【記事】エルフィンを忘れない | REMEMBERING ELFIN

本日は2017年4月3日付のVancouver Aquarium Aquablogより、"REMEMBERING ELFIN"をお届けします。先週、エルフィンの健康状態についての記事がありましたが、その後容体が悪化し、静かに息を引き取ったそうです。いつもバンクーバー水族館のブログを読んで思うのですが、スタッフの皆さんは動物たちに対して愛情はもちろん、本当に敬意をもって接しているのだなと感じます。

保護されたラッコ、エルフィンの健康状態についての最新情報(注:【記事】エルフィンと歩んだ日々 | ALONG CAME ELFIN)を皆さんにシェアして以降、バンクーバー水族館のメンバーの皆さん、来場者の皆さん、職員、ボランティアのみなさんから絶え間なくかけていただいた優しい言葉やシェアしてくださったよき思い出に圧倒されてきました。この16年間エルフィンのことを知り、愛してくださった皆さんの目を通してエルフィンの人生を振り返り、心が温まる思いでした。

 

悲しいことですが、私たちが覚悟していた瞬間はこの週末にやってきました。先週遅く、当館の海洋哺乳類ケアチームはエルフィンがいつもよりも多く休んでいることに気づき、直ちに対応してエルフィンを静かで落ち着いた水族館のバックヤードへ移しました。獣医師チームは24時間体制で緩和ケアを施し、治療を行い、輸液をし、エルフィンができるだけ快適に過ごせるようにしました。残念ながら、エルフィンの健康状態は引き続き悪化をたどり、4月1日土曜日、たくさんの大好きな人々に囲まれ静かに息を引き取りました。

幼い時にバンクーバー水族館へやってきて以来、エルフィンは飼育員たちの心を射止めてきた
幼い時にバンクーバー水族館へやってきて以来、エルフィンは飼育員たちの心を射止めてきた

「子どもの時にここへ来てから、私たちは非常に多くのことをエルフィンから学びました。私たちは、エルフィンの高齢期になるまでの人生のケアを行うことができ、感謝の念に堪えません」とバンクーバー水族館の獣医師長マーティン・ハウリナ博士は語ります。2016年、リンパ腫と診断されてから、ハウリナ博士は世界中の獣医腫瘍学者と協力し化学療法のプランを発展させ、1年以上成果を上げてきました。最近、獣医師チームはエルフィンのケアを緩和ケアへ移行し、エルフィンが幸せで満足して過ごせるよう、確保してきました。

 

エルフィンは2001年7月、アラスカ州ジュノーで漁師に保護され同年10月にバンクーバー水族館に仲間入りしました。発見した漁師は母親が戻ってくるかもしれないとの期待とともに数時間待ちましたが、その3ポンド(約1.3kg)の生後2日だったエルフィンをアラスカシーライフセンターへ連れていき、エルフィンはそこで24時間体制のケアを受けました。エルフィンは生きていくのに必要なスキルを学べるだけの十分な時間を母親と過ごすことができていなかったため、アメリカの当局から野生に返すことができないと判定され、バンクーバー水族館がエルフィンの一生の家となりました。

およそ16年間、私たちはエルフィンがエンリッチメントのおもちゃで一生懸命遊んだり、氷のおやつを楽しんだり、何でもにおいをかいだりするのを見てきた。
およそ16年間、私たちはエルフィンがエンリッチメントのおもちゃで一生懸命遊んだり、氷のおやつを楽しんだり、何でもにおいをかいだりするのを見てきた。

「かつて親とはぐれたこのラッコは、非常の多くの人の人生に深い影響を与えていました」とハウリナ博士は言います。「エルフィンの人生の最初と最後の数か月間、集中的にケアをしてきた獣医師たちから、エルフィンにダイナミックで豊かな日々を与えてくれた海洋哺乳類トレーナーたち、エルフィンから学び、インスパイアされてきた無数の来場者の皆さんに至るまで、エルフィンの遺産はずっと残ることでしょう」

 

野生では、ラッコは多くの困難に直面します。生まれてから6か月間、ラッコは母親に食べ物を大きく依存しています。したがって、母親がいなければ生きることができません。母親のエネルギーの殆どが子どものために費やされ、その結果子どもにエサを与えている間母親の健康状態は悪くなっていくことあります。メスのラッコは毎年子どもを産むため、環境的な要因やエサの入手の可能性如何により、その母親が翌年より良い条件で子どもを育てられると考えた場合は、自立できるようになる前に子どもを捨ててしまうことがあるのです。成獣になってからも、ラッコは病気や原油流出、捕食、漁業との交渉、乱獲などの脅威と直面しています。

エルフィンの高齢期にいたるまでケアをすることができたことに感謝し、私たちはこの遊び好きでチャーミングなラッコにお別する。
エルフィンの高齢期にいたるまでケアをすることができたことに感謝し、私たちはこの遊び好きでチャーミングなラッコにお別する。

世界のラッコの90%はアラスカ沿岸に住んでいます。アラスカ州内では、南東および中央南部の個体群は安定的もしくは増加しています。南西部の個体群は、シャチの捕食が増加したため、過去20年以上個体数が急減しており、絶滅に瀕する種の保存に関する法律で絶滅危惧種に挙げられています。カナダのブリティッシュコロンビア州では、ラッコはバンクーバー島西岸や中央沿岸部のベラベラ付近で見ることができます。ブリティッシュコロンビアのラッコの個体群は絶滅の危機に瀕するカナダの野生生物の現状に関する委員会およびブリティッシュコロンビア州野生生物法により、2007年4月に「懸念種」へ格下げになっています。ラッコは、カナダ漁業法およびブリティッシュコロンビア州野生生物法により保護されています。

 

バンクーバー水族館海洋哺乳類レスキューセンターについて、また私たちがエルフィンや他のラッコ、レヴィやチェスターのような座礁した動物をどのように助け、こうした動物たちから私たちが学んだことが野生の海洋哺乳類たちにどのように役立つのか知ってください

 

 

バンクーバー水族館海洋哺乳類センターはポート・オブ・バンクーバーの提供で、病気やケガ、親を失った海洋哺乳類の病院です。レスキューセンターは座礁した海洋哺乳類を保護し、リハビリを行い本来の生息地である野生の海へ返しています。www.vanaqua.org/mmr

Vancouver Aquarium Aquablog

REMEMBERING ELFIN

April 3, 2017