイと岩礁調査クルーの一員になった。私は100mの調査テープの1m下にどんな間潮帯藻類や無脊椎動物が見つかったかデータを入力した。様々な種類の藻類や無籍地動物があった。非常に豊かな場所だ。

 

調査の仕事は集中的で、滑りやすい間潮帯岩礁を這いまわり生きている全ての藻類と無脊椎動物を数える。この調査に午前中いっぱいかかった。

 

別のクルーはソフト調査の場所にいて、ボートに戻った時に、彼らが貝を掘っている時に海岸を歩いているグリズリーベアの訪問を受けたことを知った。海岸にはグリズリーベアが多く、クルーたちはみなクマがいる気配を見かけたが、実際に来たクマは1頭だけだった。このクマはこの海岸の他のクマ同様クルーや、クルーが何をしているのかに興味をもっており、調査テープを動かしたり貝や砂がたくさん入ったバケツをひっくり返したりした。このクルーはライフルとクマスプレー、発炎筒を持ち静かに海岸の端に立っていた。クマは単に興味をもっていただけで、人間の邪魔をすることはなかった。

 

午後、私たちはミンク島へ上陸しラッコが多く観察できる場所を見つけた。エサを食べているラッコが何頭かいればよいのだがと思っていた。午後は明るくすっきり腫れ、太陽が明るすぎてエサの調査には不都合だったが、何サイクルかのエサ獲りのデータを集めることができた。

第5日目:2017年6月23日

アマリック湾3日目。今日はエサを獲るラッコの調査だった。これがここでしなければならないことで、唯一残っていることだった。私たちは1日のほとんどをミンク島とミンク諸島で過ごした。タキ島を見ていたフィールドスコープの前を2頭の子熊を連れた母グマが横切っていった。波間で遊ぶ子熊たちを連れて海岸でぶらぶらしているようだった。私たちはエサをとるラッコを数多く見て、たくさんのデータを集めた。素晴らしい日だった。

Seattle Aquarium

Part 1: Katmai sea otter research trip 2017

Posted on August 7, 2017