本日は2016年1月6日付のNational Geographicから、"A Crushing Bite Gives Sea Otters Their Cute Mugs "をお届けします。カワウソの仲間であるラッコは、他のカワウソたちとは異なる部分があります。ラッコが他の仲間たちと違うのは、食生活に原因があるのではないかというお話です。
カワウソ類は愛らしい。これは重力が存在するのと同じくらいの事実だ。しかし13種ほどの現存するカワウソ類の中でも、Enhydra Lutris、つまりラッコほど「わぁ♡」という言葉を生み出している種はないだろう。この「毛玉」たちは実際非常に可愛らしいので、その悪行は見過ごされがちだ。しかし、何がラッコを違ったものにしているのだろう?密度の高い体毛と、好き嫌いの多い食生活もある。もちろん、他のカワウソ類とが見た目にも少し異なっている。ラッコは他のカワウソ類と比較して短く丸い顔をしているが、それはラッコの特殊な食生活によるものだ。はっきり言えば、かみ砕くことでラッコは他の可愛い競争相手に対して優位になっているのだ。
そうしたことを思いついたのは、テキサス A&M動物学者のロリ・ティム=デイビス、トーマス・デウィット、クリストファー・マーシャルによるカワウソ類の2つの主要な食習慣に関する新しい論文を読んでからだ。オオカワウソやカナダカワウソのように主に魚や他のよじれる生き物を顎で獲るものもいれば、コツメカワウソやラッコのように器用な手で貝類や棘皮(きょくひ)動物(訳者注:ウニ・ナマコ等)や他の固い殻を持つ獲物を捕らえ、そうした固い殻を臼歯で噛み砕くものもいる。噛むということにおいてスピートと力とを取り換えたとしても、ティム=デイビスとその同僚らは2つそれぞれの食生活の違いは頭蓋骨に見ることができるのではないかと推測した。そう考えて、彼らはラッコの3亜種及び4種のカワウソ類の合計150の頭蓋骨を計測し、噛む力を想定した。
カワウソ類は通常研究者らの期待に沿う。魚を主食とするオオカワウソとカナダカワウソは長く幅が狭い頭蓋骨をしており、そのため早く噛みつくことを可能にしている。つるつるした動きの速い獲物を捕まえるために作られている。コツメカワウソやラッコは動きの鈍い無脊椎動物を捕らえるため、幅が広く短い顎を持つ頭蓋骨をしており、機敏ではないものの噛む力がより強くなっている。ラッコはこの特性が極端で、幅が広く丸い臼歯があるが、これは固いエサをかみ砕くのに最も適している。
しかし、すべてのラッコが同じように行動するわけではない。ティム=デイビスと共同著者らが独立した亜種ロシアラッコ、アラスカラッコ、カリフォルニアラッコの違いを調べる、それぞれの亜種の頭蓋骨が少しずつ異なっていることを発見した。これは食生活の違いによるもののようだ。ロシアラッコやアラスカラッコは、カリフォルニアラッコとは魚を食べると言う点で食生活が少し異なっている。この違いが顎の違いに現れているのだ。ラッコの3亜種の中でカリフォルニアラッコは他の亜種に比べ、臼歯が噛み砕く表面になっている割合が19.1%多い。ウニをよりうまくかみ砕けるようにだ。こうした比較的新しい変化は、食生活がどれほど早くラッコの進化の形に影響し始めているかを反映している。
しかし、おおかた最も現代的な嗜好のラッコですら、深く短く幅の広い形の頭蓋骨をしており、他の仲間たちとは異なっている。体毛や、小さな鼻や目があって「ラッコ」という完全パッケージとなっているが、カワウソ類としての見た目は、骨にも及んでいる。ラッコの可愛らしさというのは、噛み砕く力からきているのだ。
参考文献:
Timm-Davis, L., DeWitt, T., Marshall, C. 2015. Divergent skull morphology supports two trophic specializations in otters (Lutrinae). PLOS ONE. doi: 10.1371/journal.pone.0143236
Natinal Geographic
A Crushing Bite Gives Sea Otters Their Cute Mugs
POSTED WED, 01/6/2016 Brian Switek
コメントをお書きください