【記事】Sea Otter Savvyプログラム 「リスペクト・ザ・ナップ」| The Sea Otter Savvy Program: Respect the Nap!

本日は2016年2月16日付のFriends of the Sea Otterのブログから、"The Sea Otter Savvy Program: Respect the Nap!"をお届けします。ラッコが直面する脅威の一つは人間のハラスメントによるストレスです。その問題の解決のため様々な団体が連携し、Sea Otter Savvy(シーオター・サビー:ラッコ通の意)と言うプログラムを立ち上げ、啓蒙活動を始めました。カヤックやパドルボードに乗ることをお考えの皆様、ラッコを楽しむことはラッコを尊重することであるということをお忘れなく。

ラッコ生物学者として13年間、私は1日の大半を野生のラッコの観察に費やしてきました。海岸の絶壁から、ヒノキの生い茂った岩場から、また騒がしいワーフから、私は望遠鏡で、ラッコたちの生きる姿をを遠くからひっそりと観察していました。食べ物を見つけ、その断熱の役割がある毛皮を手入れし、子育てし、眠るーある時はケルプの切れ端に包まれ、ある時は外海で危なっかしげに流されていました。しかし、このようなカリスマ性のある動物の私生活を覗き見ることができるという特権には、予想もしなかった対価がついてきたのです。ラッコにとって自然な、あるいは必要な活動が人間の行動によって容赦なく妨げられるのを、遠くから何もできずにただ見ていなければならなかったのです。人間のレクリエーション活動であるカヤック、パドルボード、浜遊び、スキューバダイビングなどが、ラッコの休憩やグルーミングや採餌行動の邪魔をするのを、私はラッコ生物学者の同僚らと一緒に何百回、恐らく何千回も目撃しました。カヤックに乗った家族が悪意なくラッコの子どもを母親と引き離してしまい、子どもが半狂乱になっているのも見ました。その家族は、自分たちが引き起こしてしまったトラウマにぞっとしたことでしょう。ラッコの群れが1日の間に次から次へと邪魔されるのも目撃しました。ラッコたちは、濡れた毛皮をグルーミングし、ケルプの中でほっとしたところで、次のカヤックのグループが近づいてきたっため、また水の中に飛び込まなければなりませんでした。「人間による干渉がこんなに酷いのに、どうしてラッコたちは他の場所へいかないのだろう」と疑問に思っていました。

ラッコは代謝が高く、十分にエネルギーを蓄積できないため(ラッコにはアザラシやクジラのような脂肪層がない)、毎日を生き抜くためにエサとなる海の無脊椎動物が獲れるかどうかに非常に左右されます。子育て中の母親ラッコは、人間から離れて自分と成長中の子どものための十分なエサを探しに、慣れない場所へ移動することは特にリスクが高いと考えています。その場所に慣れるか、あるいは自らと子どもの命を危険に晒すかしかないのです。大切に思っているラッコたちの潜在的な損失を知っている傍観者として、私はラッコを助けるために何ができるだろうと考えました。海で様々な活動を行うすべての人はラッコや他の海洋生物を保護する連邦および州の法律を理解しておく必要がありますが、いくつかの地域で毎日のように広く起こっている妨害行為を減らすために法をの執行を期待するということは現実的ではありません。また、海岸から違反したカヤックに対して叫んでも、弱く、効果もありません。声も枯れ、大きな問題を解決できないという不満が残りました。コミュニティとして、隣人である野生動物たちを尊重しようという、より良い、より強い倫理観が必要なのです。

 

2014年の春、サンタクルーズのロングマリン研究所で行われたカリフォルニアラッコリサーチアップデートミーティングで、最も影響力のあるラッコ関連機関や組織の一部の代表が人間の海におけるレクリエーション活動によるラッコへの妨害行為問題に対処するための特別作業部会を招集しました。妨害行為に対するユニークで脆弱なラッコへの意識を高め、良いスチュワードシップへの倫理感を促進するためのプログラムを作ろうというアイデアが出されたのはこの場でした。グループとして私たちは、ほとんどの妨害行為は意図的にハラスメントをしようとするのではなく、意識が欠けている結果起こるのではないかということで意見が一致しました。野生のラッコの群れに近づく人々の多くは、ラッコの行動についてほとんど理解しておらず、そうした行為がラッコに対する妨害行為であるという認識もなく、ラッコがそうしたカヤックに会うのがその日初めてでもそれが最後でもないということに気づいていないのです。アメリカ魚類野生生物局、カリフォルニア魚類野生生物局、モントレーベイ水族館、Friends of the Sea Otter、Seaotters.comが協働し、新しいアウトリーチベースのプログラムのコンセプト、Sea Otter Savvyがつくられました。Sea Otter Savvyは2015年の秋に最初の資金調達を受け、その後まもなく活動を開始しました。私はプログラムコーディネーターに任命され、非常に光栄に思うと同時に、わくわくしています。ラッコ生物学者として学んできたことを、ラッコと人間が共に安全に平穏に共存する場を作るための効果的な戦略を立てることに生かす機会を与えてもらったからです。

私たちは最初の数か月、ラッコの行動データを集める地域でありラッコへの妨害行為が多く起こる可能性がある中央沿岸部の2つの郡(モントレー郡とサンルイスオビスポ郡)でボランティアとともに市民科学プログラムを活性化しました。2015年9月には、沿岸の様々な野生生物への妨害行為を減らすために活動している、沿岸地域の素晴らしい人々による、前例のない「首脳会談」を開催しました。モントレー湾国立海洋保護区、NOAA(アメリカ海洋大気庁)、WDC(クジラやイルカの保全団体)、オーデュボン協会、LiMPETS(学生のための長期モニター・実験トレーニング団体)、海鳥保護ネットワーク、海洋哺乳類保護法協力グループ、その他の多くの代表が、妨害行為を特定し解決策を見出し、協力し合うため、モスランディング海洋研究所に集まりました。 この会議から生まれた様々な協働活動は続いており、Sea Otter Savvyはモロ湾とモントレー湾における野生生物に対する啓蒙活動のワークショップを計画する主要なチームなのです。最初のアウトリーチ用の資料の開発は急務であり、私たちはBe Sea Otter Savvyのデカール(ステッカー)を施行する体制を整えています。それにより、中央沿岸部でカヤックをレンタルする人たちに対し、責任ある野生生物ウオッチングのためのガイドラインを提供するのです。モントレー湾とモスランディングのモントレーベイカヤックのカヤックに、間もなく私たちのデカールが登場する予定です!今後数ヶ月で、より多くのアイデアや戦略を実施していきます!

 

もし幸運にもカリフォルニア中央沿岸に住んでいるなら、あなたは人間だけでなく豊かな海洋生物たちも隣人である場所を住まいに選んだということになります。ここでは、ラッコとも空間をシェアすることになります。沿岸の生き物たちの健全性を維持する協力な役割を担う、沿岸のスーパーヒーロー、ラッコたちと。ラッコは尊敬すべき隣人です。ラッコたちが生きるために必要な活動をする場所を与えてあげることが、私たちが隣人としてできる一番良いことなのです。私たちは、みなさんがSea Otter Savvyに加わり、野生の隣人たちとスペースを尊重して共有することを促進してくださることを願っています。ラッコや全ての野生生物ウォッチングを安全に行うためのガイドラインを知り、守り、シェアしましょう。水の上にいる時は責任ある行動をとりましょう。そして、わたしたちのコミュニティにいる人間と人間でないもの全てに対する尊敬と共感の倫理を育成しましょう。次に機会があれば平穏に休んでいるラッコを見て、自分ならどのように対応されたいか考えてみてください。「リスペクト・ザ・ナップ!(お昼寝させてあげよう!)」

Friends of the Sea Otter

The Sea Otter Savvy Program: Respect the Nap!

February 16, 2016
by Friends of the Sea Otter’s guest writer, Gena Bentall, Program Coordinator, Sea Otter Savvy