【動画】アマモの中のラッコ | Wild sea otter in the eelgrass

ラッコがアマモの中でグルーミングしていました。

撮影地/Location:Elkhorn Slough, CA, USA

撮影/Credit:らっこちゃんねる | Sea Otter Channel

 

撮影日/Date:2016年9月16日

ラッコが沿岸生態系においてケルプの森を健全に保つ役割を果たしていることは、生物の教科書で例として取り上げられるほどよく知られています。しかし、海だけでなく湿地帯においてもラッコが大切な役割を果たしていることが研究により明らかになっています。

エルクホーン湿地帯はカリフォルニアで最も大きな湿地帯の一つですが、ここはラッコが来る前はひどい有様でした。周囲に農地が多く、そこからの排水で水が富栄養化し、アマモなどの海草は藻類に覆われてしまっていました。カニが多く、藻類を食べるウミウシや等脚類が少なかったからです。
20年ほど前にラッコが徐々に定着するようになり、こうした状況は一変しました。ラッコが旺盛な食欲でカニを食べ始めると、カニが穴をあけてもろくなっていた湿地帯の土手の崩落が防がれ、またカニがエサとしていたウミウシ類や等脚類が増加したため、アマモの表面に生えていた藻類がそうした小動物に食べられ、きれいになっていきました。アマモが繁茂することにより、幼魚が増え、多様性を帯びてきました。エルクホーン湿地帯は周囲の農場からの排水が多く富栄養化しているにも関わらず、他のラッコがいない湿地帯と比較しても健全な環境になっています。